小3算数「かけ算のひっ算①」指導アイデア(2/11時)《2けた×1けたの計算のしかた》
執筆/新潟県公立小学校教諭・大橋博
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、新潟県公立小学校校長・遠藤昇
目次
本時のねらいと評価規準
〔本時2 / 11時〕
ねらい
2けた(被乗数)×1けた(乗数)の計算のしかたについて、学んだかけ算を使って自分なりの2けた×1けたの計算方法を見いだす活動を通して、2けた×1けたのかけ算は被乗数を十の位と一の位に分け、乗数をそれぞれにかけて、その和で答えを求めることを理解する。
評価規準
既習を使って、32×3の答えを正しく求めることができる。

問題
ひろしくんがコンビニへ行って、兄弟3人分のおやつを買いました。いくらになるでしょうか。
昨日はこの問題で、5円のキャンディーを買ったときと、20円のチョコレートを買ったときの値段を求めることができました。これで全部でしたか?
いいえ、ひろしくんは32円のスナック菓子も買っています。だから、それも求めないといけません。
「2けた×1けた」の学習なのに、何十×何 しかやっていないわ。何十何×何 もやらないと。
では、32円のスナック菓子を3人分買うときの値段の出し方を考え、何十何×何 のやり方を考えましょう。
学習のねらい
どうすれば何十何×何 ができるか。32×3をやって考えよう。
児童主体で学習のねらいが設定できるように、前時からつながりのある問題やねらいを子供と共有しておく。
見通し
今までのかけ算の勉強をふり返って、新しいかけ算をする前に、くふうして計算したことはありませんでしたか?
そう言えば7の段のかけ算は、例えば7×3の答えが4×3と3×3の答えをたすと出せたり、1×3と6×3の答えをたすと出せたりした。
かけ算はたし算を何回するかだから、たし算でも出せたね。
自己解決
A つまずいている子
かけ算ということにこだわり、たし算に変換することも、被乗数を分解し、それぞれに乗数をかけて、その和で求めるという発想も取り入れられない。
B 素朴に解いている子
かけ算はたし算の回数という考えを取り入れ、32+32+32で答えを求めようとしている。

C ねらい通り解いている子
被乗数を分解し、それぞれに乗数をかけて、その和で求めるという発想から答えを求めようとしている。

子供の考えの板書は、位ごとに分けて計算していることが分かるように表記する。
本時の子供のノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
自力解決で見付けた考えを学級全体に発表し、考えの共通点を問う。
BさんとCさんの考えで、答えは同じになったので、考え方は正しそうですね。2つの考えの共通点はどんなところでしょう?
どちらも30と2に分けて、それぞれで計算しています。
最後に合わせているのも、同じです。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
何十何×何 の計算は、かけられる数を 何十と何 に分け、それぞれに ×何 をして、最後にたせばよい。
評価問題
21×4をCさんのやり方でやってみよう。
Bも尊重しつつ、かけ算の学習なので、位ごとの計算はかけ算ですること。この考えでかけ算の筆算ができていることを予告する。
感想例
私は32を30と2に分け、それぞれに×3して、最後にたす考えでした。友達のたし算の考えと比べたら、位を分けて最後にたすことが同じことが分かりました。今度、何百何十何も位を分けてやってみたいです。
イラスト・小沢ヨマ 横井智美
『教育技術 小三小四』2019年9月号より