小4国語「世界にほこる和紙」指導アイデア
教材名:「世界にほこる和紙」(光村図書 四年下)
指導事項:〔知識・技能〕(2)イ 〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)ウ
言語活動:ウ
執筆/香川大学教育学部附属坂出小学校教諭・片岡亜貴子
編集委員/前・文部科学省初等中等教育局教科調査官・菊池英慈、前・香川県公立小学校校長・川井文代
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、文章の内容を短くまとめて説明するという目的を意識して、内容の中心となる語や文を選んで要約する力を身に付けさせます。
文章全体の内容を把握したうえで目的を意識しながら、元の文章の構成や表現を生かしたり、自分の言葉に置き換えたり、補ったり省略したりしながら、分量に合わせて文章をまとめていく力を育てます。
②言語活動とその特徴
本単元では、日本の伝統工芸のよさをカードにまとめて、友達に紹介するという言語活動を設定します。自分が興味をもった伝統工芸について、そのよさを二百字程度でまとめます。
決まった分量のなかで、伝統工芸のよさを伝えるために必ず必要な情報は何か、また自分の伝えたい思いを表現するためには、どの語や文を大事にしなければならないのかなどを考えることで、中心となる語や文を見付けて要約する力が付きます。
また、カードを友達と交流することで、同じ伝統工芸でも目的を意識することによって、内容の中心となる語や文の選び方が違ってくることに気付くことができるでしょう。
単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①既習の要約に関する学習をふり返る。言語活動を共有した後、学習計画を立てる。
【学習課題】伝統工芸のよさをカードにまとめて、友達に紹介しよう。
第二次(2~4時)
②③教材文を読み、和紙のよさを二百字程度に要約して、紹介カードを書く。
④紹介カードを読み合い、気付いたことを話し合う。
→アイデア1 対話的な学び
第三次(5・6時)
⑤自分が選んだ伝統工芸のよさについて、文章を要約して、紹介カードを書く
→アイデア2 主体的な学び
⑥紹介カードを読み合い、要約のしかたや伝統工芸のよさについて感想を伝え合う。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 要約してみて気付いたことを話し合う
教材文全体の内容を把握し、和紙のよさを二百字程度にまとめます。まず自分の力で一度要約してみて、大事にした言葉やその理由、難しかったところや迷ったことを記録するようにして、話合いに生かしましょう。
▼Aさんのカード
▼Bさんのカード
お互いのカードを読み合って、まずカードに書く内容(要約の観点)を洗い出します。そして、友達との話合いを通して、二百字程度で要約するために、必ず必要な観点と書く人によって必要感が違う観点とに整理していきます。
▼紹介カードに書く内容(要約の観点)
・伝統工芸の名前
・作り手の願いや思い
・使い方
・どんな物かの説明
・作り方
・特徴
・よさ
・いつからあるのか(歴史)
・工夫 など
「伝統工芸の名前」は、必要だよ。和紙はみんな知っているけど、みんなが知らない物は、「どんな物かの説明」が入っていたほうが分かりやすいと思うよ。
よさを紹介するカードだから、どんな「よさ」があるのかは、必要だよ。
僕は、丈夫で長持ちすることがよさだと思います。(特徴)
昔から和歌や書物で使われていたこともよさの一つだよ。(歴史)
「よさ」で取り上げている内容は、人によって違うようですね。
人によって取り上げたい「よさ」は違うから、そこは揃える必要はないんじゃないかな。どこを取り上げるかは自分で選べばいいと思うよ。
要約の観点を次のように整理することで、自分が選んだ伝統工芸について、どんなところに着目して文章を読んでいけばよいのかが明確になるでしょう。
▼整理した要約の観点
「よさ」といっても、いろいろあるね。自分が伝えたいよさの文章を中心に、その部分の言葉を使って要約したらいいんだな。
アイデア2 自分が興味をもった伝統工芸を選び、文章を読んで、そのよさをカードにまとめる
伝統工芸の「よさ」とは何かを具体的に捉えた子供たちは、自分の選んだ伝統工芸に関する文章でも、その観点を意識して読むことができるでしょう。その観点に関する内容が文章のどこに書かれているのかを捉えることで、そこを中心に読み返して、自分が伝えたい内容にふさわしい語や文を選んだり、内容をまとめたりしながら要約することができます。
私は、「西陣織」について紹介したいな。西陣織を知らない人もいるだろうから、どんな物かの説明も入れたいな。
「和楽器」の作り方について紹介したいんだけど、まだ分からないところがあるから、ほかの本でも調べてみたいな。
私は、「丸亀うちわ」のことを紹介したい。江戸時代から作られていたなんて知らなかったよ。歴史のことを中心にまとめよう。
子供たちが意欲的に取り組めるように、図書館との連携や社会科との関連を図って、さまざまな伝統工芸に関する文章に触れることができる環境を整えておきましょう。
アイデア3 要約のしかたについて分かったことや工夫したことなどを話し合う
要約をするときに見付かった課題について話し合い、文章の読み方の工夫や大事にしたい語や文の見付け方などを共有して、今後の学習に生かせるようにしましょう。
同じ文章を読んでも、要約する目的や分量によって、取り上げる言葉やまとめ方が変わってくるんだね。
今回は二百字程度の紹介文だから、私はできるだけ短い言葉に置き換えてまとめるようにしたよ。
【ステップ1】要約するときには
・目的をはっきりさせる。
・分量をはっきりさせる。
・必ず入れる内容(名称など)をはっきりさせる。
↓
【ステップ2】要約するときには
・目的に合わせて、まとめるための内容を絞る。
・文章中の語や文を生かしたり、自分の言葉を用いたりしてまとめる。
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2020年11月号より
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