ちょっとの工夫で好感度UP! 保護者との上手なコミュニケーション

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新学年スタートの2か月は、子供だけでなく保護者との信頼関係を築くために大切な時期。ベテラン教師が実践している、保護者と良好なコミュニケーションを図るためのアイディアを紹介します。

ちょっとの工夫で好感度UP! 保護者との「上手なコミュニケーション」
写真AC

学級通信で好感度UP!

学級通信で好感度UP!

翌週の学習内容と今週の活動を発信

毎週金曜日に、学級通信をA4の両面印刷で発行しています。

表面の主な内容は、次週に取り組む学習内容についてです。時間割に加えて、発育測定や特別な持ち物など、イレギュラーな予定を盛り込みます。ポイントは、シンプルにすること。本当に必要なものが一目でわかるようにしましょう。

裏面では、クラス目標に沿って、子供たちが頑張っている様子を伝えます。例えば学期のテーマが「感謝」であれば、「○○係さんは自分たちの仕事を頑張ってくれていて、みんながそれに対して『ありがとう』と伝えることができていました」などと紹介します。「先生はちゃんと子供を見守ってくれている」と保護者から信頼を得ることにつながります。

(埼玉県公立小学校教諭・鈴木智尋)

1週間の予定表で準備をしやすく

週に1回、翌週の授業の予定表(A4)を配付します。

予定表の左側は子供向け、右側は保護者向けに分けておくことで、保護者は学校でどんなことをするのか、家庭で何を準備すればよいのかをすぐに読み取ることができます。

学級通信
右側は保護者向け、左側は子供向け
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子供向けと保護者向けを兼ねた形で、保護者側には、学校での活動の様子や担任の考えが伝わるコラムを入れます。学校での子供の姿が分かると、保護者は安心します。

ただ、プライバシー保護の観点も忘れず、むやみに個人名を入れないようにするなどの配慮が必要です。

(東京都公立小学校教諭・細川隆弘)

連絡帳・電話で好感度UP!

保護者への電話は身なりを整えてから

直接会って話していなくても、電話口の雰囲気は相手に伝わるものです。保護者に電話をする際は、目の前に保護者がいることを想定し、身なりを整えます。

スリッパやサンダルなどは靴に履き替え、衣服も整えます。「気を付け」とお辞儀の姿勢を鏡で確認してから電話をかけ、姿勢に注意して丁寧に受け答えをしましょう。謝罪の電話では、しっかりお辞儀すると誠意が伝わります。先輩教員にお辞儀の動作を隣で一緒にしてもらうと心強いでしょう。

(神奈川県立総合教育センター指導主事・鈴木夏來)

保護者への電話は身なりを整えてから

学級の始まりは連絡帳であいさつ

新しい学級の担任になった場合は、保護者に向けて連絡帳で簡単に自己紹介をします。自己紹介の内容は「担任の〇〇です。どうぞ、よろしくお願いいたします」と書いておけばOK。

「連絡帳で丁寧にあいさつをしてくれる、きちんとした先生」というよい印象でスタートができます。

子供のよい行いを目にしたら、連絡帳にその姿を具体的に書いて、保護者に伝えましょう。子供の成長や活躍が、保護者にとって一番うれしいことです。

しかし、毎日全員の連絡帳に書くのはかなり負担になります。一日に数人、同じ子供にならないようにバランスよく書くようにしましょう。

(東京都公立小学校主幹教諭・西中克之)

持ち物の連絡には余裕をもって

連絡帳は、さまざまな家庭の事情に配慮して、持ち物をなるべく早いタイミングで知らせることがとても大事です。物によっては前日に準備するのが難しい場合もありますので、準備期間をなるべく長くして、保護者に連絡帳で「いつ」「何を」使うかを伝えるようにしましょう。

例えば、絵の具を使う前の週に「絵の具(水曜日)」と書くようにすれば、週末などに余裕をもって準備することができます。

長々と文章を書かせると、子供はだんだん雑になり、保護者が読みにくいものになってしまいます。連絡帳は、全体的に短く簡潔にまとめるように心がけましょう。

(埼玉県公立小学校教諭・中島礼子)

保護者会・個人面談で好感度UP!

気軽に話せるように配慮する

保護者会の終わりに、保護者に向けて「保護者会はこれで終了ですが、私はまだこちらにおりますので、何かありましたら気軽にお声かけください」と伝え、教師への相談や保護者同士の交流を自由にしてもらえるように促します。

保護者によっては、他の保護者の前では切り出しにくい相談事もあります。相談事がありそうだったらこちらから声をかけ、その場では話したくなさそうな様子だったら、時間をおいて別の場所で話を聞くなど、丁寧な対応を心がけることが大切です。悩みや不安を相談できる先生だという安心感や、信頼の気持ちを持ってもらえます。

(東京都公立小学校主幹教諭・西中克之)

子供との関わり方の考えを共有する

保護者会では、保護者と一緒に子どもとの接し方について考える時間を設けます。

テーマは「子供が話してくれない時にどう声をかけるか」「ご褒美をあげるのはありか、なしか」「子供の個性を伸ばすためにどうしたらよいのか」などです。保護者に意見交換をしてもらい、最後には教師である自分がどのように考え、対応するかを、資料とともに一つの解として提示します。

よいコミュニケーションを取るためには、保護者に自分の考え方を伝え、知ってもらうことが重要です。また、それぞれの保護者の考え方を知ることで、その後のコミュニケーションに生かすこともできます。

(東京都公立小学校教諭・細川隆弘)

個人面談に備えてアンケートを出す

個人面談が少しでも実りのあるものになるよう、事前に子供と保護者にアンケートを出しています。保護者が話したいことをじっくり話せれば、保護者の満足度が高い面談になります。

会話が得意ではない保護者には、下のような子供へのアンケートで知った習い事について話してみたり、前学年の子供の様子を聞いてみたりと、保護者が話しやすい話題から始めましょう。徐々に会話が弾みます。

(埼玉県公立小学校教諭・中島礼子)

ともだちアンケート
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その他の場面で好感度UP!

子供たち全員が活躍する授業参観にする

子供たち全員が活躍する授業参観にする

授業参観で音読や発表をする際は、自分の保護者の方向を向くようにします。また、算数の計算などは、ノートではなく配付した紙に大きく書き、全員で一斉に解答を参観者に見せます。

このような活動をすることで全ての保護者が「活躍の機会を与えてくれた」と思ってくれます。問題を解く間には見回りをして、子供が間違えて恥ずかしい思いをしないように配慮しましょう。

(神奈川県立総合教育センター指導主事・鈴木夏來)

保護者の感想を集めて思いや考えをキャッチ

運動会や授業参観などの行事の後は、保護者から感想を集めるようにしています。さらに学級通信への掲載の可・不可を選べるようにして、ポジティブな感想は学級通信でどんどん紹介します。

この方法は教師が保護者の意見をしっかり受け止めていることをアピールするだけでなく、保護者のさまざまな考え方を共有することもできます。

保護者からは「要望などを文章で書くことで、自分の頭の中も整理できる」という声もあり、おすすめです。

保護者の感想を集めて思いや考えをキャッチ
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面談では、まず保護者の思いを受け止める

指導方法に不満を持っている保護者と話す際は、まずは保護者が言いたいことを全て話してもらうことが大事です。こちらは必要以上に話に割って入らず、しっかり聞き役に徹して保護者の考えに理解を示しましょう。「釈明しなければ」と考えすぎるのはNGです。

保護者からの要望に対しての回答は、必ずしもその場で行う必要はありません。管理職などへの確認が必要な場合もあるはずです。そんな時は、「確認して、後日こちらからご連絡します」と伝えましょう。

時間を空けることで、保護者の気持ちが落ち着き、お互いに冷静に話し合うことができます。ただし、回答までの期間が長すぎると逆効果になるので、翌日に回答するのがベストです。

(埼玉県公立小学校教諭・鈴木智尋)

取材・文/加藤隆太郎(カラビナ) イラスト/畠山きょうこ

『教育技術 小三小四』2020年4/5月号より

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