小3国語「パラリンピックが目指すもの」指導アイデア
教材名:「パラリンピックが目指すもの」(東京書籍 三年下)
指導事項:〔知識及び技能〕(2)イ 〔思考力、判断力、表現力等〕C ウ
言語活動:ウ
執筆/福岡県公立小学校教諭・高倉梓
編集委員/前・文部科学省初等中等教育局教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・武藤佐予
こちらの記事も併せてお読みいただき教材研究にお役立てください。
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目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
目的を意識して、中心となる語や文を見付けて要約する力を育成します。
②言語活動とその特徴
本単元では、「パラリンピックについてのリーフレットを作って紹介する」という言語活動を位置付けます。まず、パラリンピックについて知っていることなどを話し合い、もっとくわしく調べたい、分かったことを友達に紹介したいという意欲を大切にして、学習計画を立てます。リーフレットとは、情報を一枚の紙にまとめたものです。
ページが複数あるパンフレットに比べて情報量が少ないので、読みやすいというよさがあります。反面、多くの情報を載せることができないので、調べた内容を短くまとめることが必要になります。そこで、伝える目的を意識しながら、大事な語や文を選んだり、言葉を削ったりして要約する学習をします。
また、要約するためには、各段落の中心となる語や文を捉える、段落相互の関係を考えるといった、これまでに身に付けた力を生かして文章を読んでいくことが欠かせません。
単元の展開(12時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
①②パラリンピックについて調べたことをリーフレットに短くまとめて、友達に伝えようという単元を設定し、学習計画を立てる。
→アイデア1
【単元】短くまとめてつたえよう。
第二次(3~11時)
③④⑤⑥「パラリンピックが目指すもの」を、大事な語や文を見付けながら読んで要約し、リーフレットにまとめていく。
→アイデア2
⑦⑧⑨パラリンピックについて、もっとくわしく知りたいことや調べてみたいことを本や資料を読んで調べる。
⑩⑪調べて分かったことを要約し、リーフレットにまとめる。
→アイデア3
第三次(12時)
⑫完成したリーフレットを読み合い、感想を交流し、本単元の学習をふり返る。
アイデア1 主体的に教材を読むための工夫
教材との出合い
教科書に載っているから教材文を読むというのではなく、関心を高めたり、必要感をもたせたりしてから教材文に出合わせます。まず、パラリンピックのクイズなどで、まだ知らないことに目を向けさせます。そうすることで、子供は、「ボッチャとはどんな競技なのか知りたい」といった目的をもって、教材文「パラリンピックが目指すもの」を読むことができます。
パラリンピックとオリンピックの競技は違うのかな。ボッチャって、どんな競技なのかな?
教科書にパラリンピックについて書かれた文章がありますね。
リーフレットについて知る
パラリンピックについて、もっと調べて伝えたいという意欲が高まったところで、教師がリーフレットを提示して、形式や内容について確かめます。教材文を読んで分かったことを要約してリーフレットを共通で作った後、調べて分かったことを要約したリーフレットを一人ひとりが作ります。
▼リーフレット
リーフレットは、書く分量が少ないので、子供には、一見書きやすいように見えます。そこで、リーフレットの文章と、もとの資料の文章を提示して、短くまとめるにはどうすればよいかという問いをもたせます。
「パラリンピックとは何?」の部分のもとになった資料を見てみましょう。
こんなに長い文章をどうやって短くまとめたのかな? 難しそう。
それなら、みんなで短くまとめることを勉強しましょう。
アイデア2 要約のしかたを学ぶための工夫
サンプルの掲示
この単元で、子供たちは初めて「要約」について学びます。まず、「どうやって短くまとめたらよいか」という子供の問いから、要約のしかたについて話し合います。このとき、要約という学習用語を押さえます。
それから教材文と、要約したものをサンプルとして提示し、「どんな語や文を選んでいるか」「どのようにまとめているか」という視点で、気付きや考えを交流し、要約のポイントをまとめていきます。教師が一方的に要約の方法を教えるのではなく、子供たち自らが見付けていくことができるようにすることが大切です。
また、リーフレットの見出しは、アイデア1の「リーフレットの見出し」にあるように、問いの形(疑問形)にするとよいでしょう。「問い」の「答え」に関係ある語や文を選ぶことが、要約するポイントです。
▼教材文と要約した文章を比較する
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2020年10月号より