AI初心者におすすめ!子どもたちが初めて生成AIを活用して学ぶ国語授業~絵本『おいしい音』を出発点として

公立小学校で生成AIと先駆的実践に挑む鈴木優太先生による、2026年春の渾身の提案です。子どもたちが生成AI(Gemini)を活用してオリジナルの詩を創作する、全学年対応の国語科実践をご紹介します。この記事をご購読いただけた読者には、授業で活用した独自開発Gemをもれなくプレゼント!この授業のアレンジはもちろん、先生方オリジナルの授業づくりにも役立つツールです。ぜひお求め下さい。
執筆/宮城県公立小学校教諭 鈴木優太
目次
授業の展開
生成AIと、なさそうでありそうな『おいしい音の詩』を作る。
これが本時のねらいです。
「初心者なんだけど、AIって、授業でどう使えばいいの?」
そんな先生方でも大丈夫です。今回、1年生から6年生まで、どの教室でも実践できるパッケージで授業を設計、ご提案します。児童が生成AIを利用する第一歩として最適な国語授業です。
まずは,以下のイラストで授業のゴールを子どもたちと共有します。AIが生成したイラストです。授業開始前に印刷して、黒板に貼っておきます。「何だか楽しそう!」と、子どもたちの見通しと期待感が一気に高まります。
1 良質なモデルと出会う(5分)
授業のスタートは,絵本『おいしいおと』(福音館書店)の読み聞かせです。学校図書館にもよく所蔵されている名作です。

教師「はるまき たべよう カコッ ホッ カル カル カル カル カル」
子ども「カルカルカルだって!」
教師「ほうれんそう たべよう ズック ズック ズック ズック ズック ズックズ」
(Amazonの試し読みができる部分で公開されています)
子ども「ズック? おもしろい!」
教師「最後はデザート。これは何のおいしい音だと思う?」
絵本ならではの温かみに触れながら,「なさそうでありそうなおいしい音」の良質なモデルにたっぷりと触れます。読み聞かせの終盤に登場するデザートの音は、あえて絵の部分を隠してクイズ形式で提示します。
これが、「自分たちもクイズを作ってみたい!」という次の活動への自然な導線を作り出します。
もし絵本の準備が難しい場合は,GeminiのStorybook機能による自作絵本を活用するのも良いでしょう。
2 生成AIとクイズ作り(10分)
まずは子どもたちの発想からスタートします。ノートに思いつく「おいしい音」を書き出してみます。
お題は、「給食のメニュー」に限定します。配付した今月の献立表の中から選びます。好きな食べ物を何でもアリにしてしまうと、この後に行うペアでのクイズが成立しにくくなるためです。
「なさそうでありそうなおいしい音」で、クイズや詩を作るのが本実践の目玉ではありますが、定番の「カリカリ」や「フワフワ」や「ズルズル」も、まずはOKとします。番号を振って箇条書きにする「ナンバリングメモ」の手法で、ともかく数多く書き出していきます。この直後に生成AIを利用するという見通しが呼び水となるのでしょう、豊かなアイデアが次々と浮かぶ子もいます。

いよいよ生成AIの出番です。この発想に一気にブーストがかかります。ここで活用するのが、本授業のためにカスタマイズした「おいしいおと名人」です。Geminiで作成したオノマトペ特化型のアイデア出しGemです。こちらは有料記事を最後まで読んでくださった方に、もれなくプレゼントします。
その日の給食の献立を入力する料理のモデルとして示します。すると給食の時間に「あ、これ、今日の国語でやった音だ!」と声が上がります。食への関心が高まって実際に残食が減るという,食育の観点からも非常に効果的な授業です。
たとえば、「肉団子の甘酢あんかけ」と入力して見せます。「音声入力」機能を使えば,タイピングが難しい低学年でも実施可能です。
すると、Gemから「リアル」「ダイナミック」「アンビリバボー」の3パターンのオノマトペと、それぞれの解説が出力されます。
さらに、「たっぷりのあんがかかってごはんが進む肉団子の甘酢あんかけ」と、様子をより詳しく入力するデモンストレーションも行います。言葉を足すことで、AIから返ってくる表現は変化します。これは、子どもたちが自身のイメージの解像度を鮮明にしていく大切な過程です。
同時に、AIへの指示である「プロンプト」の工夫を学ぶ第一歩にもなります。授業の中で、こうした言葉へのこだわりをどんどん推奨していきます。「不適切な言葉は入力しない」などの情報モラルは、これまでの端末利用と同じです。「AIだから」と特別に身構える必要はありません。

子どもたちは、AIが提案する「トプッ」や「ドロワァー」、「ポニポニ」や「ボリュンッ!」といった、自分だけではなかなか思いつかない斬新なオノマトペを、ノートに次々と書き足していきます。
AIのアイデアをそのまま選ぶ子もいれば、自分のアイデアと掛け合わせて新しい音を創り出す子もいます。こうして、次のステップであるペアでのクイズの出し合いに向けた準備が整っていきます。
3 友達との壁打ち(10分)
ナンバリングメモの中から大事なことを後から選ぶ、「なるほどベスト3」の手法で、なさそうでありそうなおいしい音を3つ選びます。これで「おいしい音クイズ」の完成です。アイデアの種が詰まったノートを持って席を立ち、ペアを変えながら互いにクイズを出し合います。
子どもA「問題です!」
子どもB「デーデンッ!(効果音の口まね)」
子どもA「トプ。ドロワァー。ポニ ポニ。これ,なーんだ?」
子どもB「献立表の中の………肉団子の甘酢あんかけ?」
子どもA「正解です」
ただ正解発表をするだけで終わりにしないのがポイントです。ここで、出題者がさらに質問をします。
子どもA「特に、どの音がおいしそうですか?」
子どもB「私は,『ドロワァー』です。なぜかというと、あんかけがたっぷりかかっている感じが浮かびました」
子どもA「なるほど。赤鉛筆で★印を付けて…と」
ここでさらに、出題者が尋ねます。
子どもA「もっとおいしそうな音はありませんか?」
子どもB「ノートを見せて。ああ、これもいいね。『ボリュンッ』。肉団子を噛んだ感じが伝わる」
子どもA「ありがとう。青鉛筆で★印を付けて…。よし、次のクイズに入れてみます」

特においしそうな音に選ばれたものは赤鉛筆で、もっとおいしそうな音は青鉛筆で…というように色分けして★印を付けておきます。この色分けが、後の「おいしい音の詩」の創作に直結します。
生成AIとの壁打ちでアイデアを出した後、「人」との壁打ちを通して、どの表現が相手の心、あるいは胃袋に響くのかを交流します。ただ奇抜な音を収集し、披露することが本時の目的ではありません。
「それは本当においしそうか?」と立ち止まって吟味する営みこそが、国語科における言葉の学習としてのねらいを達成するのです。顔と膝を突き合わせて語り合うアナログな時間が、イメージの解像度をさらに引き上げます。
最終的にどのオノマトペを自分の詩に採用するかは、子ども自身の「自己選択」に委ねます。
AIの出力が絶対の正解ではありません。ペアの友達と意見を交わしながら吟味し、自分が納得のいく言葉を最後は自ら選び取る。その決定に責任を持つのは、常に人間の側です。
「発散」→「選択」
これは、一生の武器になる最強の学習法だと私は考えます。生成AIの登場により、膨大な情報から納得解を見つけ出すスキルがますます必須となりました。よりよい選択ができる「判断の感度」を磨くためには、こうした学習活動を何度も経験するほかありません。
4 作った詩を生成AIが全力肯定(20分)
ペアでの対話を通してイメージが固まったら、いよいよ自分だけの「おいしい音の詩」を書き上げます。終末で黒板に貼ったり、作品として掲示したりすることを想定すると、かしこまらない真っ白な紙に書くことをお勧めします。
ここまでの活動で言葉の解像度が上がっているため、子どもたちの鉛筆は迷うことなく進みます。赤鉛筆で★ 印を付けたおいしそうな音、青鉛筆で★印を付けたもっとおいしそうな音を存分に生かします。

書き上がった詩は撮影して、もう一つのカスタマイズAI「詩の達人Gem」に読み込ませます。

各自治体の運用ルールにもよりますが、この時、「名前のところには付箋を貼ろうね」など、個人情報を守る情報モラルの指導も実践の中で自然に行います。
子どもたちは、自分の書いた詩を本当にAIが読み取ってくれるのかとドキドキです。授業を参観された先生方も、2年生のたどたどしい文字をAIが判別できるのかどうか、興味津々でした。
しかし、それは杞憂に終わりました。画像から手書きの文字を高精度で読み取る生成AIの進歩に驚かされました。誤字や脱字を前後の書きぶりから推測して補ってくれることもあります。中には、うまく読み取ってもらえなかった子もいます。おもしろいのはここからでした。その子は、丁寧に書き直してリトライし始めたのです。2年生で実践した際には、未習の「億」という字が判読不能だったため、自ら正しい漢字を調べて書き直す子もいました。
「生成AIにちゃんと読んでもらえるような字で書こう」
そんな機運が教室に広がっていったのです。
後でリンクを公開する「詩の達人Gem」は、読み取った子どもたちの詩の良いところを具体的に見つけ、まずはたっぷりと褒めてくれます。例えば、以下のような言葉が返ってきます。
さらに、「何かに例える」「同じ表現を何度も繰り返す」「最後の言葉をものの名前で終わらせる」「だれかに話しかけるように書いてみる」など、作品をよりよくするための具体的な「詩の表現技法」についての提案もしてくれます(例えば以下のような言葉が返ってきます)。一人の教師が授業中にここまで具体的な個別のアドバイスを全員にすることは、現実的に難しい。この点において、生成AIの活用はまさに画期的と言えます。
授業の終末においても、AIが再びほめてくれます。全力で肯定してもらえた子どもたちは、ニコニコとうれしそうです。
AIが一人一人への具体的なフィードバックを担ってくれるおかげで、教師は教室をゆったりと回ることができます。そして、子どもたちが書き上げるまでの試行錯誤の過程や結果的に生み出された作品を、全力で肯定することに注力できるのです。
テクノロジーがどれほど進化しても、教師からの温かい言葉かけが持つ価値は変わりません。むしろ、AIという強力なサポートがあることで、この最も大切な営みに専念できるのです。
しかし、やっぱりここでも欠かせない教師のマインドセットがあります。それは、AIからのフィードバックをもとに自分の作品を「直すか、直さないか」は、子ども自身の「自己選択」に委ねるということです。
AIの言うことが絶対の正解ではありません。「AIのアドバイスを取り入れてもっとよくしよう!」と修正するのもよし、自分の感性を信じて「この音がお気に入りだから、やっぱり元のままがいい!」と決断するのも、立派な学びの姿です。
最後は、書き上げた全員分の詩を黒板に貼り出しました。2年生の語彙力だけでは決して出なかったであろう「なさそうでありそうなおいしい音」がズラリと並んだ様子は壮観です。名前は付箋で隠した状態なので、まるで句会のように、自分のお気に入りの詩を見つけては作者名をめくって歓喜する――とても楽しい鑑賞の時間になりました。


AIの提案に背中を押されながら、仲間と温かく吟味し合い、自分らしく表現する。
テクノロジーの恩恵と人間同士の対話を掛け合わせるこの営みは、これからの時代に必要なAIとの協働の第一歩だと確信しています。
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鈴木優太(すずき・ゆうた)先生プロフィール
宮城県公立小学校教諭。1985年生まれ。2013年より教育サークル縁太会を主宰し、アイデアに富む教育実践と学びの場づくりに定評がある。最近著に『クラス全員が「聞ける」「話せる」!ペア活動図鑑100』(学陽書房・3月31日発売予定)があり、『教室ギア55』(東洋館出版社)、『日常アレンジ大全』(明治図書出版)はベストセラーを記録。みんなの教育技術では5年にわたり連載を担当、現在は「子供たちが前のめりになる学級経営&授業アイデア」を連載。
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