どの子も発言できるようになる 低学年の話合い活動のポイント
話合い活動の知識や技能を身に付けさせ、合意形成することのよさを実感することができる、低学年の話合い活動のポイントを解説します。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・源 憲一

目次
こんなとき、どうする?
低学年では、話合い活動の経験を積み重ねていき、「みんなで話し合って決めるっていいね」「みんなで話し合って決めたことをやったら、とても楽しかった」と子供たちが実感していくことが大切です。しかし、低学年の発達段階では、次のような実態が見られることもあります。
- 自分の意見をゆずらない
- 自分の意見を発言することができない
- 自分が賛成する意見に決まるかどうかにこだわる など
上のような姿が見られるとき、どのように指導し、話合い活動の知識や技能を身に付けさせ、合意形成することのよさを実感することができるようにしたらよいでしょうか。
具体的な子供の姿を基に指導例を紹介していきます。

どの子も発言することができるように
ケース① 発言が一部の子供に偏る
どの子も安心して発言することができるように支援しましょう。
発言の場をつくる
発言しない理由は、内容が分からない、自信がない、無関心、うまく話せない、反対されるのが嫌、などが挙げられます。
ペアや小グループなど、少しずつ人数を増やしながら話す場を設けて、その後に全体で話し合うようにしたり、事前に自分の意見を紙に書き、教師が励ましのコメントを書いたりすることが有効です。
動作化する
言葉だけでは内容が分かりにくい場合は、試しにやってみることも有効です。話し合う内容や意見を具体的に理解して発言することができます。
広い場所や用具が必要だと考えられる場合は、事前に用意しておきましょう。子供の「実際にやってみたい」という気持ちを引き出すこともできます。
ケース② 自分の意見を発言できない
何かを言いたそうなのですが、なかなか発言できない子供には、その気持ちを理解したうえで支援することが大切です。
自信がない場合
教師が寄り添って「先生に教えてくれるかな」「その意見、先生からみんなに伝えてもいいかな」と助言したり、「○○さんのよい意見が聞けて、先生はうれしかったよ」とほめたりします。
発言のしかたが分からない場合
次のような指導や支援を行うとよいです。
- 話し合う内容や順序を事前に知らせる。
- 拍手やうなずき、身振りなどで友達が発言したときの表現方法を指導しておく。 ペアや小グループでの話合いの時間を設ける。
- 発言した子供への共感や励ましの言葉をかけて、きっかけにする。
名前マグネットを黒板に貼るだけの子供も、自分の考えを表現したと認め、話合いに参加したという実感をもてるようにしていきましょう。
