温度のちがいと感じ方|自然編①【地域と生活の科学~見つけよう!探究学習の種~#3】

森の中を散策していると、同じ場所にあるはずなのに、触ったときの感じがずいぶん違うものに出合います。春を迎えようとする、まだ肌寒さの残る季節。うっそうとした森の中で、石に腰掛けるか、隣にある切り株に腰掛けるか。どちらが「ひんやり」と感じられるかは、何となく予想がつくかもしれません。今回は、こうした身近な感覚を手がかりに、温度と感じ方の関係について考えてみたいと思います。
執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章
目次
同じ場所にあるのに、感じ方が違うのはなぜ?
直射日光の当たらない森の中には、木や石、土など、さまざまなものが存在しています。これらは同じ環境の中に長い時間置かれているため、周囲の空気とほぼ同じ温度になります。
石も木も、同じ環境の中に長い時間置かれていれば、その温度に大きな違いはありません。それでも、実際に触れてみると、石はひんやりと感じられ、木はそれほどでもないように感じられます。この違いは、どこから生まれているのでしょうか。

「温度」ではなく、「熱の移動」という見方
この疑問を理解する鍵になるのが、「熱伝導率」という考え方です。熱伝導率とは、物質がどれだけ熱を伝えやすいかを表す量で、数値が大きいほど、熱が速く移動します。
一般的に、
・木は熱伝導率が非常に小さい
・石は木よりも大きい
・金属は石よりはるかに大きい
という傾向があります。
私たちの平均体温は約36.8℃とされています。一方、まだ寒さの残る季節の森の中の気温を12℃とすると、私たちの体と周囲の物体との間には大きな温度差があります。この状態で石に触れると、熱を伝えやすい石の中に向かって、手からどんどん熱が移動していきます。その結果、手が冷え、「冷たい」と感じるのです。
一方、木は熱を伝えにくいため、手から奪われる熱の量が少なく、同じ温度であっても、石ほど冷たくは感じません。このように、私たちが感じる冷たさは、物体の温度そのものよりも、熱の移動のしやすさに大きく左右されています。


