グレーゾーンの子も安心できる!小学校の水泳指導の方法
通常学級にいる、発達障害におけるグレーゾーンが疑われる子どもたち。そんな子どもたちにとって、普段とは違う状況は不安になりやすいものです。
特別支援教育をベースにした学級経営を提言されている南惠介先生に、今回は「水泳指導」を例に、 気をつけることについて教えていただきました。 問いに対する答えを自分で考えながら、読んでみてください。
執筆/岡山県公立小学校教諭・南惠介
目次
Q 水泳指導が始まります。どんなことに気をつければよいでしょうか?
Point1 変化を予告する
水泳指導で一番気をつけたいのは、いままでと場所と方法が変わるということです。いきなり水泳指導を始めるのではなく、事前にどこでするのかを伝えたり、場合によっては、下見に行くことも必要です。また、水泳の前後の子どもたちの動きをイメージしておくこともよいでしょう。子どもたちは、多くの場合が幼稚園や保育園で「集団でプールに入る」ことは経験しています。ただし、場所や着替えの仕方、時間の長さなどは違います。
とくに「気になる子」にとっては、「場所が変わる=知らないところ=怖いかもしれない」と考える傾向にあるので気を付けたいところです。
よって、着替えや移動、タオルの置き場所、体操の仕方、並び方、シャワーの浴び方など、水泳指導の前後の動きをイメージし、数字を使って順番をつけ、簡潔、かつ丁寧に伝えましょう。
あわせてプール指導そのものも、内容を毎回変えるのではなく、せめてスタートは同じにしておくとよいでしょう。「毎回○○遊びから始まる」だけでも安心感が違います。ここでも図やイラストなどを使って伝えていくとよいですね。
Point2 過敏さは不安の表れ
低学年のお子さんでシャワーのときに、「痛い、痛い」と泣き叫ぶお子さんはいませんか?
「過敏さ」は、「気になる子」の特性です。シャワーに限らず、靴下をすぐ脱いでしまう子、耳をすぐふさぐ子も「過敏さ」の表れだと考えられます。
そういう場合は、まず「安心」であることを示す、つまり「見通し」をもたせることが大切になってきます。そして、苦手なことに対しては「ちょっとずつ慣れさせていく」ことが大切です。
とくに、水泳指導が始まるころは、水が冷たく、それだけで「怖い」と感じるお子さんも多いのです。あらかじめペットボトルに水を入れておいたものや、ホースにたまった温かい水をかけて、その代用としたりするなどして、寒い時期をやりすごして様子を見るということも考えられるでしょう。
ただ、ここでは指導と書きましたが、実際は「遊び」の延長からスタートすればよいのです。水泳に限りませんが、低学年の体育は「~遊び」と書かれています。子どもたちが安全で安心して活動し、そして結果的に学べる「場」の設定こそが大切です。
『小一教育技術』2017年7/8月号より