新しい評価の観点を踏まえた指導要録の書き方

「主体的に学習に取り組む態度」は、どのように評価すればいいの? 働き方改革に関連した変更点って何? 学習指導要領の内容を押さえ、低学年の学級担任が新しい評価の観点を踏まえた指導要録を作成するための要点を紹介します。

執筆/熊本県公立小学校校長・渕上圭一

新しい評価の観点を踏まえた指導要録の書き方

新しい指導要録の変更点は?

指導要録作成の時期がやってきました。新しい指導要録の様式は、

  • 各教科等の評価の観点が三つに整理されていること。
  • 外国語活動の欄が観点ごとではなくなっていること。
  • 特別の教科道徳の欄が設けられていること。
  • 各教科の欄に、高学年の外国語が加わるとともに、各教科の評定の欄が観点別の下にあること。

などが大きな変更点です。様式だけではなく、中身にも変更があります。その主なものを確認しておきたいと思います。

評価の観点が変わりました

これまでの評価は、「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「知識・理解」などの四〜五つの観点で評価をしていました。今回の改善では、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理して示されています。

これは、新学習指導要領における各教科等の目標及び内容を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の資質・能力の柱で再整理したことに伴う改善です。

「主体的に学習に取り組む態度」とは

ここで気になるのが、資質・能力では、「学びに向かう力、人間性等」であるのが、評価の観点では、「主体的に学習に取り組む態度」となっていることです。このことについて、平成31年3月29日付けの文科省の通知(*)には、次のような記述があります。

小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)(平成31年3月29日)

「〈前略〉その際、『学びに向かう力、人間性等』については、『主体的に学習に取り組む態度』として観点別学習状況の評価を通じて見取ることができる部分と観点別学習状況の評価にはなじまず、個人内評価等を通じて見取る部分があることに留意する必要があることを明確にしたこと。」

さらに、同通知には、

「観点別学習状況の評価になじまず個人内評価の対象となるものについては、児童生徒が学習したことの意義や価値を実感できるよう、日々の教育活動等の中で児童生徒に伝えることが重要であること。特に『学びに向かう力、人間性等』のうち『感性や思いやり』など児童生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況などを積極的に評価し児童生徒に伝えることが重要であること。」

とあり、日々の教育活動の中で積極的に伝えるべき部分だとしています。

では、指導要録にある「主体的に学習に取り組む態度」とは、なんでしょうか。国立教育政策研究所の「学習評価の在り方ハンドブック」(令和元年6月)には、

「知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価します。」

とあります。子供が「主体的・対話的で深い学び」へと、試行錯誤しているかどうかを見とることが必要です。

さらに、

「『主体的に学習に取り組む態度』の評価については、知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面と、その粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面という二つの側面から評価することが求められる。」

とあります。

同研究所の「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」(令和2年3月)には、各教科等の評価について、評価規準の例や評価の具体例を挙げて説明してありますので、参考にされるとよいと思います。

ちなみに一、二年生国語の「書くこと」のアの評価規準例は、

「進んで、内容のまとまりが分かるように書き表し方を工夫し、学習の見通しをもって報告する文章を書こうとしている。」

と示してあります。

指導要録と働き方改革

学年末の整理や新年度への準備など、この時期は、特に先生方は忙しいですね。でも、文部科学省も、そのことは喫緊の課題と考えていて、いくつか改善がなされています。前出の通知(*)には、3「指導要録の主な改善点について」の中に、次のような記述があります。

小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)(平成31年3月29日)

⑴〈前略〉「外国語活動の記録」については、従来、観点別に設けていた文章記述欄を一本化した上で、評価の観点に即して、児童の学習状況に顕著な事項がある場合にその特徴を記入することとしたこと。

また、

⑸ 教師の勤務負担軽減の観点から、①「総合所見及び指導上参考となる諸事項」については、要点を箇条書きとするなど、その記載事項を必要最小限にとどめるとともに、②通級による指導を受けている児童生徒について、個別の指導計画を作成しており、通級による指導に関して記載すべき事項が当該指導計画に記載されている場合には、その写しを指導要録の様式に添付することをもって指導要録への記入に替えることも可能とするなど、その記述の簡素化を図ることとしたこと。

と、あるように、外国語活動を記入する三、四年生の先生や、通級指導を受けている子供を担任する先生は、少し負担が軽くなりました。この通知を受けて総合所見の必要最小限の記載事項について事前に共通理解が必要です。

さらに、同通知の4「学習評価の円滑な実施に向けた取組について」には、

⑺法令に基づく文書である指導要録について、書面の作成、保存、送付を情報通信技術を用いて行うことは現行の制度上も可能であり、その活用を通して指導要録等に係る事務の改善を推進することが重要であること。特に、統合型校務支援システムの整備により文章記述欄などの記載事項が共通する指導要録といわゆる通知表のデータの連動を図ることは教師の勤務負担軽減に不可欠であり、設置者等においては統合型校務支援システムの導入を積極的に推進すること。仮統合型校務支援システムの整備が直ちに困難な場合であっても、校務用端末を利用して指導要録等に係る事務を電磁的に処理することも効率的であること。〈後略〉

とあります。つまり、指導要録を統合型校務支援システム等を使って通知表と連動して作成することができるということです。すでに、これが導入されているところでは、かなりの事務が削減されていて、まさに働き方改革につながっています。

他にも、子供の学習状況における気付き等を、担任以外の指導に関わった者が入力する仕組み等を活用することで、特別活動の評価など担任以外の教師との連携が取りやすくなります。

今後は、このような電子通信技術を用いた改善が加速すると思われます。

イラスト/terumi

『教育技術 小一小二』2021年3月号より

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