3つの観点で取り組むカリキュラム・マネジメントと年間指導計画
学校の教育目標を達成するための教育計画である教育課程、カリキュラム・マネジメントについて解説します。
執筆/福岡県公立小学校教諭・有得辰俊
目次
教育課程とは
学校の教育目標を達成するための教育計画のことです。地域の実情や子供の実態に応じるため、各学校で違いがあります。
各学校は、教育課程に基づいて、組織的、計画的によりよい教育活動を行うために教育課程を見直す必要があります。これを、「カリキュラム・マネジメント」といいます。
カリキュラム・マネジメントの3観点
カリキュラム・マネジメントには、次に述べる3つの観点で、取り組む必要があります。
1 各教科等の目標を照らし合わせて、組み合わせる
国語の自分の考えをまとめて表現する学習と、社会の問題を追究する活動を一緒にできないかな。
2 教育課程の実施状況に応じて、PDCAサイクルで見直す
3 必要となる地域の人材や物的資源を効果的に組み合わせる
総合的な学習の時間に地域の人材に来てもらったら……。
算数の時間にタブレットなどの情報機器を使ったら……。
また、学校として育成を目指す資質・能力と照らし合わせてカリキュラム・マネジメントを行う必要もあります。
担任が管理する教育課程
新型コロナ禍が続いています。残りの期間を子供と有意義に過ごすには、担任が教育課程を管理することが重要となります。
年間指導計画の作成
学習指導要領には、指導計画の配慮事項が記してあります。教科書の内容を把握する際に、教科等横断的な視点で見ることが大切です。
国語の○○と外国語の○○は、関連して指導できそうだ。
また、カリキュラム・マネジメントの視点から、地域の方々の専門性等に応じて、学校独自の「人材マップ」を作成し、活用すると、より効果的な年間指導計画を作成できます。
○○さんは、サッカーチームの指導者だから、体育の時間に来てもらおう。
教育課程の運用
①全体計画に基づいた週案の作成と実施
作成した年間指導計画をもとに、週案を作成し、実施します。
学期ごとに、おおよその終了時期を記しておくと、見通しを持って実施できます。
国語の○○と外国語○○は、同時期に設定しよう。算数は、2学期は○時間だから、○月○日には終わるかな。
②週案の見直し
週案として作成し、実施した内容を時数内で終わることができたかをチェックします。
また、地域の人材や物的資源を活用することで、深い学びにつながったかもチェックします。チェックしたことは、週案に書き込みます。
算数の○○は、2時間に分けて指導してよかった。体育のサッカーに地域の指導者を呼んで効果的だった。
教育課程の評価
作成した年間指導計画に基づき、実施した教育課程を評価します。評価の時期は、単元終了時および学期末です。
社会の○○は、△△と一緒にできたな。国語の○○と外国語の○○は同時期に行ったから、効果的だったな。
さらに、年度末に教育課程の実施状況を振り返り、次年度計画に反映すると、学校独自の教育課程ができます。
社会の農業に関する内容は、地域の○○さんに来ていただいたほうがいいな。
担任が教育課程を管理するためには、PDCAサイクルを意識して、週案に計画を書き込み、実施し、振り返った後、次年度計画に反映させることが大切です。週案をきちんとつくって活用しましょう。
イラスト/北澤良枝、横井智美
『教育技術 小五小六』2020年11月号より