第8話 決め技| 連載マンガ「闘う!教育委員会」

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連載マンガ「闘う!教育委員会」
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教育委員会で勤務していた先生の実体験をヒントに作られたマンガ「闘う!教育委員会」。5話連続で描いてきた保護者対応エピソードも今回でクライマックス。鏑木校長、ユミティと一枚岩となり、いよいよ阿部親子との面談をセッティングした千里。それぞれの思惑の拮抗を打破した「決め技」とは!?

登場人物紹介

海原千里(うなばら・ちさと)…このマンガの主人公。30歳。棚橋市の公立小学校で働く、同僚や子供からの信頼も厚い中堅教師。仕事にも慣れて穏やかな教員生活を送っていたが、突然、教育委員会へ異動になる。プロレスラー「ブル様」の大ファン。

飯塚隆史(いいづか・たかし)…棚橋市教育委員会事務局学校教育部学校教育課 指導主事。42歳。生徒指導の主担当。仕事ができるので頼られる。スキンヘッドの強面だが、子供の前だと仏のように優しい。

阿部美保(あべ・みほ)…太一の母親。37歳。鏑木校長曰く「教師を何人もつぶしてきた筋金入りのクレーマー」。夫は単身赴任で不在気味。

阿部太一(あべ・たいち)…棚橋市立藤原小学校に通う小学4年生。サッカーが好き。クラスでは活発な性格だが、母の美保の前では遠慮がち。

鏑木実(かぶらぎ・みのる)…棚橋市立藤原小学校校長。58歳。定年までの日々をなるべく穏便に過ごしたいと願っている。

末成由美(すえなり・ゆみ)…棚橋市立藤原小学校教諭。太一の担任。ちさととは教育実習で一緒の同期。教育熱心な人気者。「ユミティ」の愛称で、同僚や子どもたちから慕われていたが……。

第8話 決め技

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「どうしようもないときに力になるのが、教育委員会よ!」(by千里)
ー原案者・番場美雅朗氏より解説ー

担任をしていると、時には波長が合わない保護者と出会うことがあります。これは経験年数には関係ありません。新任の先生でもベテランの先生でも出会う確率は同じです。そして、そのような保護者が、「担任・学校は自分の要望を聞いてくれない」または「聞いてくれても納得がいかない」と感じた場合、今回の漫画のように教育委員会に直接訴えかけてくる場合があります。

ただ、そのようなことがあったとしても、担任・学校現場は必要以上に恐れることはありません。教育委員会は法に触れること(体罰やセクハラなど)をしていない限り学校の味方だからです。クレームが来たことで学校を責めることはありません。むしろ、学校現場を何とか助けようと全力を尽くしてくれるはずです。

漫画の中で、鏑木校長が「親から学校を守るのが教育委員会の仕事」と文句を言っていますが、今回の教育委員会の指導も、全て、「学校を守る」ためにおこなっています。いじめ防止対策推進法では、いじめの定義を「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」としています、つまり、いじめを受けたものが「いじめだと感じたらいじめ」だということです。だから、いくら保護者が理不尽な要求をしてきたとしても、そのことに対抗して「何もしない」という選択肢をとってしまえば、「訴えがあったのに何もしなかった」という理由から裁判になった時に学校は負けてしまうということです。また、たとえ最終的に勝ったとしても、裁判が始まってしまうと、学校は本来する必要のない労力や時間を使わなければいけなくなります。どちらにしても、いいことはありません。今回の事例も、そうならないように、学校の対応の不備について指導しているのです。この漫画では、そのための対応の一つとして、「記録をとる」という提案がなされています。実際記録に残すことは、時間もかかりますし、嫌な思いも再現することになるので、決して楽しい仕事ではないのですが、文章に残しておくことが証拠にもなり、結局自分自身を守ることにつながります。

ちなみに、私も教育委員課に勤めていた頃、主人公の千里さんのように、3時間以上電話で学校に対するクレームを聞き続けたことがあります。私の場合、「阿部さんのクレームは私が対応します!」とかっこいいことを言ったのではなく、その保護者の校長があまりにも話を聞かないので、なし崩し的にそのような状況になってしまったのです。学校の味方とは言え、この時は、さすがに「校長、ちゃんとしてよ」とぼやきたくなりました。笑。

また、今回のケースとは少し違いますが、日常においても、教育委員会は度々調査や報告書などを求めてきます。もちろん、これも、現場の仕事を増やそうと意地悪しているわけではありません。むしろ、現場をよくするためにがんばっているのです。調査結果や報告書が根拠となって、現在の教育環境が維持されたり、次年度さらによくするための予算がついたりします。

繰り返しになりますが、教育委員会は、学校の味方です。決して、敵ではありません。

監修・解説/番場美雅朗●ばんば・びがろう。小さな地方都市の教育委員会事務局で数年勤め、現在は公立小学校校長。プロレス好き。

マンガ/森本一樹●もりもと・かずき。漫画家。広島県出身。小学館新人コミック大賞青年部門で入選後、デビュー。主な作品に、『小学館版学習まんが 少年少女 日本の歴史』シリーズ、『漫画でわかる平成の30年』など。

作画協力/深山雪男●みやま・ゆきお。漫画家。主な作品に、『ルパン三世M』『ゴルゴCAMP』『まんがでわかるちょこっと社会貢献』など。

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