SNS時代の子どもに伝えたいリアルなメディアリテラシーとは
小学生のスマホ保有率も高まる中、LINEいじめ、SNS疲れ、フェイクニュースに触れる機会も低年齢化しています。ネットに接続する時間も増えがちなゴールデンウィークを前に、メディアリテラシー※教育について専門家である津田大介さんにおうかがいしました。 ぜひ、子どもやおうちの方へも伝えてください!

メディア リテラシーとは
コンピューターネットワーク・テレビ・音楽・映画・出版物などさまざまなメディアが伝える価値観・イデオロギーなどをうのみにせず、主体的に解読する力をつけること。 『デジタル大辞泉』(小学館)より
目次
メディアリテラシーは教科書では教えられない!?
僕自身、発起人である「インターネットユーザー協会」の活動を通じ、普段からメディアリテラシー向上のためのお手伝いをしていますが、実際、メディアリテラシーを教科書で教えることは難しいと感じています。
なぜなら、コミュニケーションツールは常に進化をし続ける一方、教科書は検定制度があるので世に出るまで3~4年のラグが生じるからです。
例えば、今は短い動画を共有するアプリ「TikTok(ティックトック)」が若者を中心に人気ですが、半年前には話題にしている人などいませんでした。今のところその部分を補足するのは、各先生の裁量にかかっているとも言えます。
ネットと現実の社会は「変わらない」と考えるべき
僕が先生方に対して、子どもたちに伝えてほしいと思っていることは、“ネットの社会と現実の社会は実はまったく変わらないと考えてほしい”ということです。例えば、子どもたちはクラスの友達に面と向かって侮辱的な言葉を言うことは、あまりしないと思います。
ところが、ネット上では、物理的な衝突もなく、匿名性があるため、そのような発言をすることのハードルが一気に下がってしまうということが起こります。
しかし、ここが落とし穴です。
ネットの世界では、匿名性があるように見え、実は誰がどこから発信しているのか、簡単に辿ることができるのです。例えば、いじめについて。これまでは学校というクローズドなコミュニティの中で、外部の人間がいじめを把握することは極めて困難でした。
しかし、最近ではいじめの原因はほとんどの場合「LINE(ライン)」から特定できるようになっています。仲間外れになりたくなくて嫌々いじめのグループに参加しているような子から、「LINE」のログが親や探偵、学校へと漏れて判明するというケースが多くなっているのです。
こうしたいじめの実態を子どもたちに伝えるかどうかは別として、ネットで行っていることは、実はすべて記録されていて、問題が生じた時にはむしろ強力な証拠になる、ということは子どもたちにも知らせておくべきでしょう。
友達に対しても、面と向かって言えないような内容は書かない、という意識を徹底させることが、トラブルを防ぎます。