なりたい自分に向けて努力する学級活動(3)を学級経営に生かす
将来を見通し、なりたい自分に向けて努力する学級活動(3)を学級経営に生かすことで、「今の自分」の価値や意味を見出し、たくましくキャリア形成を図る児童の育成が期待できます。
執筆/福岡県公立小学校教諭・吉田 卓
目次
1「なりたい自分」の実現へ向けて
児童一人ひとりに「なりたい自分」を明確に持たせ、その実現へ向けて、どのような資質・能力を、どのような活動で育むのかマネジメントすることが重要です。
2 学級経営を支える学級活動
学級活動を中心とした学級経営を図に表すと、次のような「家」に見立てることができます。
3 キャリアパスポートとの関連を図る
学習指導要領総則の中で、特別活動はキャリア教育の要としての役割を担うとされ、学級活動(3)の内容は、小・中・高等学校のつながりが明確になるように整理されています。
これまでの活動の連なりや積み重ね、振り返りをもとに主体的な意思決定を行う上で、キャリアパスポートは重要な役割を果たします。
題材名 幅広い読書習慣
ウ 主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用
●本題材でめざす資質・能力
【知識及び技能】
読書の意義や有用性を理解し、新しいジャンルの本を読んだり、学校図書館等を積極的に活用したりすること。
【思考力・判断力・表現力】
なりたい自分の実現に向けて読書の幅を広げる方法を考え、選択すること。
【主体的に学習に取り組む態度】
日常生活において主体的に読書を続けようとする態度を養うこと。
事前の活動
- これまでの読書習慣に関するアンケートを実施する。
- キャリアパスポートを見返し、なりたい自分と読書のあり方について考える。
アンケートでは、読書の内容や時間等だけではなく、読書の意義や有用性についての問いも設けましょう。学習に入る前に、なりたい自分と読書の関係について考えさせておくことも重要です。
本時
ワンポイントアドバイス
つかむ(課題の把握)
これまでの読書との向き合い方を振り返ることで、なりたい自分と読書との関係について考えさせるようにします。
さぐる(可能性への気づき)
読書の意義、自分の新しいよさや可能性に気づかせ、読書に対する興味・関心を高めます。
見つける(解決方法等の話合い)
図書司書や学校図書館司書をゲストティーチャーとして招き、読書のより深い楽しみ方や有用性を助言してもらいましょう。
決める(個人目標の意思決定)
なりたい自分を明確にした上で、粘り強く取り組める具体的な目標を意思決定させます。
事後の活動
読書習慣として定着するように、短期のみではなく、中長期的に振り返りを設定し、読書に興味や関心を持って主体的な学びとなるようにしましょう。
なりたい自分とのつながりという視点で、キャリアパスポートを活用した振り返りも考えられます。
学級活動(3)の指導にあたっては、中学校や高等学校までのつながりを意識し、なりたい自分を明確に意識させることが大切です。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2020年11月号より