小5国語「想像力のスイッチを入れよう」指導アイデア
教材名:「想像力のスイッチを入れよう」光村図書
指導事項:B [読むこと] ウ
言語活動:イ
執筆/福岡県公立小学校教諭・片山隆洋
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・城戸祥次
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では「メディアとの関わり方について、考えを明確にして文章にまとめる」という言語活動を位置付けます。高学年になると、子供は様々な形でメディアとの関わりをもっています。しかし、そのことを意識して生活しているわけではありません。
本教材を読み、筆者が挙げた複数の事例の意味を考え、自分が密接にメディアとつながっていることに気付かせます。者の考えを読み取り、それを支えている事例とのつながりを捉える学習は、「見立てる」「生き物は円柱形」で経験しています。
本単元では、筆者が挙げた複数の事例をきっかけに、自分の経験と結び付けて読み、自分自身とメディアとの関わり方について考えたことを文章にまとめる活動へとつなげていきます。
また、メディアとの関わり方について、自分の経験と結び付けて考えることは、情報との対峙の仕方の基盤を形成することにつながると考えます。
単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①メディアについて知っていることや、これまでに経験したこと、考えたことを話し合い、学習課題を設定し、学習計画を立てる。
→アイデア1 主体的な学び
【単元】事例と意見の関係をおさえて、自分の考えをまとめよう
第二次(2~4時)
②③文章構成を捉え、事例と筆者の意見を整理する。
→アイデア2 対話的な学び
④筆者が「想像力のスイッチ」という表現をしたのはなぜかを考え、筆者の考えに対する自分の考えをまとめる。
第三次(5~6時)
⑤メディアとの関わり方について、三つの観点で自分の考えを文章にまとめる。
⑥書いた文章を友達と読み合い、学習をまとめる。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 内容や教材と既習学習を関連させた学習課題の設定
主体的な学習にするには、学習課題を子供自らのものにする必要があります。ここでは、内容や教材だけでなく、既習の説明文の読み方を想起させ、説明文の読み方を意識させた学習課題を設定します。
その際、既習の説明文の構成表の掲示物やワークシートなどを提示すると効果的です。さらに、交流を通して自分の考えを広げ深める価値について交流しておくと、ゴールが明確になります。
観点①メディアについての話合い
ぼくはテレビのニュースを見ているよ。同じニュースでも番組によって伝え方が違うことがあるよ。
観点②教材文についての話合い
「想像力のスイッチ」の意味がよくわからないな。この言葉で筆者は何を伝えたかったのかな。
観点③既習の説明文についての話合い
「生き物は円柱形」を学習したときには、事例が筆者の考えの根拠になっていたよね。
学習課題
事例と意見の関係をおさえながら教材文を読み、メディアとの関わり方について自分の考えをまとめ、交流しよう。
学習のゴール
メディアとの関わり方について、自分の考えを広げたり深めたりしよう。
アイデア2 考えを広げるための付箋を活用した対話の場の設定
事例と意見の関係を整理する場面では、ステップチャートと付箋を活用して、対話する場を設定します。まず、一人で付箋に事例(赤の付箋)と意見(青の付箋)を書いて貼っていきます。
一人では時間内にすべてを捉えることは難しいでしょう。そこで、ペアやグループで対話していきます。その際、自分が書けなかったことを赤鉛筆で書き足していき、文章全体を整理します。
▼ワークシート例(※ゴシック体は赤付箋・明朝体は青付箋、点線は対話を通して増やした付箋)
アイデア3 自分の考えの変容を自覚させるワークシートの工夫
単元の学習で身に付けた力や学習方法、内容について振り返ります。ここでは、どんな力が身に付いたことで、自分の考えがどのように広がったり深まったりしたのか、学習後の感想をワークシートに書くようにします。
その際、「筆者の意見」「共感」「友達の考え」「これから」「はじめの考えと変わって」などのキーワードを提示すると、より深まった感想につながります。
▼ワークシート例
深い学びへ誘うヒント
単元の振り返りでは、内容面の振り返りだけでなく、どんな力が身に付いたのか、できるようになったことを子供の言葉で、メタ認知させることが大切です。
イラスト/横井智美
『教育技術 小五小六』2020年1月号より