長期休みにこそ注意したい「ネットいじめ」専門家が緊急提言!

先日、文部科学省が公表した「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、パソコンやスマートフォン(以下スマホ)での誹謗中傷といった「ネットいじめ」は過去最多の件数でしたが、いじめ全体の3%と非常に少ない認知件数であることがわかりました。
SNSなど閉鎖的な空間でのやり取り、加害者意識のない子供たちの発信によって、数値には表れない「ネットいじめ予備軍」的なものがさらに多く存在していると言われています。
特にスマホを中心にコミュニケーションをとっていく休み期間は、まさにネットいじめが起こりやすい環境といえます。そこで、ネットいじめの対処法や未然に防ぐ手段、予兆を察知するポイントなどを専門家・青山真理さんに提言していただきました。
大切な子供たちが被害者、加害者にならないためにも、私たち大人がすべき事とは何でしょうか。冬休み目前の今、考えてみましょう。
目次
目が届きにくいネット社会の落とし穴
文科省の調査や警視庁の調査でも年々増加しているネット上でのトラブルや事件が増加していることは明白です。しかし、大人自身がなぜ起こったのか?ということがわからないというケースが多すぎる印象です。自分事として捉えていくことが求められます。
ここ数年で、ネットいじめによって命を絶ってしまうという最悪の結末を迎えるニュースも聞かれます。最近のネットいじめの特徴としては以下の3点です。
- 相手が特定しづらい
- ネット内でカギをかけるなどしているため、気づかない場所・タイミングで進行
- 証拠を残さないパターンの多種多様化(大人の方がネットの取り扱いに疎いということも原因の1つ)
何よりも大人が若者のネット社会の仕組みを知ることが最も大切です。アプリ一つでも、「今の若者はよくわからない」「どうせわからない」などと言わずに体験してみることが大切です。
”知ること”を大人は重視してください。「子供たちの変化」「言葉の奥にある不安」「学校との対話」などから声掛けをしていくことも大切な場面と言えます。また上記の特徴からもわかるように、目に見えにくいこともあります。
教育の現場では本人より友達による申告から発覚するというケースが多いので、その友達が何かあった時に相談できる場所づくりも重要です。これは、相談室を設置する…などということではありません。身近な大人になるという視点での環境づくりが大切なポイントとなります。
いじめられる側のダメージが大きい「ネットいじめ」
ネットいじめで寄せられる相談として、具体的に次のようなものが多いです。
- グループLINEでの仲間はずれやグループ不参加者の写真などの共有であざ笑う
- Twitterや Tik Tokなどへの動画や写真投稿への誹謗中傷投稿
- 記事投稿による炎上、のちに誹謗中傷へと繋がる
- 2ちゃんねる等や学校裏サイトなどの掲示板への書き込みによるいじめ
- 相手不明のいじめ目的のメール送付
- 本人になりすましてSNSへ個人情報を掲載
発信したことで攻撃される以外に、掲示板などへの書き込みは自分が知らないところで広まり、突然まわりの人間関係がおかしくなって気づくものです。
また、いじめ目的のメール送付は、次々に送られてくるメールに翻弄され、本人が不安からパニック状態になり、やがては人間不信に陥り、不登校になるケースもあります。
ネットいじめの手段として特徴的なものにグループLINEが挙げられます。
- 投げかけた言葉に受け取り側が疎外感を感じる
- 自分以外のグループメンバーが、別にグループを作成し、仲間はずれにされる
グループLINEではこういったことがいじめとなるケースです。このほか、芸能人の自殺の原因の1つとされていたような、Twitterなどの誹謗中傷の書き込みなどが挙げられます。これは投稿側が本名でなくても書き込みができることから、内容がかなり過激になり、相手を追い込む内容で最悪死を招いてしまうものです。
リアルいじめと違い、温度感が鈍くなっているネット上では、いじめる側の意識よりいじめられた側の受け止めの方が重くなるケースが多いです。