ケース別に解説!支援が必要な子のつまずき支援法【低学年・生活編】
低学年の子供が、二学期に直面しがちなつまずきに対して、担任や学級でできるサポート法を紹介します。今回は生活面についてです。
執筆/聖徳大学大学院教職研究科教授・腰川一惠

こしかわ・かずえ。公認心理師、臨床発達心理士、スーパーバイザー。専門は、特別支援教育、特別支援教育コーディネーターの研究など。『発達障害の子をサポートする学習・生活支援実例集 小学校』(池田書店)など、著書多数。

目次
忘れ物が多い
二学期になり、忘れ物が多くなった子供は、自分で持ち物を用意するようになっているかもしれません。保護者ももう子供一人でできると思うようになります。忘れ物が多い子供の中には、注意力、記憶しておく力、書く力の問題が原因になっていることもあります。
連絡帳に翌日の持ち物を書いているから覚えていると思ってしまいがちですが、書き写すことに一生懸命になっている子の中には、その内容を覚えていないことがあります。連絡帳に書いた内容を帰る前に復唱する、もしくは、「明日は何を持ってくるのかな?」という教師の問いかけに答えることも、持ち物を記憶にとどめる一つの方法になります。
チェックシートを作って、下校前や家で明日の持ち物を用意するときにチェックシートを確認することも効果的です。まずは、大人と一緒に確認する経験をして、徐々に一人でチェックシートを使って確認できるようにします。
それでも忘れ物が減らない場合は、保護者への手紙や宿題のプリントなどはファスナー付きクリアケースに入れ、教科書・ノート・ドリルなどは教科ごとに一つのクリアケースに入れるようにすると、持ち物の数が減り、忘れにくくなります。保護者に忘れ物チェックをお願いすることも必要です。
忘れずに持ってこられた場合はほめて、どうやったら忘れなかったかを子供に言ってもらいましょう。忘れずに持ってこられた方法は、次からも活用できるとよいですね。

整理整頓が苦手
夏休みに整理整頓の機会がなくなったため、二学期になると、机の中が乱雑だったり、足元に鉛筆や定規を落としたりしている子供がいます。整理整頓ができていないと授業のとりかかりが遅くなり、学習の遅れの原因にもなります。片付けられない要因には、注意力や順を追って考える判断力の課題も考えられます。
二学期のはじめには、クラス全員で片付けたり、次の時間に使う物を机の上に出したりする時間をつくりましょう。授業の途中でも使い終わった物はすぐに片付けるように促します。そのような働きかけのときには、整理整頓が苦手な子の机の中や道具箱などをさりげなく一緒に確認します。
子供の中には声をかけるだけでは、整理整頓ができないこともあります。そのような場合は、机や道具箱の中のどこに何をしまうのかを子供と話し合って決めましょう。しまい方を絵や文字、写真などを使って見えるように貼っておくと分かりやすくなります。
それでも難しい場合は、机の横に「とりあえずボックス」を置いておき、授業が終わったら必要がない物を「とりあえずボックス」にひとまず入れます。机の中が、これから授業に使う物だけになると、必要な物を取り出しやすくなります。「とりあえずボックス」は、帰りの時間に入っている物を確認して、カバンに入れながら、できたことを認めていきましょう。
