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「フリートーク」でコミュニケーション能力を磨く-学習の基盤となる国語力を伸ばす【筑波大学附属小学校】第3回

「教科担任制」を導入する筑波大学附属小学校の国語科教諭・桂聖先生と白坂洋一先生に、すべての教科のベースとなる 「国語力」の重要性についてお話しいただく連載企画。第3回目は、「フリートーク」を実践し、コミュニケーション能力を高める方法について、桂先生に詳しくお聞きします。

桂聖先生
桂聖(かつらさとし)筑波大学附属小学校国語科教諭。山口県出身。山口県公立小学校、山口大学教育学部附属山口小学校、広島大学附属小学校、東京学芸大学附属小金井小学校教諭を経て、現職。 光村図書国語教科書編集委員。『例解学習国語辞典[第十一版]』(小学館)編集委員。著書に、『教材に「しかけ」をつくる国語授業10の方法 文学アイデア50』(東洋館出版社)など多数。

自由に、安心して、話したり聞いたりできることが大切

――『これからの時代に求められる国語力について(文部科学省)』には、「国語力の中核を成す領域は、『考える力』『感じる力』『想像する力』『表す力』の四つの力によって構成されている」とあります。 この四つの力が、具体的な言語活動として現れたものが、「書く」「読む」「話す」「聞く」と考えてよいでしょうか?

桂先生 そうですね。国語力を身に付けるには、「書く」「読む」「話す」「聞く」の4技能をバランスよく磨くことが大切です。特に、「話す力」「聞く力」を磨くことは、「伝え合う力」つまり、コミュニケーション能力を高めることにもつながるので、これからの時代を生き抜く子供たちにとって、欠かせない力といえます。

「話す力」「聞く力」を磨くために、私のクラスでは、フリートークを取り入れています。国語の時間に、話合い活動やディベートなどを取り入れる場合もありますが、「正しいか? 正しくないか?」という観点になってしまいがちです。すると、「間違っていたらどうしよう」「考えがまとまらないから話したくない」など、のびのびと発言できない子も出てきてしまいます。

そうではなく、「話す力」「聞く力」を磨くためには、クラスみんなが、自由に、安心して、話したり聞いたりできるような環境を作ることが大切です。また、朝の会などに、10分程度でよいので、楽しみながら習慣化していくことも重要ですね。繰り返して行うことで、話す・聞くに、自然に慣れていくようにしましょう。

桂聖先生

「好きなもの」について、話したり聞いたりすることから

――「書く」「読む」は、子供たち一人ひとりが、比較的自分のペースで磨くことができますが、「話す」「聞く」は、協働活動となるので、苦手な子へのアプローチが難しいのではないでしょうか?

桂先生 いきなりクラスみんなで、対話形式の話合いをするのは難しい場合もあります。まずは、先生が中心となり、簡単なテーマについて、話したり聞いたりすることから始めるのがいいでしょう。

例えば、「好きな食べ物」「好きな色」など、自分の「好きなもの」について答えてもらう活動を繰り返し、慣れてきたら、「なぜ好きなのか」という理由を話してもらう活動へ広げていくのがおすすめです。これなら、低学年でもできますね。「カレーライス」と一言だけ言う子や、「お父さんが作ったラザニアが好きです。なぜなら……」と詳しく話す子など、答えはさまざまですが、上手に話すというよりも、話す・聞くに慣れることを目指します。

―― 「好きなもの」についてなら話しやすいし、友達の発言を聞くうちに「真似してみよう!」という意欲もわいてきそうですね。 ただ、たくさんの人の前で話すのが苦手な子は、どうしたらいいでしょうか? 人前で発言する力は、大人になっても問われる大切な力だと思うのですが……。

桂先生 第一回目で紹介した語彙力バトル「 コトバトを 、班で実践するのがいいですね。4〜5人での活動なので、引っ込み思案の子でも発言しやすいのではないでしょうか。また、お題に沿って、辞書から言葉を探したり選んだりするので、「答えが思い付かない」「考えがまとまらない」という子にも取り組みやすいですね。ゲーム感覚で辞書をパラパラめくるうちに、いつのまにか答えが見つかったり考えがまとまったりするかもしれません。コトバトは、短時間でできるので、習慣化することで、自然に、楽しく、話す・聞くを磨くことができます。

※コトバト……辞書を使った語彙力バトルゲーム。桂先生と白坂先生がゲーム考案のアドバイザーを務めました。用意するものは、紙と鉛筆と国語辞典。4〜5人の班になって、「お題」にぴったりな言葉を、国語辞典から探し出します。

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コトバトで 『例解学習国語辞典[第十一版]』 をめくり、言葉を探す子供。
コトバトで 『例解学習国語辞典[第十一版]』 をめくり、言葉を探す子供。「コトバトを繰り返し行うことで、自分の考えを上手にまとめられるようになり、伝える力を磨くトレーニングにもなりますね」(桂先生)。

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