小3国語「『ほけんだより』を読み比べよう」指導アイデア

教材名:「『ほけんだより』を読み比べよう」(東京書籍 三年上)

指導事項:読むこと イ
言語活動:ウ

執筆/香川大学教育学部附属坂出小学校教諭・尼子智悠
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、香川県公立小学校校長・川井文代

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

本単元では、目的に応じて、中心となる語や文を捉えるなどして、段落相互の関係や事実と意見との関係を考え、伝えたいことに合わせて、取り上げる事柄を考える力を付けます。また、図や表の効果を考える力を付けることがねらいです。

②言語活動とその特徴

本単元では、2つの「ほけんだより」の文章を読み比べて、伝えたいことを分かりやすく表しているのはどちらだと思うかを、交流する言語活動を位置付けます。2つの文章を読み比べる際には、書き手が捉えている読み手の実態が違うことや、書き手が伝えたいことに応じて、取り上げる事柄を選択していることなどについて考えていきます。

このようなことに着目して文章を読み比べることで、それぞれの文書の中心は何かや、その中心を伝えるために、どのような段落構成で、どのような事実や意見を取り上げて説明しているのかを捉えながら読むことができるようになります。

「書き手のくふうを考えよう」指導アイデアのイメージイラスト
イラストAC

単元の展開(8時間扱い)

主な学習活動

(1時)

①相手に伝えたいことを分かりやすく伝えるために、読み手を意識しながら大森先生の保健だよりにアドバイスをするための計画を立てる。
→アイデア1 主体的な学び

(2~6時)

②2つの保健だよりを比べ、自分ならどちらの保健だよりを発行することを大森先生に薦めるか、理由を考える。

③~⑤どうしてそちらのほうがよいと思ったのか、交流する。
→アイデア2 対話的な学び

⑥選択した保健だよりを、もっとよくするためのアドバイスを考える。
→アイデア3 深い学び

(7~8時)

⑦どのようなアドバイスをするか、友達と交流する。

⑧単元のふり返りをする。

アイデア1 工夫して書こうとすることに必要感をもたせる

主体的な学び

単元のはじめには、自分が伝えたいことを文章で伝える際に、ただ、目の前にある事柄を記述するだけでは、相手によく伝わらないことに気付かせることが大切です。

そこで、まず、教師が作成した伝わりにくい保健だよりを提示し、工夫する必要性があることを感じさせ、何を工夫すればよいかを考えたいという意欲を喚起させると共に、必要な観点にも気付かせましょう。

▼伝わりにくいほけんだよりの例(大森先生のほけんだより)

伝わりにくいほけんだよりの例のイラスト
大森先生のつくったほけんだより
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朝ご飯は、どうして体によいのか、理由があったほうがいいんじゃない。

ご飯の絵より、朝ご飯を食べる人と食べない人の人数の表を載せたほうが関心をもってもらえると思う。

アイデア2 より伝わる保健だよりを選択し、理由を語らせる

対話的な学び

教科書教材のそれぞれの保健だよりの同じところや違うところに着目させて、薦める理由を交流させます。その際には、まず、同じ保健だよりを選んだ子供どうしで交流させ、その保健だよりがよい理由をまとめた後、違う保健だよりを選んだ子供でペアやグループをつくり、それぞれの保健だよりのよさを交流させると、話合いが深まるでしょう。

また、子供たちが話し合いながら、より説得力がある理由を考えていくなかで、伝えたいことがどのような人を対象にしているかという相手意識の大切さにも、気付いていくことができるでしょう。

〈同じ保健だよりを選んだ子供どうしの交流〉

朝ご飯を食べないと、どんな困ることがあるかが書かれているから、朝ご飯を食べていない人にとって、説得力があるよね。

イラスト/横井智美

『教育技術 小三小四』2019年9月号より

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