小1国語「こんな ことを したよ」指導アイデア
教材名:「こんな ことを したよ」(光村図書 一年上)
指導事項:Bア、ウ
言語活動:Bイ
執筆/東京都公立小学校主任教諭・武井二郎
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、東京都公立小学校校長・河村祐好
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
自分の体験を思い出し、「したこと」や「思ったこと」を書く力を身に付けます。また、長音や拗音などの表記や助詞を正しく使う力も身に付けます。
②言語活動とその特徴
本単元では、一学期で学習してきたことを生かして、「自分が体験したことを知らせる文章を書く」言語活動を設定します。学習する時期は7月であり、夏休みの絵日記の課題につなげることができます。文章量の目安は三文程度ですが、子どもの実態に応じて柔軟に対応することが大切です。
「したこと」と「思ったこと」を基本としながら、詳しく書ける子どもには「話したこと」や「聞いたこと」等も書き足すように促すとよいでしょう。また、作品を友達に読んでもらうことで、書いて伝えることの喜びを味わわせることもできます。
単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
(1~2時)
①楽しかったことを思い出して発表し合い、「したことを書いて知らせる」という学習の見通しをもつ。
②教科書や教師の作品例を読み、どんなことを書けばよいか、誰に読んでもらいたいか考える。
→アイデア1 主体的な学び
(3~5時)
③学校や家庭での楽しかったことの中から、知らせたい話題を決める。
④「したこと」や「思ったこと」を思い出し、書く事柄を集める。
→アイデア2 対話的な学び
⑤自分が体験したことを知らせる文章を書く。
(6時)
⑥書いた作品を友達と読み合い、感想を伝え合う
→アイデア3 深い学び
⑦学習を振り返る。
アイデア1 明確な目的意識・相手意識をもたせる

はじめから文の「型」を教えるのではなく、教科書や教師の作品例からどのように書けば読み手に伝わるかを子供自身に気付かせることで目的意識を高めます。
また、書いた作品を誰に読んでもらうか相手意識を明確にすることで、書く意欲が高まり主体的に学習に取り組むことができます。
【作品】
はじめに「いつ」「何をしたか」を書くと、読む人に分かりやすいね。
書いた作品は、同じクラスの友達に読んでもらいたいな。
アイデア2 思考ツールを活用した対話を取り入れる

一年生の子どもは、何について書くか迷ったり、詳しく思い出せなかったりすることがあります。そこで、話題設定や取材の学習過程において、ペアでの話合い活動を取り入れます。友達同士で質問し合うことによって、書くことが明確になったり詳しく思い出したりすることができます。
次のような思考ツールを活用すると、対話による考えの広がりを見取ることができます。
話題を決める

書く話題が決まったら、赤で印を付ける
書く事柄を集める

友達と話し合って、思い出したことは青で書き加える
アイデア3 身に付いた資質・能力が自覚できるようにする

単元の最後には、友達同士で作品を読み合い、よいところを伝え合います。この時、付箋などに感想を書いて貼ると、後で書いた本人も読み返すことができます。

これにより、自分の作品のよさを実感するとともに、「したことを分かりやすく書くことができた」「思ったことを詳しく書くことができた」等、身に付けた資質・能力を自覚することができます。
また、読み手から感想をもらうことで、「書いてよかった」「また書きたい」という成就感を得ることもできるでしょう。
この学習を通して、「したこと」を分かりやすく書くことができるようになりました。夏休みの絵日記でも、学習したことを使ってみようと思います。
ぼくは、〇〇さんの作品を読んで、「いつ」「だれと」「何をした」かが書かれていて分かりやすいと思いました。
【教室掲示例】
学習したことを教室内に掲示することで、他の単元や他教科で活用することができ、資質・能力の定着を図ることができます。
イラスト/やひろきよみ 横井智美
『教育技術 小一小二』2019年7/8月号より