学年末「教室・職員室」整理整頓のコツ

1年間たまりにたまった資料や荷物、機器、道具などを、年度納めのこの時期にすっきりと片付けたいもの。教室、職員室それぞれの「片付けポイント」について、詳しく紹介していきます。

学年末「教室・職員室」整理整頓のコツ

教室編

教室グッズ、文房具類

文房具は事務室に

便利だからといって、教室にのりやボールペン、はさみなど文房具類を三つも四つもため込んでしまうことがあります。この機会にすべて事務室に戻しましょう。必要であれば取りに行けばよいことです(埼玉県公立小学校・戸田 克)。

見える文房具収納

増えてしまった「細かくて数のある文房具」は、100均ショップなどで手に入る「磁石付きカン(写真)」にまとめて、スチール机の引き出しなどに貼り付けてすっきりさせます。何が入っているか一目で分かり、引き出し内のスペースを圧迫しません(埼玉県公立小学校教諭・大橋和浩)

クリップを磁石付き缶に収納
磁石付き缶に入れて引き出しに貼る

記名しながら片付ける

子供に貸し出す(貸し出す可能性のあるものも含む)文房具や学用品には、この機会に記名しながら片付けます。自分の記名に抵抗がある場合は「先生」と書きます。インデックスシールに記名したものの上から、セロハンテープで補強すると、名前が消えることがありません。次年度以降、教師の道具の紛失が防げるのと同時に、子供たちに記名の大切さを教えることにもなります(埼玉県公立小学校主幹教諭・藤井隆光)。

鉛筆に記名

プリント類

不要なプリント類の処理

コピー用紙(印刷紙)の空き箱を「シュレッダー用(赤ペンで書く)」と「リサイクル用(黒ペンで書く)」とに分けて、サイズ別に教室に用意します。不要になった紙は、随時この箱に入れていきます。その都度、リサイクル用に紐で束ねたり、シュレッダーにかけたりするのではなく、1か所にまとめることで、手間が減り、紙の散乱や大切なプリントの紛失も防げます。溶解処分用に業者へ出す学校は、「シュレッダー用」の箱をそのまま引き取ってもらうこともできます。いずれにせよ、個人情報の取り扱いには十分気を付けましょう(埼玉県公立小学校主幹教諭・藤井隆光)。

不要なプリント類の処理

立つ鳥跡を濁さず!壁に画びょうを残さない

壁に画びょうの針だけ残っていることがあります。ぞうきんでこすったり、軍手をはめて壁全面を触れたりして、何か引っかかりがあれば、画びょうの針です。ラジオペンチ(先が細くなっているペンチ)を使えば容易に抜くことができます。

壁に残っている画鋲の芯をペンチでとる

まだ使える画びょうを掲示板の端にたくさん刺したまま、教室を引き渡す教師を見かけます。次に教室を使う教師は、それを抜く作業が増えます。掲示板には何も残さず、すっきりさせた状態で引き継ぎたいですね(戸田/藤井)。

職員室編

文書類

文書片付けルール

すべての市区町村には文書保管規定が定められています。例えば、埼玉県川越市では、その規定に基づき、文書をどのように分類し、何年保存するのか、そのキャビネットやフォルダの使用方法まで統一されています。教師が手元に書類を残しておく必要はありません。

この規定は「処分」するときに力を発揮します。「これからも必要か」ではなく「処分期限になったか」だけで判断できるので、断捨離に迷いがありません。文書保管規定は教育委員会が把握しているはずです(埼玉県公立小学校校長・川野幸一)。

書類整理をする教師

個人文書を簡単に収納

ほとんどの書類は学校共通のファイリングキャビネットに収納しますが、教師は個人持ちの書類も多くなりがちです。そこで、職員室の袖机の大きな引き出しの中に「ミニファイリングシステム」をつくります。パンチで穴を空けてフラットファイルにしまうのもよいのですが、フォルダなら放り込むだけで簡単。さらに、使用したフォルダをその都度前面に出すことによって、使用頻度の高いフォルダが前にくるようになります(大橋)。

職員室の袖机の大きな引き出しの中の「ミニファイリングシステム」
職員室の袖机の大きな引き出しの中に「ミニファイリングシステム」

文書を分類する

たまった文書は「子供に返却するもの」「学校に返却するもの」「適切に処分するもの」「保存しておくもの(紙ベース)」「保存しておくもの(データベース)」の5種類に分けます。

例えば、子供に返却するプリントは表紙を付け、1年間のがんばりが実感できるようにまとめて返却します。図工の作品は、新聞紙などでていねいに梱包し、持ち帰りやすくして返却します。1年間の学びの蓄積をふり返り、成長を実感できるような返却のしかたをします。

子供の個人情報が入っているものは、シュレッダーにかけるなど、適切に処分できるようにします。一般ごみに交ざらないように、早めに分別し、適切に処分しましょう(埼玉県公立小学校教諭・栗原龍太)。

文書を分類する教師

思い切って捨てる

「そのうち使うかもしれない」と思って取っておいたものは、経験上、90%は使いません。残りの5%は他のもので代用可能です。基本、古いものは捨てます。廃棄にあたっては、個人情報などの配慮が必要ですが、保管年限のあるもの以外、今年度一度も見なかったものは基本的に必要のないものとして廃棄します。教科主任などの仕事になりますが、古くてほとんど使っていない備品が特別教室に転がっていることがあります。廃棄手続きをしましょう(川野/大橋)。

パソコン

データで保管

ICTの発達で、作成物がデータで残せます。紙ベースの文書も簡単にPDFに変換できるようになりました。データ化しておけば、埋もれた情報もパソコンが高速で検索してくれます(川野)。 学年だよりや会計簿などのデータは、学校のサーバーに、分かりやすいファイル名を付けたうえで保存します。次年度の担当の教師が気持ちよく使えるように、検索をかけやすいように保存しましょう(栗原)。

ナンバリングする

データを整理するには、フォルダ名の先頭に番号を付けます。よく使うものを小さい番号にすると、アクセスもしやすくなります。また、一つの階層にデータを多くするのではなく、なるべく大きなカテゴリーで分けると分かりやすくなります(戸田)

整理前
矢印
整理後

時短のコツ!評価は最初からデータ化

テストの素点や提出物の評価、観察記録などは直接エクセルに入力します。そしてそのファイルは「補助簿」ではなく、「入力」↓「処理」↓「成績作成」までできるものを用意します。従って、学期途中でも現時点での「評価」が可能になります。もちろん、入力するデータはテストの点だけではなく、提出物やレポートの記述、自己評価や観察も含み、すべてを点数化して計算します。それにより、最後の評価物(学期の自己評価シートなど)の成果を入力した時点で成績は付いています(大橋)。

評価は最初からデータ化

取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/嵯峨根明日香(オーデザインチャンネルズ)

『教育技術 小三小四』2021年3月号より

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