学級トラブル解決の鍵は…【4年3組学級経営物語15】

10月②「心の向き合い」にレッツ・トライだ!
文/濱川昌人(よりよい学級経営を考える大阪教師の会)
絵/伊原シゲカツ
4年3組担任の新任教師・渡来勉先生……通称「トライだ先生」の学級経営ストーリー。ゆめ先生が担当する4年2組では、魔の10月からか、「靴隠し」や「反抗的な生徒」など、様々な問題を抱えていた。去年のクラスと同じ状態を作ってしまい、落胆するゆめ先生。はたして、ゆめ先生はこの問題を解決することができるのでしょうか。
目次
<登場人物>

主人公。教職1年目。教師になる熱意に燃えて、西華小学校に赴任。 やる気とパワーは人一倍あるものの、時には突っ走り過ぎるのが玉にキズ。しばしば飛び出す口癖から「トライだ先生」と 呼ばれるようになる。4年3組担任。

教職20 年の経験豊富な学年主任。4年1組担任。一見いかついが、 温かく見守りながら的確なアドバイスをしてくれ、 頼れる存在。ジャグリングなど意外な特技も。

教職3年目。4年2組担任。新採のトライだ先生を励ましつつも一 歩リード。きまじめな性格で、ドライな印象を与えてしまうことも。音楽好きでピアノが得意。
「担任の仕事」を全うするには…
放課後、2組の教室に緊急集合した4年の先生たち。
憔悴(しょうすい)した葵先生を囲み、話し合っています。
「思い出したんです。去年のこと…。規律の乱れ、反発する子や問題行動…。今年こそと4月に誓ったのに…」
顔を覆う葵先生。
主任が厳しい顔で続けます。
「昨年は、生徒指導部として支援をしたが…、問題対応の基本は何だった?」
「なぜこうなったのか、まず分析する。そして、問題点に全力でぶつかる…」*ポイント1
気を取り直して答える葵先生に、主任は優しく微笑みました。
「そうだ、やるしかない。ただ…、ズバリ言うが、昨年のつまずきと原因は同じだ。葵先生は、学級全員を《可愛い》と思えていたかな?」
下を向く葵先生。
じっと答えを待つ主任に、暫くして小さな声で答えます。
「…いいえ。指示に従わないノリやアツシ、集団に馴染みにくいサキ…。確かに、可愛く思っていませんでした。いい授業をすることばかり気にかけて」
「どの子も本気で可愛がってるよなぁ、君は」
渡来先生の肩を叩き、話を続ける主任。
「授業力は葵先生に敵わないが、トライだ先生は全員から慕われている。学級の基盤は絆づくりだ!」
『学級の機能回復の方策』
まず、学級のうまく機能していない状況や子どもたちとの関係性の崩れに向き合い、どのパターンで崩れてきているのかを見極めます。そして機能しない状況のパターン別に、回復の手立てを挙げます。
①先生に反抗型
○教師の対応の修正をする。
◦行動を促すような指示の出し方をする。
◦ 頭ごなしでなく、子どもの言い分を聞き、今後へのアドバイスをする。
◦ 子どもの行動のよくない面だけを注意する。
○ よりよい人間関係がつくれるような活動を取り入れる。
○ 参加型で認め合いができるような授業展開を工夫する。
②先生となれ合い型
○学級内のルールを再確認する。
◦ 集団で生活するために最低限必要なルールは先生が提示する。
○ルールを守ることへの見通しをもつ。
◦ みんなで話合いをする。
◦ 先生も守り、定期的に点検する。
○ ルールを守ってする遊び等のトレーニングをする。