小1国語「ともだちに、きいて みよう」指導アイデア

教材名:「ともだちに、きいて みよう」(光村図書 一年下)

指導事項:Aイ・エ
言語活動:Aア

執筆/東京都公立小学校指導教諭・大村幸子
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、東京都公立小学校校長・河村祐好

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

大事なことを落とさずに聞いたり、話す事柄を順序立てて話したりする力を身に付けます。

②言語活動とその特徴

本単元は、一年間、同じ教室で学んできた友達のことをもっと知って、他の友達に知らせたいという子どもたちの願いを基に立ち上げます。この時期の子どもたちは友達のいいところを実に素直に認め、ほめていきます。

こうした関係の中で、楽しいと思っていることや頑張っていることを聞き合うことは、互いの人間関係を深めることにもつながっていきます。

そこで、「みんななかよし ともだち発表会をしよう」という言語活動を設定します。友達発表会は、友達にインタビューしたことを他己紹介という形でまとめ、他の友達に伝えるというものです。ここでは、特に、「大事なことを落とさずに聞く」ということを中心的に指導します。

友達に質問をすることで、具体的な中身を聞き出していく活動を行いますが、その際には、質問の観点である5W1Hを形式的に教えるのではなく、質問の仕方を考えさせたり、質問のよさを価値付けたりして、子どもたちから引き出すようにすることがポイントとなります。

小1国語「ともだちに、きいて みよう」指導アイデアのイメージイラスト

単元の展開(4時間扱い)

主な学習活動

第一次(1時)

①友達のことをもっと知って、知らせたいという思いから、「みんななかよし ともだち発表会をしよう」という学習課題を設定する。

②教師によるインタビューや紹介のモデルを見て、質問の仕方やよさに気付くとともに、学習の見通しをもつ。
→アイデア1 主体的な学び

第二次(2・3時)

③友達への質問の仕方や約束を確認し、友達に「楽しいと思っていること」などをインタビューする。
→アイデア2 対話的な学び

④友達から聞いたことをノートにメモし、どの順番で発表するかを考えて、発表の練習をする。

第三次(4時)

⑤「みんななかよし ともだち発表会」を開き、友達について分かったことを発表する。

⑥学習を振り返り、質問の仕方や質問することのよさについて共有する。
→アイデア3 深い学び

アイデア1 学習材を読む必要性をもたせる

主体的な学び

友達のことをもっと知りたいという気持ちをもっている子どもたちに、教師によるインタビューのモデルを見せ、どんなことを質問したらよいかを考えさせます。質問の仕方やよさについては、教師が一方的に与えるのではなく、自ら気付かせるようにしましょう。主体的な学びにつながります。

質問の仕方やよさについては、教師が一方的に与えるのではなく、自ら気付かせるようにしましょう。

〇〇さんが一番楽しいことは何ですか。

給食を食べることです。

それはなぜですか。

苦手なものも食べられるようになったからです。

どうやって食べられるようになったのですか。

友達と一緒に食べたら、食べられるようになりました。

苦手なものにも挑戦していて、すごいですね。

アイデア2 まずやらせてみて、どうであったかを振り返らせる。

対話的な学び

この時期の一年生はやってみたいという気持ちが強いので、教師が流れやポイントをじっくりと説明したいと思ってもうまくいかないことが予想されます。また、教師が一方的に与えるだけでは実際の場面で生きて働く力にはなり得ません。

そこで、まずは一回目のインタビューを行わせ、どうであったかを話し合わせることで理解を深めさせるようにします。その際には、話すこと・聞くことのCDを活用するなどしてグッドモデルを示したり、前時に確認したキーワードを示したりして、自分たちのインタビューと比較できるようにするとよいでしょう。

子どもたちの気付きは掲示物として貼り出しておきます。そうすると、二回目以降のインタビューがより充実したものになり、またそうした経験がより深い理解につながります。

学習の流れ

交代しながらインタビューをする
クリックすると別ウィンドウで開きます

・聞き手は質問がすべて終わってからメモをする。
・役割分担を明確にするために、マイクを持たせるとよい。

子どもたちと確認すること

■インタビューのやくそく
・おわりまできく → きいたことをかく
・こうたいでしつもんする
・3かいつなげる

■キーワード
・たとえば?
・いつ?
・どこで?
・どうして?
・だれと?
・なに?
・ほかには?
・どうやって?
・どのくらい?(かず・りょう)

■ききかた名人
「あ」 あいてを見て
「い」 いっしょうけんめいに
「う」 うなずきながら
「え」 えがおで
「お」 おわりまで

アイデア3 「みんななかよし ともだち発表会」を開き、質問のよさを実感させる

深い学び

発表会では、友達の発表を聞いて、友達の新たな一面を発見するなど、お互いの関係を深めることができるでしょう。国語学習の初めの5分間や朝の時間などに継続的に発表の場を設定しておくと、題材を変えればいくらでも活動を楽しむことができます。

「みんななかよし ともだち発表会」を開き、質問のよさを実感させる。

また、友達紹介から、家族紹介、学校の先生や職員の紹介などに発展させることもできます。一方で、よりよい発表にするためには、質問をして情報を集めることが重要であることをおさえることも大切です。

発表会後には振り返りの時間を設けて、質問の仕方やよさについての気付きを共有させるようにしましょう。

質問すると、その人のことを詳しく知ることができますね。他の人へも質問をして、分かったことを発表してみてくださいね。

友達が苦手な食べ物も頑張って食べていることが分かったよ。私も頑張るよ。

「苦手な食べ物は何ですか」と質問したら、「トマト」と言ってたよ。私と同じだよ。質問して初めて知ったよ。

今度、給食調理員さんにも、「いちばん楽しいことは何ですか」と聞いてみようかな。

いいね。インタビューして分かったら、みんなの前で発表してね。みんなも給食調理員さんのことを知りたいと思うよ。

キーワードを三回くらい使って、お話を上手につなげられるといいな。

イラスト/やひろきよみ 横井智美

『教育技術 小一小二』2019年12月号より

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