小3国語「ポスターを読もう」ICT活用の授業アイデア|樋口綾香のGIGAスクールICT活用術⑲
Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 今回は、光村図書三年上「ポスターを読もう」の実践を紹介します。
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香
使用タブレット:iPad
使用アプリ:ロイロノート
目次
ICTを活用して考えを深める
今回は、光村図書三年上「ポスターを読もう」の実践を紹介します。
指導目標は「文章を読んで理解したことに基づいて、感想や考えをもつことができる」となっています。ICTを活用することで、さらに作り手側の工夫や意図についても考えを深めることができると考えて、単元を構成しました。
1時間目:ポスターの工夫を見つけよう
①題名に着目する
「ポスターを読もう」と黒板に書き、子供たちもノートに写したあと、
「ポスターって読むものなの?」
と質問をしました。すると、子供たちは、
「見るものだよ」
「なんで読むものなんだろう」
「言葉に注目するってことだね」
と次々に発言をつなぎ、考えを巡らせていました。
題名に着目させるだけで、本時で学ぶことが見えてきます。
②生活と教材をつなげる
次は、
「みんなは、ポスターを見たことがある?」
と尋ねました。
あるある! とすぐに答える子と、宙を見つめながら考え込んでいる子がいます。
子供たちが発表したことを黒板に書くと、考えていた子たちも、生活の中にポスターが溶け込んでいたことに気づいたようです。
- 選挙のポスター
- 政党のポスター
- ポイ捨て禁止のポスター
- ペットのマナーのポスター
ポスターには作った人の思いが込められていることを確かめます。そして、
「その思いをポスターを見る人に届けるために、どんな工夫がされているのかを見つけよう」
と言って、めあてを示しました。
めあて
「ポスターのくふうを見つけよう」
③教科書のポスターを見て気づいたことを書く
教科書のポスター画像をロイロノートに取り込み、子供たちに配布しました。
気づいたことをカードに書き込んで、画像の上に載せていきます。
※(ここでは、教科書に掲載されているポスターとは内容を変えたものを使用した展開例を紹介します)。
初めは、絵にばかり目がいく子が多いですが、机間指導中にそれぞれの子供の気づきを全体につなげていくことで、少しずつ視野が広がっていきます。
さらに、ペア活動を取り入れて、気づいたことを共有しました。
④フィッシュボーン図を使って、気づいたことを分類・整理する
気づいたことを子供たちが発表するときに、わざと4つに分けて板書していきました。
発表のあと、分けて板書したグループを示しながら、
「これは何を見て気づいたことかな?」
と問いかけます。そして、子供たちから、
- 絵
- 文字・言葉
- 色
- 全体
という観点を引き出しました。
この4観点をもとに、気づいたことを書いたカードをフィッシュボーン図に分類・整理します。観点を示すことで、自分の見方が偏っていることに気づいたり、さらに見方が多様になったりします。
⑤学習を振り返る
めあてに照らして、ポスターの作り手の工夫について分かったことや気づいたことを書きました。
- このポスターには二つの伝えたいことがあることに気づきました。「読むのだ」と「こんなにたくさんの人が読書をしているから、君も読んでみよう」です。二番目を見つけた理由は、ポスターに沢山の人が書かれていて、その人たち全員が本を読んでいる姿を見て、思い浮かびました。
- 色や文字、絵や写真、全体のメッセージなど、工夫して作らないといけないポスターは凄いなと思いました。
2時間目:二つのポスターを比べて、よいところを見つけよう
①前時を振り返る
子供たちに、
「ポスターを作るときには、何を工夫していたかな」
と聞き、ポイントを確認しました。
- 絵(写真)
- 文字(言葉)
- 背景
- 色
- 目的(全体)
②ベン図を使って、2枚のポスターを比べて気づいたことを書く
めあてをノートに写したあと、下のワークシートをタブレット上で配付しました。上記のポイントに着目して、2枚のポスターを比べて気づいたことを書くように指示しました。
めあて
「二つのポスターを比べて、よいところを見つけよう」
前時と同じように、机間指導をしながら、子供たちの気づきを少しずつ全体へ広げます。
「あ、写真を詳しく見ているんだね」
「色に注目しているね」
「言葉が違うことに気づいたんだね」
教師の声を聞きながら、子供たちはさらに思考を広げていきます。
③気づいたことを共有する
気づきを書き込んだタブレット上のワークシートを見ながら子供たちが発表したことを板書しました。
板書内にもベン図を書くことで、子供たちは板書を見ながら、自分では出てこなかった考えを書き足すことができます。また、自分で作成したベン図をさらに見やすいように整理して、考えを深めようとする姿も促すことができます。
④学習を振り返る
めあてに照らして、2つのポスターを比べてわかったよいところをノート(タブレット)に書くように指示をしました。
子供の振り返り
- Aのポスターは大人向けで、Bのポスターは子供向けで、年れいのちがいをこえて、楽しめるところ。
- 同じポスターなのに、文字の大きさや写真などをかえるだけで、こんなに伝わってくることがかわるところ。
授業を振り返って
「ポスターを読む」ことを通して、子供たちは、作り手の思いに迫っていきました。すると、
「次の時間は、ポスターを作りたい!」
という子供たちの願いが生まれました。
本単元は2時間単元となっていたのですが、担任の先生と相談し、学級会で当番活動のポスターを作る活動へとつなげることになりました。
子供たちはきっと、キャッチコピーにこだわったり、読み手を引きつける絵や写真を工夫して選んだりするでしょう。どんなポスターができるか、とても楽しみです。
イラスト/したらみ
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樋口 綾香
ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。
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