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カウンセリングの3技法で学級内のトラブルを解決!

2019/5/29

新学習指導要領で取り上げられたガイダンス機能。カウンセリングの3つの技法(傾聴・応答・質問)とともに活用して、安心で信頼感のある学級づくりを目指しましょう。

カウンセリングスキルイメージ
撮影/金川秀人

カウンセリングの3技法を駆使して合意形成

学級活動の話合い活動や道徳、トラブル場面などでは、提案理由やそれぞれの主張を踏まえ、自分もよくみんなもよいものとなるよう合意形成を図り、決まったことをみんなで協力し実践できるように適切な指導をすることが大切です。二年生は、自己主張できるようになる時期でもあり、なかなか話合いで折り合いを付けるのは難しくなります。

私のおすすめは、カウンセリングの三つの技法(傾聴・応答・質問)を順序に従って使用し、合意形成することです。

第一段階の「傾聴技法」では、提案者の気持ちを「分かろうとする」こと、第二段階の「応答技法」では、「分かったことを伝える」こと、第三段階の「質問技法」では、「さらに分かろうとする」というプロセスを経ることです。

「傾聴」の意図と効果

傾聴技法は、相手の話に関心をもち、相手の話に意識を集中して、自分の主観や価値判断の表明は後回しにして、相手の身になって理解しようとすることです。

効果としては、「自分の話をじっくりと聴いてもらえることで、心が落ち着き、安心する」「相手の人と心理的な距離が縮んだ感じがする」「しっかり聴いてもらえることで、相手に大切にされていると感じる」「自分は自分でいいんだと思うことができる」などです。

「応答」の意図と効果

応答技法は、相手の経験したこと、感じていること、望んでいることなどを、できるだけ的確に捉えること、そしてそれを相手に伝え返して確認することです。

効果としては、「話を聴いていること、理解していることを相手に伝えることができる」「話したことや自分の気持ちを分かってもらえることで、励まされた、受容されたと感じることができる」などです。

「質問」の意図と効果

質問技法は、相手の言いたいことをはっきりさせたり、考えを導いたりするもので、質問すること自体が援助にもなり得ます。

効果としては、「より気持ちをはっきりさせることで、主張したいことに気付く」「相手を理解しようとする積極的な関心を示すことになり、疑問や不安を解消するのに役立つ」「自分の考えや気持ちに気付き、整理できる場合もある」などです。

対立解決モデルの概念図
対立解決モデルの概念図

上の図は、合意形成を意識した「対立解決モデルの概念図」です。

合意に至らない場合、右下の「諦める」や左上の「戦う」、中には左下の「逃避する」ケースも出てくるかもしれません。そのような話合いになると、関係性ができていない場合、「自分が言っても取り上げられない」「自分の居場所がない」などと感情的な不満になりやすく、中学年になって自ら発言しなくなったり、他者任せになってしまったりする場合もあるので、気を付けて指導に当たりたいものです。

相手の気持ちを「聴く」ミニゲーム

【ねらい】
学級内で起こるトラブルに対して、「聴く」ことを通して級友の捉え方に気付き、問題解消への方法やスキルを身に付ける。
【身に付く力】
他者への肯定的な理解
【ミニゲームのやり方】
例えば、掃除の時間にもめてしまった場面でのお互いの言い分や不安・不満な気持ちを知り、相手の話を「聴く」ことを通して、互いの心情に気付けるようにします。

1.教師がインタビュー形式で「聴く」モデルを示す

【傾聴】
まず、トラブルとなっているそれぞれの言い分を聞きます。

傾聴
「Aさんは掃除のときに、BさんとCさんがしゃべっているのは、掃除をさぼっているんじゃないかと思ったのですよね」
「BさんとCさんは、自分のやることが終わったから、おしゃべりをしていてもいいと思っていたということですよね」
「傾聴」 イラスト/たなかあさこ

【応答】
双方の考え方を言葉で整理して確認します。当事者は、自分の気持ちや考えを受容してもらっていると気付きます。

応答
「Aさんは班長として、掃除のときに自分のことが終わったら、終わらないところを手伝うべきだと思ったのですよね」
「BさんとCさんは、自分の分が終わったのだから、みんなが終わるのを待っていていいと思っているのですよね」
「応答」 イラスト/たなかあさこ

【質問】
他の子どもたちへ、双方の立場になって気持ちを考え、どう思ったか意見を聞きます。それにより、当事者に折り合いを付けたり、解決に向けて促す。当事者は、折り合いをつけることが大切であることに気付きます。

質問
「皆さんはAさんの立場で、BさんCさんの気持ちを聴いて、どう思いましたか」
「BさんとCさんの立場になると、どのように思いますか」
「Aさんは、皆の考えを聞いてどう思いますか」
「BさんとCさんは、皆の考えを聴いてどう思いますか」
「質問」 イラスト/たなかあさこ

2.不安や悩みを解決する手順を確認する

最初から自分の考えや意見を言うのではなく、「傾聴」「応答」「質問」の順で聴く(気持ちを確認する)ことで、それぞれの言い分を整理しやすくなることを確認します。

3.最後に全体で振り返りをし、今後自分はどのようにするか自己決定する

教室内で起こりがちなトラブル場面では、当事者双方が主張し合うことで自分の考えを承認してほしいと思いがちです。一連の流れを経ることで「承認されない不満への効果」が有効に作用します。

○トラブルの不安や不満を一旦受容して話合いをすることで、共感的に理解してもらっていることに安心感を得やすい。
○場面の状況確認から、互いの「言い分」と「言い訳」の違い、生活ルールを確認して今後に生かすことを実感できるので、不満が残りにくい。


教えてくれたのは・・・

八巻 寛治 先生
ガイダンスを学級づくりに活用する会代表。上級教育カウンセラー・ガイダンスカウンセラー・小学校教員ほか。エンカウンターミニエクササイズ、心ほぐしミニゲーム、課題解決のカウンセリングなどを活用した実践を紹介している。

参考引用文献:「社会的スキルを育てるミニエクササイズ基礎基本30」八巻寛治著(明治図書)

『小二教育技術』2018年5月号より

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