職員室を居心地よくするために実践したい“大切なコト”【動画】

連載
新任教師の悩みにお答え!小倉美佐枝のミサエラジオ【音声番組】
関連タグ

佐賀県公立小学校教諭

小倉美佐枝

多くの若手教師から慕われる小倉美佐枝先生が、連載記事「令和2年度新任教師のリアル~実習と通常授業の間にある大きな壁~」を読んで、アドバイス!
今回のテーマは“職員室”。気持ちよく過ごせる場所にするため、ミサエ先生が日々実践しているコトとは⁉ 人間関係でお悩みの先生方、ご一読ください!

忍法!そこにいていないの術

職員室といえば、先生方が共に過ごす場ですよね。長い時間、一緒にいるわけですし、いろいろなことがあります。

この対談記事にあるように、口調の強い先生がいて少しビクビクしてしまう。その先生のピリピリした雰囲気が職員室内に広まっていく…。子供たちの教室でもそんなことってありますよね。人と人がつきあうということは、うまくいかないことがあるというのが大前提です。

職員室がピリピリムードになった時、私はいつも、“忍法!そこにいていないの術”を使って、いないフリをして仕事をしています。とはいえ、つい他の先生に話しかけてしまうので、多分この術は効いていないと思いますが(笑)。

また、もし当該の先生と接する際は、今は触れてはいけないなと思うところは触れないようにして、違う内容の話を投げかけたりしています。

私はどちらかといえばポジティブなので、今日一日をどうにか過ごして、明日また元気に過ごせる職員室にしたいなぁと思うんですよね。

みんな仕事がしんどいのも一緒だし、忙しいのも同じ。そこを「どうやったら楽しくなるかな」と、考えながら関わっているつもりです。

一人の先生のピリピリモードが職員室に伝染するのは、子供たちの教室でも同じようなことがある

名前で呼ばれたらきっと嬉しいはず

若手の先生に私からアドバイスするとしたら、「しつこいくらい、周りの先生方と交流しておいた方がいい!」ということですかね。それも職員室の中だけではなく、事務室や保健室、給食室の方たちとも積極的に関わってほしい。

これは戦略的ではあるのですが、若手の頃ってうまくいかないことも多いじゃないですか。何かをしたいと思っても、ベテランの先生に比べたら信頼もまだ薄いですし、「やってみなよ」といつでも快諾を得られるわけでもありません。

やっぱり信頼って関係性の中で築き上げられていくものだと思います。だから積極的に関わって交流を深めて、「まぁ、ミサエ先生ならいいかな」と認めてもらえるチャンスを自分で作ります。 自分のことをよく知ってもらうために、私は自分から関わっていきますね。

関わる上で何よりも、名前を真っ先に覚えるようにしています。そして会話や挨拶でも「〇〇先生、この間~~~」と、名前を言うように心がけています。

特に名字ではなく、下の名前を呼ぶようにしています。校長先生や教頭先生なら「校長先生」ではなく「〇〇校長先生」と名字もつけ加えます。時には校長、教頭の役職をつけないで呼ぶときもあります。

なぜって、名前で呼ばれたら嬉しいじゃないですか。これって嫌われないためにではなくて、私はかわいがられるために実践しています(笑)。

“嫌われない”という言葉に対してその対処法を考えたとき、“しない”がつく言葉が多いかと思います(例:怒らない、反論しない…等々)。

“しない”という言葉は禁止や抑止という意味合いが強いし、それを悪化させないためということもあると思います。私のなかではちょっと前向きじゃない気がするのです。

だから私はなるべく“する”という思考に切り替えて、明るく、楽しく過ごせるためにどうすればいいかを考えて行動しています。

校長先生や教頭先生なら「校長先生」ではなく「〇〇校長先生」と名字もつけ加えます。

保護者対応を学べる貴重な場

私たち教師の仕事は対人職だと思うのです。人と人との関わりは絶対的なものです。子供たちに「お友達と仲良くしましょう」と言っているのだから、私たち教師も同じように円滑なコミュニケーションを取る努力は必要だと思います。

それに教師をしていたら絶対に関わらなければいけない人がいます。それは保護者の方です。保護者対応は苦手という先生方も多いですよね。

そういった点において、年齢や経験年数がさまざまな先生方と交流する職員室は、保護者対応を学べる場、大人と対応する経験が積める貴重な場所です。大切にしてほしいと思います。

学生時代にアパレルショップでの勤務経験がある先生と働いたことがあるのですが、その先生は保護者対応がとても素晴らしかった。謙虚で丁寧、特に話の聞き方がほんと上手でした。学生時代の経験が教師になっても生かせるんだなと。すべてが学びになっているのだと思いました。

話は変わりますが、職員室で私が大切にしている言葉があります。それは「ありがとう」です。

教師になってすぐの頃、いつも「すみません」ばかり言っていたのですが、ふと、なんで私は謝ってばかりなんだろうなと思う時期がありました。

そんなとき、ある先輩教諭が「〇〇先生ありがとうね~」「ありがとうございます。それでは~~~」と、話の最初に必ず「ありがとう」と言っていたのです。それがとても印象的で、この先輩教諭からいろいろ学びたいと思うようになりました。

私が質問をしたときでも、 先輩教諭は「ありがとうね~」と最後に必ず言ってくださるのです。その一言にとてもあたたかい気持ちになり、“この先生と一緒に働きたい! もっと頑張ろう」と、前向きになれるのです。

それ以来、私も「すみません」から「ありがとうございます」へ切り替えるようにしました。「ありがとう」は子供たちにもよく使いますね。

とはいえ、「ごめんなさい」も結構使ってしまいますが…(笑)。「ありがとう」も「ごめんね」も気軽に言えて、そんな風に関わりがたくさんできるといいなと思います。

身構えてしまわないで、気軽に冗談が言えたり、弱音を吐いたりできる相手を1人でもいいから職員室で見つけて、ぜひたくさん交流をしてみてください。

先輩教諭の姿を真似て、「ありがとう」の言葉を言うようにした

ミサエ先生による愛あるメッセージいかがでしたか?
年齢や経験年数がさまざまな先生方と交流する職員室は、保護者対応のスキルを磨く場でもあるのですね。居心地のよい職員室のために実践すべきコト、さっそく明日からトライしてください!

若手教師の本音を知ることができる「令和2年度新任教師のリアル」はこちらから!


小倉美佐枝(おぐら・みさえ)
若手教員向けのセミナーで圧倒的支持を集める個性派ポジティブ教師。共著に『女性教師の実践からこれからの教育を考える!』(学事出版)ほか。

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
新任教師の悩みにお答え!小倉美佐枝のミサエラジオ【音声番組】
関連タグ

学級経営の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました