#29 映画『It’s my new day』【連続小説 ロベルト先生!】

連載
ある六年生学級の1年を描く連続小説「ロベルト先生 すべてはつながっています!」

前文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官/十文字学園女子大学教育人文学部児童教育学科 教授

浅見哲也

さて、いよいよ準備を重ねた緑が丘小芸術祭、映画の幕開けです。台本をそっくりそのままご紹介していきます。まずは神社の境内のシーンから。

第29話 緑ヶ丘小芸術祭

芸術祭のプログラム

配役(男子)

ロベルト先生 …(田口 航)
立花だいすけ …(北村亮太)
こうへい(学級委員)…(倉内弘樹)
あきら(キャプテン)…(中村翔平)
まさお …(吉橋彰夫)
ガリ勉太郎 …(岡田敏幸)
たかし …(金子雅也)
ひろし …(塚越巧透)
男の子1 …(青田 浩)
男の子2 …(鈴木宏典)
男の子3 …(片岡 肇)
男の子4 …(門倉貴之)
男の子5 …(高橋健太)
男の子6 …(原島晃太)
男の子7 …(近藤隆介)
男の子8 …(関根竜也)
男の子9 …(宇田川洋)
男の子 …(大津健一郎)
男の子 …(星野晟也)
男の子 …(大山太一)

配役(女子)

ゴースト1(立花マミ)…(花崎真理)
ゴースト2(立花メイ)…(坂田香織)
ゴースト3(立花モモ)…(島田奈々)
めぐみ …(長谷川優衣)
あやか(学級委員) …(藤崎美南)
なな子 …(岩井 茜)
なな子の母 …(木村加奈子)
のぞみ …(柏田美樹)
かなえ …(加藤澄香)
たまえ …(菅原真希)
女の子1 …(関根美都子)
女の子2 …(小林奈保子)
女の子3 …(山本菜摘)
女の子4 …(坂下くるみ)
女の子5 …(田中まどか)
女の子6 …(乾美紀子)
女の子7 …(柴咲睦美)
女の子8 …(正田理恵)
女の子9 … (望月あやめ)

映画監督 …(朝見ロベルト鉄也)

11月1日、緑ヶ丘小芸術祭、映画『It’s my new day』の幕が上がった。

神社でお願い事をする3人

【神社の境内】

(ある神社の境内で)

ゴースト3「ねえ、マミ。ここはどこなの?」

ゴースト1「ちょっと待って。今、確かめるから。えーっと、ここは、確か…私たちが住んでいる町よ。」

ゴースト2「ということは、未来からタイムスリップして来たんだ。えーっと約30年前ね。」

ゴースト3「へー、まだ、このあたりには、緑もたくさん残っていたんだね。」

ゴースト2「ところで、マミ。私たちがここに来た目的は。」

ゴースト3「そんなの決まってるじゃない。いちいちうるさい親から離れて、いたずら…」

ゴースト1「モモ、ちょっと待って。誰か来るっ。」

(三人は急いで木の陰に隠れる)

のぞみ「お願いです。私たちに力を与えてください。」

かなえ「私たちを上手に跳ばせてください。」

たまえ「どうか私たちのクラスを親善運動会の長縄跳びで優勝させてください。
(ふっと、思い出したかのように)ねえ、いくらお願いしても、お賽銭を入れないと効き目はないんじゃないの?」

かなえ「そうね。いくらにする? 10円?」

二人 「せこーい!」

かなえ「じゃあ、いくらにするのよ。」

のぞみ「こういうときは、何か語呂を合わせればいいんじゃない?」

たまえ「語呂? 何それ?」

のぞみ「私のおばあちゃんが、よくお賽銭をあげるときに、『十分にご縁がありますように 』 って15円入れていたんだ。」

かなえ「へーっ。のぞみはさすがにおばあちゃん子ね。じゃあ、15円にしよう。」

たまえ「ちょーーっと待って! 私たちは何にご縁があることをお願いするの?」

のぞみ「そうだなあー? 私たちは、長縄跳びで800回以上跳べるように、800回にご縁があるようにお願いすればいいんじゃない?」

かなえ「そうね。じゃあ815円? えーっ! 高すぎるよー。」

たまえ「三人で割っても、200…えーっと、70…8…、とにかく高すぎるよ。」

かなえ「じゃあ、いくらにする?」

のぞみ「わかった。十の位を省略して85円はどう?」

かなえ「えーっ? 勝手に省略していいの?」

のぞみ「いいのいいの。こういうのは気持ちの問題だから。じゃあ、かなえは30円、たまえも30円、私は今ちょっと貧しい哀れな子だから25円。」

たまえ「ずるーい。勝手に悲劇のヒロインにならないでよ。」

のぞみ「いいのいいの。こういうのは気持ちの問題だから。」

(二人は仕方なくお財布からお金を取り出す。そして、三人そろってお金を入れて手を2回打つ)

三人 「どうか、私たちの夢を叶えてください。」

(神社を出て行く三人)

(再び姿を現すゴースト三人姉妹)

ゴースト2「行ったみたいよ。」

ゴースト3「何かお願い事していたみたいね。」

ゴースト1「なになに? 私の夢を叶えてくださいだって。無理無理。今の子は一人前に夢は言うくせに、努力もしなけりゃ、初めから諦めているじゃない。そんなの、叶うわけないよ。」

ゴースト2「そうよね。よーし、こうなったら、さっそくいたずらしてやろう。」

ゴースト3「私たちは、どんな願いも叶えることができる、魔法のゴースト。」

ゴースト2「でも、私たちは三度の飯よりも、いたずらするのがだーい好き。」

ゴースト1「そのいたずらをするために、私たちはこの時代に来たのよ。」

ゴースト3「よーし。さっきの子たちを追跡して、何かいたずらしましょう。」

ゴースト1「うん。じゃあ、また、タイムスリップするわよ。ニコニコプッチンプクリンパ!」

オープニング挿入歌 佐野元春「I’m in blue」

次回へ続く


執筆/浅見哲也(文科省教科調査官)、画/小野理奈


浅見哲也先生

浅見哲也●あさみ・てつや 文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官。1967年埼玉県生まれ。1990年より教諭、指導主事、教頭、校長、園長を務め、2017年より現職。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追求中。

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