「学習発表会」実施のポイント
- 特集
- 学習発表会・音楽会特集
「学習発表会」は、保護者や他学年の友達、地域の方々などに、これまでの学習の成果を発表する場です。今年度は感染症予防の観点から、例年通りのやり方では難しいところも多いのではないでしょうか。しかし、学習発表会は子供にとって大きな成長のチャンスです。いろいろな工夫をして、子供が達成感を味わい、自信をもつことができるような学習発表会をつくっていきましょう。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・山本恭兵
目次
ねらいの確認・内容の決定
活動の前に、学習発表会のねらいを確認しましょう。学校全体・ブロック・学年と、形態によってねらいも変わってきます。この学習発表会で子供のどんな資質・能力を高めたいのか、担当の先生方とも話し合っておくことが大切です。
ねらいを確認したら、内容を決定します。教師が大まかな計画を想定しておくのは必要ですが、一方的に決めるのでは教育的効果が半減します。子供と一緒にこれまでの学習をふり返り、教師が指導しながら子供たちと話し合って内容を決めるようにしましょう。そうすることで、子供たちが「自分たちで決めた」という思いをもつことができます。
見通しとめあてをもって活動できるように
内容が決まったら、学習発表会までの活動の計画を低学年でも分かるように説明し、子供が本番までの見通しとめあてをもつことができるようにします。特に一年生は初めての体験ですから、カレンダーや表などを活用して、視覚的に分かりやすくするとよいでしょう。
グループで活動する場合は、グループごとに活動予定表を作るとよいでしょう。
二年生で経験のある場合は、予定表の枠だけ用意して、教師のアドバイスのもと、グループで内容を話し合うようにすると、自分たちで活動を進める力が付きます。
〈例〉活動予定表
発表のしかた
発表のしかたも工夫のポイントです。一つの舞台に順番に登場するのか、ブースに分けてそれぞれのグループで発表をするのかなど、発表のしかたによって、「お客さん」への伝え方が変わってきます。ねらいに合わせて発表のしかたも考えていきましょう。また、感染症予防の観点から、お客さんとの距離や発表時間なども事前に確認しておきましょう。
相手意識を高める一工夫
準備を進め、本番の様子が想像できるようになると、子供たちのやる気も一層高まります。ただ、活動が充実してくると、意識は自分たちのほうにばかり向きがちで、発表する相手のことが疎かになることがあります。
そんなときに、発表する相手を意識できるような一工夫を取り入れてみるのも大切です。例えば、保護者の方への招待状を書いたり、他学年に自分たちの活動を紹介するビデオレターを 撮影したりすることが考えられます。クラス内でリハーサルをして見合ってもよいでしょう。 そうすることで、相手意識が高まり、発表のしかたに工夫をするようになります。
同時に、保護者の方や他学年の友達に見てもらうことを楽しみにして、ますます活動にやる気が出るという効果も期待できます。
本番は子供のいきいきした姿が見えるように
発表当日は、多くの子供が緊張することが考えられます。子供たちが練習の成果を発揮し、気持ちよく本番に臨むことができるよう、教師は笑顔で接することを心がけましょう。発表前にトイレや持ち物の最終チェックをすることも必要です。
子供が発表を失敗しないように準備するのはもちろんですが、もし本番で失敗やトラブルがあってもあわてず落ち着いて、「大丈夫だよ」「もう一度やってみよう」とやり直す機会を設けることも大切です。「失敗しちゃった」とマイナスの気持ちで終わるのではなく、「失敗もあったけれど、最後はうまくいってよかった」とプラスの気持ちで終わることができるようにしましょう。そうすることで、やり切ったという達成感を味わうことができます。
ふり返りで成長を確かめる
発表後はふり返りを行います。カードなどで一人ひとりが自分の活動やめあてに対してふり返るようにします。また、ふり返りをクラスで共有する機会を設け、互いのがんばりや学びを認め合ったり確かめ合ったりしましょう。
これらのことを通して、子供が学習の成果だけでなく、自分やクラスの成長を感じることができるようにすることが大切です。
学習発表会の内容例
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2020年11月号より