ギフテッドの個性って何だろう?〈みん教ギフテッドセミナー〉第1回ダイジェスト

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「ギフテッド」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか? 2021年の7月に文部科学省が有識者会議を始めるなど、「ギフテッド」は、今、注目が集まっているキーワードです。

去る2021年11月~12月にかけて、みんなの教育技術主催のオンラインセミナー「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」が全3回で行われました。専門の大学関係者が執筆した同名の書籍『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』(小学館刊)の発刊を記念したオンライン研修会で、同書の執筆陣が講師・パネリストを務めました。

オンラインセミナー「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」

セミナー当日は、教師や教育関係者だけでなく、関心の高い保護者の方々も合わせて全国から100人を超える多くの方々がリアルタイムでZoomに参加しました。そして「受講する」という枠を超え、チャット機能を使って登壇者への質問はもちろん、参加者同士で情報交換が行われる風景もありました。

その様子からは、ギフテッド情報への渇望感、「同じような気持ちの人と交流したい!」という想いなど、当事者の切実な声が聞こえてきました。

本記事では、『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』構成担当の筆者が、全3回のセミナーの内容をダイジェストでご紹介いたします!

>>第2回記事へ >>第3回記事へ

※本オンライン研修会の記録映像が以下より受講いただけます。

ギフテッドの特性は「諸刃の刃」

2021年11月19日に行われたオンラインセミナー第1回のトップバッターは、セミナー座長の北海道教育大学旭川校教授・片桐正敏先生でした。片桐先生は、ギフテッドの子供たちの発達相談を行っています。

オンラインセミナー「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」

まずは、現場での相談業務を通じて、片桐先生が肌で感じるギフテッドの子供の特性を、10項目挙げてただきました。

片桐先生「半数以上当てはまると、学校生活での困難さが、強く出てくることが想定されます。同年齢の子供と比べて極端に目立つというのがチェックポイントです」

ギフテッドチェックテスト 

表は、一見、良い事のような印象ですが、「学校生活での困難さが強く出てくる」とは、どういうことなのでしょうか?

片桐先生「たとえば、②の『没頭するような強い集中力とムラがある』は、裏を返せば過集中(注意を適切に配分できていない状態)なので、作業の切り替えが難しかったり、自分の意識が他のことに向いている時には、まるで授業を聞いていないように見えたりという『弱み』にもなりえます。⑥の『強い正義感』、⑧の『他者への配慮ができる』、⑨の『完璧主義』も、度が過ぎると、本人や周りが疲れてしまいます。 

ギフテッドの「特性」ともいえる、「強い個性」は、強力な武器にもなりますが、時には自分を傷つける諸刃の刃なのです。自分の特性を上手に扱えない小学校時代こそ、周囲の大人がギフテッドの特性を知り、サポートをしてほしいと思います」

過度激動とギフテッドの認知的特徴

続いて、ギフテッドの特性として挙げられた「感情がジェットコースター」の理由の一つと考えられる「過度激動」について、佐賀大学の日高茂暢先生にお話しいただきました。

オンラインセミナー「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」

過度激動とは、文字通り、過度な感情や行動を示す状態です。多くの人が、「あ、そうなんだ」と受け流したり、自然に受け入れたりすることができる物事に、過剰に反応してしまいます。

引き続き、「知能に見合うだけの学業成績が伴わない状態が、なぜ起こりうるのか?」を理解する糸口を、「ギフテッドの認知的特徴」という側面から、ギフテッド・LD発達援助センターの小泉雅彦先生に実例を交えながら解説いただきました。

オンラインセミナー「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」

認知の凸□(※)があるということは、いわば出力のバランスが悪いジェットエンジンで飛行しているようなものという小泉先生の言葉は、とても説得力がありました。

※ギフテッドの場合は、凹というよりも「ふつう」であるので、凸凹ではなく凸□と表記します。この□は本来は凸の上の出っ張りがない平たい四角ですが、フォントの表記制約上、ここでは□で表示しています)

このあたりのことは、『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』の第1章「ギフテッドとは、どんな子ども?」で詳しく整理してあるので、関心のある方はぜひお読みください。

不登校や登校渋りに大人が今できること

日本の公教育は、いわゆる「ふつう」を基準にして組み立てられています。「感情の敏感さ」や「認知の凸□」など、ギフテッドの特性があると、学校生活の中では生きづらく、不登校や登校渋りにつながっている子供たちが数多くいるという現実があります。

後半のディスカッションで、片桐先生は私たちは、『ギフテッドは、配慮や支援が必要な子供』と定義していますとおっしゃっていました。大人がギフテッドの特性を知ることで、子供への理解が深まり、配慮や支援にスムーズに繋がると良いですね。

オンラインセミナー「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」

次回は「ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法」セミナーの第2回を振り返って、「ギフテッドは、発達障害の別の言い方なの?」という素朴な疑問について考えます。>> 第2回記事へ

取材・文/楢戸ひかる(『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』構成担当)

※本オンライン研修会の記録映像が以下より受講いただけます。

ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法
『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』(編著/片桐正敏 構成/楢戸ひかる、小学館刊)

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