低学年の学級開き集会のポイント

「この学級は楽しいな」「みんな優しい友達だな」「もっと楽しく過ごしたいな」という期待感や所属感を味わい、これからの毎日を意欲的に過ごしていけるような学級開き集会を行うためのポイントの紹介です。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・阿部美弥

低学年の学級開き集会

一年生になって

入学してから、子供たちは小学校生活に期待をもちながらも、緊張と不安のなかで生活を送ってきたことでしょう。

5月には4月の経験をふまえ、「この学級は楽しいな」「みんな優しい友達だな」「もっと楽しく過ごしたいな」という期待感や所属感を味わい、これからの毎日を意欲的に過ごしていけるような活動を行っていきましょう。

幼稚園・保育園時代を思い出しながら

入学するまでの子供たちは、幼稚園や保育園など、それぞれの場所で集団生活をし、さまざまな活動経験を積んできました。

「幼稚園ではどんな歌を歌ったのかな」「保育園ではどんなゲームをしたのかな」「この手遊びは知っているかな」など、これまでの経験を確かめ、生かしながら活動をするようにします。

子供たちの緊張もほぐれ、「自分の知っていることが基になる」という安心感や期待感をもつことができます

「幼稚園で歌ったよ」

担任や友達と安心して触れ合える集会を行う

めあてを意識できるようにする

集会を行う場合、子供がめあてを明確に意識することが大切です。1年間の最初の集会なので、先生と関わったり友達と触れ合ったりして、友達のことを知ることができる会にしましょう。

「学級の友達の名前を覚える」「先生の好きなものを知る」など、なんのために集会を行うのか、教師がめあてをもっておくようにします。教師が、年度はじめの集会として、子供たちの姿を具体的に想定しておくことで、集会に向けての適切な支援をすることができ、子供が学級への所属感や期待感をもつことができます。

「学級のみんなとお友達になりましょう。お名前は覚えたかな」

「みんなでやってみる」経験をする

全員で役割を分担し、一人ひとりが遊びに関わることのできる場面を用意します。担当の名前などを掲示し、全員が関わることを意識することで「一人一役」につなげましょう。

〈プログラム例〉

どうぞよろしくね しゅうかい
①はじめのことば
②うた「あくしゅでこんにちは」
③みんなであそぼう「じゃんけんれっしゃ」
④おなまえおしえよう「とんとんげえむ」
⑤おわりのことば

プログラムは子供たちと相談しながら決め、自分たちで決めていく素地をつくっていきましょう。

実践する

幼稚園や保育園での活動を生かしたプログラムを、子供たちとともに楽しみましょう。これからみんなで過ごしていくことや学校が楽しいと思えるような気持ちを味わうことができるようにしましょう。全体の司会は教師が行い、「今度はぼくもやってみたい」と思えるようなきっかけにしたいものです。

握手する子供

活動をふり返る

「楽しかったかな」「お名前、覚えたかな」など、集会を通してめあてを達成できたことを価値付け、実感できるようにしましょう。今後もミニ集会などを繰り返していくとよいでしょう。

二年生とつくる集会活動

きっかけ

二年生になって1か月を過ぎた頃の子供たちは学校生活も知り、さまざまな気付きが出てくる頃です。その気付きを教師がしっかりと見とり、子供たちへ発信していくことで集会活動のきっかけになることがあります。

〈子供から発信される集会活動のきっかけ例〉

•昨年度の経験から
「一年生のとき、みんなで集会を開いて楽しかったよ。また遊びたいな」
•学校行事から
「一年生を迎える会でプレゼントをもらってうれしかったよ。今の一年生にもあげたいな」
•係活動から
「お誕生日係からプレゼントを渡すときに、みんなで渡したいな」
•学級の節目に
「花丸が10個貯まったからお祝いがしたいな」

これらの発信に教師が気付き、「これをやってみるのはどうか、みんなにも聞いてみようね」と全体へ投げかけることで、全体へ共有され、活動が始まります。

子供たちの思いを生かした活動づくり

めあてを立てる

学級が「その集会をやりたい」という前向きな気持ちになったら、それをそのまま行うのではなく、めあてを考えましょう。「なぜ、それをしたいと思ったの」「どうして」と問い返し、その理由を聞いてみましょう。「全員でお祝いしたいから」「お誕生日の人に楽しんでもらいたいから」「一年生と仲よくなりたいから」などの返事が返ってくることと思います。それが、子供たちのめあてにつながります。

準備をする

全員で役割分担をし、一人ひとりが集会の準備に関われるようにします。役割も、「プレゼント係で、お誕生日の人が喜んでくれるように好きなキャラクターを描いたカードを作りたい」「飾り係で、5月らしさが出るような飾りを作りたい」というように、係としての「集会を盛り上げたい」という思いをもち、それぞれが集会のめあてや意義を理解したうえで準備できるよう、教師は意図して支援していきましょう。

「係のめあてをしっかりもってていますね。周回が盛り上がりそうですね」

〈プログラム例〉

※一年生との交流を図った集会に発展することも考えられます。

4、5月のおたん生日会
①はじめのことば
②ハッピーバースデーとプレゼント
③ゲーム(4、5月生まれさんリクエスト)
④今月のうた
⑤おわりのことば

話し合う

子供たちが準備を進めるなかで、「みんなに聞いてみたいな」と思うことがあれば、みんなで話し合って決めるようにします。どうして話し合いたいか(提案理由)や、どうしたいか(提案内容)を聞き取り、教師が黒板などに書きます。はじめのうちは司会や指名も教師が行っていくと、考えが整理されていきます。

実践する

「みんなで決めたことができているね」と、子供たちが決めたことを楽しく実践できるように支援します。「お誕生日の人は喜んでくれているかな」など、めあてに沿った集会活動となるように教師が意識して実践していきましょう。

活動をふり返る

集会活動を通してめあてを達成できたことを実感できるようにしましょう。感想を書いた手紙を交換し合うことも有効です。

イラスト/佐藤雅枝

『教育技術 小一小二』2020年4/5月号より

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