小1算数「何時 何時半」指導アイデア《何時を読んだり、時計の針を合わせたりする》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/新潟大学附属新潟小学校教諭・二瓶亮
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、新潟市立新津第一小学校・第一幼稚園校園長・間嶋哲

単元の展開

第1時(本時)何時の時刻を読んだり、時計の針を合わせたりする。

第2時 何時半の時刻を読んだり、時計の針を合わせたりする。

本時のねらい

時計の長針と短針の位置関係に着目して、時計の仕組み及び読み方を理解することができる。

評価規準

  • 時計を見て、時刻を正確に読んだり、時刻を時計の模型で正確に表したりできる。(知識・技能)
  • 時刻を読む際、時計の長針と短針の位置関係に着目して考えている。(思考・判断・表現)
  • 日常生活と時刻を関連させて捉えようとしている。(主体的に学習に取り組む態度)

本時の展開

封筒や袋から長針と短針が付いていない時計を少しずつ見せていきます。時計を情報不足の状態で提示し、時計についての情報を子供から引き出すなかで、時計についてのイメージを広げていきます。このやり取り自体が、子供が時計を読む際の見通しにもなります。

あっ! 時計だ!

どうして少ししか見えていないのに時計だと分かったのですか。

だって、円いし、12が見えて、12の次に1が来ると言ったら時計です。

教室の時計とそっくりだよ。

まだ見えていない部分があるのに、時計だって分かってすごいですね。まだ見えていない部分には、何がありますか。

ほかにも数字が隠れています。

2、3、4、5……10があるはずです。

針も隠れているはずだよ。

そうそう。針は2本あるはずだよ。

※秒針について触れてくる場合も考えられます。その場合は、取り上げるとよいでしょう。もし出てこない場合は、この単元ではあえて触れなくてもよいです。

なるほど。みんな、すごく詳しいですね。この時計は「何時」を表していますか。

先生、時計に針がありません。

針がないと何時か分かりません。

うっかり針を落としてしまいました。今くっつけますね。

※ 短針だけの時計を提示します。

先生、1本足りません。針は2本です。教室の時計も針が2本あります。

そうそう。1本は長くて、もう1本は短いんだよ。

短いほうが「何時」を表していて、長いほうが「何分」を表しているんだよ。

2本ないと、時計は読めないよ。

では、針をもう一本くっつけますね。

※子供は日常生活の様々なところで、時刻や時間に触れてきています。「何分」に関しては、未習内容ではありますが、子供の既有経験から出てくる言葉だと想定されます

※短針だけでも「8時」と読むことはできるという意見も出てくるかもしれません。そのように発言する子供は、時計のしくみを理解している可能性が高いです。取り上げることで、時計の読み方に慣れていない子供にとっては、すぐに理解することが難しい場合があります。取り上げる場合は注意が必要です。


とけいは 「なんじ」を あらわして いますか。

自力解決の様子

A つまずいている子
長い針を見て、12時と読んでしまっている。


B 素朴に解いている子
長針には着目していないが、短針が8にあることから、8時と考える。


C ねらい通り解いている子
短針が8にあることから、8時と考える。さらに、「何時ぴったり」になる場合は、長針が12を指していることに気付いている。



時計はどのようにして読めばよいのかな。

学び合いの計画

短針だけに着目し、長針には着目しない子供もいることが考えられます。また、長い針だけを見て、12時と読んでしまう子もいるでしょう。

こういったつまずきはただの間違いとして処理するのではなく、その子の考えを基にして、時計のしくみの理解を深めるきっかけとしていくことが大切です。

そうすることで、つまずいた子だけでなく、学級全体が、つまずきを価値あるものとして認識していくことへとつながります。

その際、つまずいている子供に発言させるのではなく、教師がその考えを代弁する形で提示することも考えられます。教師がつまずいてみせ、その後の子供とのやり取りをコーディネートすることで、つまずきから学ぶという雰囲気をつくっていくこともできます。

また、一年生は、具体物操作が重要な働きをします。子供に模型の時計を操作させながら学習を進めていくことが大切です。

時計の針を動かしていくなかで、長針が1周すると短針が数字1つ分動くなど、時計のしくみに気付いていくことが期待できます。

1人1台端末活用アイデア

時計を動かすことができる無料アプリがいくつかあります。算数ボックスのなかにある模型の時計の代わりにアプリを活用することもできます。

タブレットを用いるよさは、子供が動かしている様子をテレビにミラーリングで映し出して、考えを共有することができる点です。

ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

先生は、この時計は12時を表しているんじゃないかなと思うのですが、どうですか。

先生、違います。12時ではありません。

でも、先生がどうして12時と思ったのか分かります。

※このように「12時は間違いだけど、どうしてそう考えたかは分かる」というような子供の声が出てくることを期待したいところです。このようなつまずきに寄り添うような発言に対してはていねいに価値付けを行い、学級全体へと広めていくとよいでしょう。教師が「先生の気持ちが分かる人はいないかな?」と問うことも必要になるかもしれません。

私も分かるよ。長い針が12を指しているから12時だと思ったんだよ。

そうそう。でも本当は、短い針が何時かを表すんだよ。

だから、この時計は短い針が8にあるから8時と読むんだよ。

そうですか。長い針が12のときに12時と読むと、何か困ることがありますか。

あります。長い針が12のときはほかにもあるからです。例えば、これだと本当は9時だけど、長い針が12にあるから12時と読んだら、全部12時になってしまいます。

「何時ぴったり」のときは、長い針がいつも12になるんだよ。

何時ぴったりの時間を表すときは、長い針が12を指しているということですね。では、針を回していくので、「何時ぴったり」になったときに「8時、9時……」というように時計を読んでください。

※模型の時計の長い針を動かしていき、長い針が1周して12を指したときに、短い針が次の数字を指すことを視覚的に確かめるとともに、時計が動いていき「何時ぴったり」を正しく読む練習をする。


「△時」は、短い針を見る。「△時ぴったり」のとき、長い針はいつも12を指す。

評価問題

とけいに ながい はりと みじかい はりを かきましょう。

①4じ

②11じ

子供に期待する解答の具体例

長い針を「何時」のところに、短い針を12のところにかいている。



感想例

時計を動かしてみたら、長い針が1周したら短い針が1つ進むということがよく分かりました。

板書例

イラスト/横井智美

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