授業にちょこっとプラスするICT活用アイデア4つ|樋口綾香のGIGAスクールICT活用術④

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大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 今回は、いつもの授業にちょこっとプラスするICT活用について教えていただきました。

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

国語授業のICT活用④~ちょこっとプラス~
イラストAC

GIGAスクールのICT活用①~国語:季節の言葉~
GIGAスクールのICT活用②~国語:色カードで意思表示~
GIGAスクールのICT活用③~国語:楽しい宿題~

使用タブレット:iPad
使用アプリ:ロイロノート

ICTは目的ではなく手段

1人1台タブレットが導入されると、どうしてもタブレット操作を中心にして授業をつくろうとしてして、失敗してしまうことがあります。

ICT活用は手段であり、目的ではありません。

何をするためにICTを活用するのか、よく考える必要があります。

ICT活用が目的にならない考え方として、いつもの授業にちょこっとプラスしてICTを使ってみるのはいかがでしょうか。

子どもも先生も、その便利さや面白さに気づき、学習を広げたり深めたりするきっかけになるでしょう。

①スピーチでちょこっとICT 〜カメラ・WEB検索〜

朝の会や帰りの会でスピーチを取り入れている場合、このスピーチ活動にカメラで撮った写真やインターネットで調べた資料などを提示します。

聞くことだけでは集中することが難しかった子も、写真や資料などが少しでもあるだけで、集中できることもあります。情報を活用する力を育てながら視覚的な支援ができます。

写真や資料を見せながら話すプレゼンテーションの練習にもなりますね。

②導入でちょこっとICT 〜アンケート〜

授業の最初と最後で児童の変容を捉えるために、道徳の授業などで、導入時に質問をすることがあります。

これまでの授業では、数名の子どもから出た意見を黒板に書いておき、授業の終末に、道徳的価値に気づき考えを深めた自分と比較するようにしていました。

この活動を、ICTを活用したアンケートで行います。

アンケートは、記述式や、選択式など形式を選ぶことができ、結果もチャート式やテーブル式で表示されます。

同じアンケートをもう一つ作っておけば、授業の終末と比べることができます。変化があった児童は理由を記述することで、学級や個人の変容を視覚化することができます。

アンケート

③グループ交流でちょこっとICT 〜カメラ〜

グループで考えを深めるときの、ちょこっと技です。

グループで10分間の話合い時間を設定したとします。

この10分間で、十分に考えを深められるグループもあれば、なかなか深められないグループもあるでしょう。そんなとき、他の班に「偵察隊」を派遣します。

グループの中で1人が偵察にいきます。持ち物はタブレット。

タブレットのカメラ機能を使って、話し合っているグループの資料を撮影したり、メモ機能を使って簡単なメモを書いたり、録音機能を使って聞いたことを録音したりします。

この時間を2分間ほど取ったあと、偵察隊は自分の班に戻り、見たり聞いたりしてきたことを伝えます。

これまで、話すことや聞くことに自信がなくて偵察隊を遠慮していた児童も、タブレットを使えばできる!という子が現れます。

④配付資料にちょこっとICT 〜録音〜

外国語活動の授業で、授業者とAETがデモンストレーションをしたり、正しい発音を教えたりする場面があります。

何度かお手本を聞いて、子どもたちはそれを真似ながら発音のしかたや単語、文章を練習します。

この活動にちょこっとICTをプラス。

授業で使用するイラストカード(教科書の挿絵) + 英単語・英文 + 音声

タブレット上で配付するイラストカードに、音声を録音した英語表記のカードをつけて配付します。

音声は、AETの先生に録音してもらうと、子どもたちはAETの先生と1対1で英会話のレッスンを受けているように、何度も聞いて、練習できます。

何度も音声を聞き、声に出して英語を練習する児童
何度も音声を聞き、声に出して英語を練習する児童

いつもよりも、活発に英語を練習する児童の姿が見られ、発音もとても美しく表現していました。

同じ活動でも、少しの工夫で子どもの姿が変わります。

ぜひ、タブレットの機能を生かして、ちょこっと工夫するところから授業づくりをはじめてみてください。

次回もICT活用についてお伝えします。

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樋口綾香教諭

樋口 綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。

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