小1算数「一学期つまずきポイント」克服のためのアイデア
数の合成・分解が苦手だったり、文章問題が理解できていなかったり……。1年生一学期の算数で「つまずきやすいポイント」を取り上げ、克服するための指導ポイントやアイデアを、スペシャリストの先生が紹介します。
執筆/特別支援教育アドバイザー・山田 充
やまだみつる 特別支援教育士スーパーバイザー・特別支援教育士資格認定協会理事。37年間教員を務めた後、広島県廿日市市教育員会特別支援教育アドバイザーとして活躍。著書に『学びにくい子への「国語・算数」つまずきサポート』(明治図書出版)など多数。
目次
【算数】つまずきポイント①「数の合成・分解が苦手」
数の合成・分解が苦手で、10までのたし算やひき算で、つまずいてしまう子がいます。これは、計算の基礎的な数概念をまだ習得できていないことが、一つの要因です。焦らず、数概念を獲得できるように、ていねいにおさらいすることが大切です。
指導ポイント
何度も見て、イメージを頭の中にインプット
数概念が弱い子に指導する際は、「しっかり考えさせる」ではなく、「概念をしっかり入れる」という発想で行う必要があります。
例えば、10の分解や合成であれば、8を見て、2を思い出すように指導するのではなく、8と2が見えた状態で指導します。「8はあといくつで10になる?」と聞き、目で確認した後に答えてもらいます。最初に答えが分かる状態で、何度も繰り返して、「8と2」のイメージを定着させましょう。
低学年は、多様な発達段階をもっており、入学までにこのイメージの獲得が終わっている子もいれば、これからそのイメージを獲得する子もいます。授業や学校生活の中で、イメージ獲得の時間を、ていねいに確保することが大切です。
【算数】つまずきポイント②「文章問題が理解できない」
一年生の算数では、たし算やひき算の文章問題も多く出てきます。文章を読み解く力は、すべての教科に共通する重要な力なので、文章問題への苦手さは、早めに克服しておきたい課題です。文章問題でつまずいてしまう子の多くは、文章とその表す意味をつなげて考えることができず、さらに頭の中でそれをイメージ化することが苦手な場合が多いでしょう。どうイメージ化させるかが、支援のポイントになります。
指導ポイント
発想の逆転! 絵を見て、文章を考える
文章問題を絵に描いて説明してもらうことはよくありますが、これはイメージ化が苦手な子にはとても困難なことです。そんなときは、いきなり文章を絵に描いてもらうのではなく、発想を逆転し、「先生が問題文を絵で描き、それを子供たちに文章に直してもらう」という取り組みから始めましょう。ないものを絞り出すのではなく、まず絵によってイメージが先に提示され、それに文章を合わせることになるので、多くの子は無理なくできるでしょう。
はじめはできない子でも、これを何度も繰り返すことで、文章問題をイメージ化する力が養われ、文章問題を絵に描いて説明できるようになっていきます。最終的に、文章問題への苦手意識も克服できるでしょう。
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イラスト/みながわこう
『教育技術 小一小二』2021年6/7月号より