小5理科「花から実へ」指導アイデア
執筆/大阪府公立小学校教諭・松田善行
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、大阪府公立小学校校長・細川克寿
目次
単元のねらい
結実の様子に着目して、それに関わる条件を制御しながら、植物の育ち方を調べる活動を通して、植物の結実とその条件についての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に予想や仮説を基に、解決の方法を発想する力や生命を尊重する態度、主体的に問題解決しようとする態度を育成します。
単元のねらい(三次 総時数 6時間)
※カボチャの他に、ヘチマやヒョウタンなどでも同様の展開ができます。
一次 カボチャの花のつくり(1時間)
① カボチャの花には、2種類あることを知る。
雌花には、花の下に膨らみがあるんだね。
私たちの育てているカボチャにも、雄花と雌花があるのかな? 調べてみたいな。
② 実際に学習園のカボチャを調べよう。
単元デザインのポイント
これまでに、子供たちは水やり等でカボチャに関わってきていますが、花のつくりに着目するには至りにくいもの。そこで、雌花と雄花の写真や動画を見せて、興味・関心を高めてから、実際に観察させる方法も考えられます。「NHK for School」の動画クリップ「カボチャのお花とめ花」も活用しやすいです。また「雄花」「雌花」の漢字表記を伝えることで、メダカの学習の雄雌と関連付けて考えやすくなります。
二次 受粉と実のでき方(3時間)
① めしべの膨らんだ部分が実になるときと、ならないときがあることを知る。→「どうすれば、実ができるのだろうか」という問題を見いだし、実験する。
カボチャの実の中には、何が入っていますか?
実の中には、種が入っています。メダカは、雌が産んだ卵は雄が出す精子を受精して、卵が育っていったね。それに似ているのかな?
花粉が関係していると思う。どんな条件で調べればいいのかな?
・植物にとって、実を育て種子を残すことが、生命を受け継ぐことにつながることを確認しておきましょう。
・メダカは雄と雌で受精卵をつくっていたことを想起できるようにし、花粉が、めしべにつく受粉と似ていることに気付けるようにします。
三次 植物の受粉(2時間)【活動アイディア例】
①「自然の植物は、どのように受粉しているのか」という問題を見いだし、観察したり調べたりする。
単元の終わりに求められる振り返り
植物も動物と同じように、生命を受け継いでいっているんだね(共通性の視点)。
植物は、自分では花粉を運べないけれど、虫や風などに花粉を運んでもらって、受粉しているんだね。
植物がきれいな花を咲かせて、中に蜜をつくるのは、虫に花粉を運んでもらうためなんじゃないかな。
虫に運んでもらう花粉は、虫の体に付きやすいように、風に運んでもらう花粉は、軽く風に乗りやすいように、それぞれ生命を受け継ぐためにうまくできているね(多様性の視点)。
授業の展開例
イラスト/横井智美
『教育技術 小五小六』2019年9月号より