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地元10企業・団体とタイアップして、新商品の開発や観光マップ作成やPR映像の制作 <中学校「総合的な学習の時間」探究のポイント> #05

校内体制は? 教科連携は? 授業づくりは? 中学校「総合的な学習の時間」探究のポイント バナー

現在、進められている次期学習指導要領の改訂議論の中でも、改めて総合的な学習の時間(以下、総合学習)における探究の重要性が確認されています。しかし、中学校における総合学習は高校入試などの問題から、なかなか全校で足並みをそろえて取り組むことが難しいとも言われます。そこで、この企画では全国の中学校の中で、田村学・文部科学省主任視学官がその取組を評価する学校の具体的実践内容とその取組を行うための学校経営について紹介をしていきます。

今回からは、研究指定を機に研究主任が取組の活性化を図り、異動してきた校長がさらにその取組を推進してきた、新潟県上越市立三和中学校の実践を紹介していきます。初回となる今回は、まず研究主任である山川純教諭が、県の研究指定を受けて、2年の後半から3年にかけて取り組んだ、地域企業とのコラボ実践についてご紹介します。

山川純教諭
新潟県上越市立三和中学校
山川純 教諭

県から2年間の研究指定を受け、総合学習に取り組む

まず、研究指定を受けて研究に取り組み始めた経緯について、山川教諭は次のように話します。

「本校では、以前から総合学習の中で、まちづくりワークショップを通して、地元のオニバスの保全や越後さんわ音頭という踊りの継承をしていましたが、コロナ禍の影響で活動が制限されていた時期に県から2年間の研究指定を受けました。改めて本格的に総合学習に取り組もうという話が出たのは2023年度に入る前でした(資料1参照)。

資料1 2〜3年生の実践研究指導計画

資料1 2〜3年生にかけての実践研究の指導計画

本校では、2年生の7月に職場体験をしており通例なら、後半ではキャリア教育に取り組むところです(次回、実践紹介)。研究指定を受けた2023年に、2年生の担任だった私は、研究発表の24年度に向け、何に取り組むか、地域の方や地域の総合事務所とも相談をしました。ちょうどその頃、行政からも、上沼道という高速道路の開通に向けて、三和区の魅力を発信して多くの人に来てもらえるようにしたいということで、予算も付けていただいたのです。

そこで、私が担任していた2年生が、職場体験を終えた秋から3年生の11月にかけての1年強、具体的には地元10企業・団体とタイアップして、1学年42人が10グループに分かれ、新商品の開発や観光マップ作成やPR映像の制作などを行っていきました。

この探究を開始した当初、子供たちは職場体験で地域の方ともつながり、『人が少なくて地域が活性化しない』『質の高い地産物があっても広く知られていない』といった課題があることを知っています。それをベースにしながら、この取組ではまず、地域の企業などにインタビューをしに出かけました。そのときに子供たちは、これまでの取組やこれから行いたいこと、何に困っているか、中学生に望むことなど、かなり細かくインタビューを行います。そこで聴き取ったことを持ち帰って考え、企業に対してアイデアをプレゼンし、企業と合意できたものを実現していきます(下の写真参照)。

企業で聞き取りや対話、提案を行なっていった子供たち。
企業で聴き取りや対話、提案を行っていった子供たち。

例えば、地元で農林水産大臣賞を取っているあおき味噌であれば、『もっと若者に買ってほしい』という思いをもっておられました。そこへ子供たちが関わり、同蔵が作っている麹の甘味だけを使って作ったシロップを使い、クラフトコーラを作ろうということになりました。

あるいは、バイク神社として知られ、全国からバイカーがやってくる風巻神社を選んだグループは、神社を訪れるバイカーから『他にどこへ行ったらよいか』『何を食べたらよいか』という声を聞き、地域の観光案内マップを作成することにしました(資料2参照)。

三和区では、毎年7月にさんわ祭りが行われるため、そこに向けて、商品開発と販売方法の工夫、観光案内作成をグループごとに行っていったのです。そこで商品を売ったり、案内をしたりしたところでいくつか見えた課題は、その後さらに改良を加えていき、また秋には、観光マップに二次元コードを入れてあるので、そこから見られる映像も作りました」

資料2 子供たちが作成した観光マップ(一部)

資料2 子供たちが作成した観光マップ(一部)

デジタルで、より具体的に地元に貢献できる

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