小3・4外国語活動「思考・判断・表現」を促す手立てとは
外国語授業のアクティビティの中で、思考・判断・表現を促す手立てとは? 小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生に解説していただきます。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子
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目次
Q1「だれの作品かを聞いて、線で結ぼう」の活動で思考・表現を促すためには、どのような手立てが有効ですか。
(『Let’s try1』P.29 Let’s listen)
A.選択肢にあるイラストには、どのような形がいくつ使われているかを確認して、どのような英語表現になるかを考える時間を設けてみましょう。
このアクティビティは、欲しい「形」についてやり取りする音声を聞いて、だれがどの作品を作ったのかを思考・判断します。そこで、やり取りの音声を聞く前に、このアクティビティで使う、形に関する英語表現を振り返るとともに、それぞれの作品には、どのような形が使われているのかを確認するようにしましょう。
例えば、ハートと丸で作られた作品について、
What shape is this?
How many shapes are there?
と数を聞いたりしてみてください。
このように、作品を説明する英語表現を確認することで、やり取りを聞く際のポイントをつかむことができ、学習の見通しが立ちます。
やり取りを聞く場面では、何度も出てくる“What do you want?”というフレーズを確認することも、思考・表現を促す手立てになります。
この英語表現が、「欲しいものを聞く表現」であり、「このやり取りでは、どの形が欲しいのかを聞いている」ことを理解する必要があるからです。
子どもの実態に合わせて、一人目のやり取りを聞いた後や最後まで聞いた後で、
何を欲しいと言っていた?
と聞いてみたり、
この場面では、欲しい形を聞いていたんだね。
と確認してみたりして、このアクティビティで行われるやり取りについて、見通しをもてるようにしてみてください。
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Q2“What do you want?”のチャントで思考・判断を促すためには、どのような手立てが有効ですか。
(『Let’s try2』P.26・27 Let’s chant)
A. “What do you want?” や “How many?”などの意味を確認して、何を目的にこれらの表現を使っているのか捉えられるように支援してみてください。
チャントの目的は、リズムに合わせて自然なリズムやイントネーションの英語表現を聞いたり言ってみたりすることにありますが、単に口ずさむだけでは、思考・表現にはなりません。
ここでは、“What do you want?” や “How many?”などの表現が用いられていますが、どのような場面、状況なのかを考えることで、意味を考えながら取り組めるようになります。
例えば、教科書のイラストを活用することで、
ピザの材料を集めているんだ。
と、見通しを持てるようにしたり、
“What do you want?” って言っているから、トッピングをどれにするのか聞いているのかな。
と、意味を考えたりする場面を設けてみてください。
これらの英語表現は、3年生から親しんできたものです。同じ言い回しでも、場面や状況によって、欲しいものが「形」だったり文房具だったり、この単元のように食材だったりと変化することにも気付けるような声掛けも重要です。
また、オリジナルピザのトッピングとなる具材の英語表現を振り返る中で、ピザのネーミングを考えることもできます。そのような時は、考える時間を十分にとるようにしてみてください。
このほかに、チャントを活用できるようになってきたら、内容を変えて、自分たちが欲しい具材に変えてみることも、思考・判断を促すことになります。変える部分には必ずトッピングとなる具材が入ること、適切な数があることなどを考えながら、英語表現を変えていく必要があるからです。ぜひ、取り組んでみてください。
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長沼久美子
神奈川県公立小学校教諭。小学校英語教科書CROWN Jr. 編集委員。
(イラスト/本山浩子)
イラスト/横井智美