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保護者が明かす「フリースクールで驚くほど成長した!」不登校児童たちのリアル・ストーリー

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花まるエレメンタリースクールの子どもたち

不登校42万人時代。「既存の学校という枠の外で育つ子」は、もはや特別な存在ではありません。こうした学校外での子どもたちの育ちを学校現場の先生方が知る機会は、多くはないのではないでしょうか。本記事では、不登校の小学生たちが驚くほど成長するフリースクール「花まるエレメンタリースクール」(東京都・武蔵野市)の保護者たちの声を通して、「学校外で育つ」子どもたちのリアルな成長の姿を紹介します。


※「花まるエレメンタリースクール(略称・花メン)」は、学校に行かない選択をした子のためのフリースクールです。過去記事はコチラ。 

不登校から始まった成長

Episode1:「意地悪される友達を見ているだけの自分」を責めて… 【Rちゃん(5年生)】

幼い頃の娘は、家では明るくひょうきんで、お兄ちゃんの後ろについてまわっているかわいい妹という感じでした。一方で、知らない人、特に初めて会う子供を前にすると、口がへの字になって表情が固まってしまうことがよくありました。その場の雰囲気に馴染めず、子供同士の輪に入れないこともしょっちゅうでした。「いつものあなたが一番いいよ」と言って聞かせていましたが、本人も望んでそうしているわけではないので、小学校生活では苦労していたようでした。

それでも時間とともにお友達もできて馴染んでいきましたが、本意ではないのにお友達の話に合わせている節がありました。小学3年生になったある日、出張先の私に電話をかけてきて「ママはお友達が意地悪をされていたら、見ているだけの人も意地悪する人と同じだけ悪いって言っていたよね。今日、自分は見ていることしかできなかった…」と言って泣きました。真面目で繊細な小さな子供に正論を言いすぎたのだろうかと、その時は、母である私自身、とても悩みました。
そんなことが積み重なっていった2年生の年度末、娘は突然学校に行けなくなりました。花メンに行ってからしばらくは、きっとこれまで通りへの字口の娘だったと思います。

でも、ある時から花メンが娘にとって強力な居場所になったことは間違いないと思います。表現が難しいですが、花メンに通ってから娘の姿に、自信というか「生きる活力」を感じるようになったのです。自分らしいってこういうこと、自分らしくていいんだ、と気づいたようで、本当の自分自身を見つけたようでした。そこからは、これまでと違う「頼もしい」一面を多く見せてくれるようになりました。娘は花メンでの出来事をそう多くは話さないのですが、かつて「先生がこう言った」と言う形で話してくれた二つのことが印象に残っています。

一つは、「ルールはつくった方が楽だけど、ルールはつくらない」という話。何がよくて何がよくないことか、それは場面によっても変わりますし、その都度、子供たちで議論させて納得させる、ということだと思います。
もう一つは、「大人数対少人数の争いはしてはいけない」ということ。娘経由なので正しい表現かどうかわかりませんが、私が娘に伝えたかった「意地悪されているのを見ているだけの人も同罪」の延長線上にある大切なことを実地で教えてくださっているのだと思いました。

みんなの前で意見を言うのが苦手で、人に合わせてばかりいた娘は、信じられないくらい変わりました。夫婦喧嘩をしていても、いつも娘が仲裁役となって怒られます(笑)。一番の変化は、自分の思っていることを堂々と言えるようになったこと、本人らしく笑って泣いて怒ることができるようになったことです。それって、子供にとっても大人にとってもとても難しいことだと思います。
今後の人生において、環境がそれをなかなか許さない場合もあると思いますが、一度覚えた「自分らしさの出し方」、これはきっと彼女にとって一生の力、宝物になると思います。は

Episode2: 先生からの「トラブル報告電話」にビクビクしていた毎日【Sくん(6年生)】

Sは、3年生から同級生とのコミュニケーションの仕方や行動面について注意を受ける事が増え、本人にとって辛い時期が始まりました。私も連日かかってくる先生からのトラブルが起きた際の放課後の電話にビクビクしながら毎日を過ごしていました。先生からトラブルの報告を受ける度に、家庭でもしっかり言って聞かせなければと、口調も強めに叱ってしまいました。

在籍校での様子はますます悪くなるばかりで行き渋る。「先生」という雰囲気をまとった大人に対してとても反発的な態度を取り、ストレスを家で爆発させる…。徐々に学校へ行く日が減っていき、登校させようと外に連れ出す度に逃げ出し、ある時は探しても居ないと思ったら木の根元に放り出されたランドセル。見上げると木を登って本を読んでいた事もありました(花メンに入学後の様子をその時に知っていたら、無理強いはしなかった事でしょう…)。

4年生の夏以降は、完全に学校へは行かなくなりました。学校があるはずの時間に外に出る事を嫌がり、家族と習い事でしか人との関わりが無い中、学校から渡される国語や算数のドリルに対しても拒否反応。自分でも正体のわからないモヤモヤ感や苛立ちから物などに八つ当たりをする……。そんなどんよりした日々が続き、家族みんなが疲弊していきました。

5年生の秋、ついに花メンに出会いました。ずっと刺激の無い毎日から、急に刺激だらけの毎日になりました。初めは様子をうかがっていたものの、やがて、「優しい子がいた」「先生たちすごく元気」「畑に行くんだって!手伝ったよ!」といった言葉が増えてきました。 
冬の林間学校に行ってからは、「自分の居場所を見つけた!」と言わんばかりに自ら朝起きて準備し、ソワソワしながら花メンに早く行きたいと、私がお弁当を作り終えるのを待っている…。そんな様子でした。
元々、明るく好奇心旺盛だったS。いつも元気でいつも目をキラキラさせていた姿が戻ってきました。新しい環境で周りに迷惑をかけないか、と心配していましたが、すぐにそんな心配は要らないと思えました。

Episode3: 横倒しになった重い木を、 根元から起こしてもらった【Yちゃん(3年生)】

花メンに入学する前、 Yは毎朝学校に行っても教室の中に入れず、 涙を流していました。
「行きたくない」 という気持ちと、 「行かなければいけない」 という思いの間で苦しんでいる様子が伝わってきて、 親としてもどう支えればよいのか分からず、 先が見えない日々を過ごしていました。

花メンに入学してからも、 最初の2~3か月は登校が安定せず、 行きたい気持ちはあっても朝になると不安が強くなり、 家を出られない日が続きました。先生方からは 「お子さんの背中を押してあげてください」 と声をかけていただいていましたが、 正直なところ、 親がどれだけ声をかけ、 背中を押しても、 まったく動けない状態でした。このまま同じ状況が続くなら、 相談することすらできなくなり、 花メンを辞めるしかないのではないか…と、追い詰められた気持ちで面談をお願いしました。

その時、 先生からかけていただいた、「お母さん、 こっちに丸投げしてください」という言葉は、 当時の私にとって、 救いそのものでした。「お母さんは仕事の時間になったら家を出てください。あとは私たちが本人と直接連絡を取ります。必要であれば、 本人が行けるところまで迎えに行きます」。
この言葉を口にすることが、 どれほどの覚悟と責任を伴うことか。でも、その覚悟を、 先生方は言葉だけでなく、 行動で示してくださいました。
その日から、 先生方はYと直接、 丁寧に、 そして根気強く向き合ってくださいました。日々の連絡や声かけはもちろん、 時には迎えにまで来てくださり、 決して諦めず、 見捨てず、 関わり続けてくださったことに、 今振り返っても感謝の気持ちでいっぱいです。
その関わりは、 親が無理に動かそうとするのではなく、 まるで横倒しになった重い木を、 根元からぐっと起こしてもらったような感覚でした。先生方が子どもを信じ、 受け止め続けてくださったからこそ、 子どもは少しずつ連日通えるようになったのだと思います。

そうしているうちに花メンで友達ができたことで、 花メンは 「行かなければならない場所」 から、 「行きたい場所」 へと変わっていきました。親が 「今日は行けるだろうか」 と毎朝案ずることがなくなり、 初めて 「この子は大丈夫かもしれない…」 と心から安心できるようになりました。親がどれだけ手を尽くしても、 どうすることもできないほど追い込まれていた子どもを引き上げてくださったことは、 私たちにとって花メンでしか経験できなかったことだと感じています。
ただ見守るだけでも、 背中を押すだけでもなく、 子どもが立ち上がれるところまで本気で引き受けてくださった先生方の存在こそが、 花メンの一番の強さだと思います。

現在は花メンの子どもたちの人数も増え、 当時と同じような個別対応が難しい場面もあるのかもしれません。それでも、 我が子のように、 そこまでしてもらわなければ動き出せない子どもが確かに存在します。 そして、 そうした子どもほど、 花メンの関わりによって初めて一歩を踏み出せるのだと、 親として実感しています。子どもだけでなく、 親の不安や迷いまでも受け止め、 伴走し続けてくださった先生方に、 心から感謝しています。
花メンに出会えたこと、 そして先生方に我が子を託せたことは、 我が家にとって何ものにも代えがたい支えとなりました。これからも、 今まさに苦しんでいる家庭や、 我が子と同じような状況にある子どもたちが、 花メンの力で再び立ち上がれることを、 心から願っています。

Episode4: 花メンに入って、たった2週間で娘が変わった! 【Oちゃん (6年生)】

5年生の初秋、花メンに入ることができた娘。たった2週間程度で変化が現れました。
入った当初は、在籍している小学校の支援級にも週1回、2時間だけ出席していたのですが、その支援級担当の先生から、「この短期間でものすごく明るさが出ましたね。一体、フリースクールでどんな事をしているのか、私たちが学びたいくらいです!」と言われました。支援級にいる時間は、通常学級にいる時よりはノビノビと過ごしていたはずですが、花メンで過ごす時間は、娘の潜在的にあった明るさを、もっともっと引き出してくれたと感じています。

自分の意見を言えるようになっていったことも、大きく変わった点だと思います。相手と意見が違っていても、自分の想いとして伝えて良いのだ、という事を花メンのお友達や、先生方との関わりによって教え導いていただいたと思っています。

花メンに入るまで、娘は「支援クラスだったらいいけれど、通常クラスの学校はいやだ。つまらない。行きたくない……」と言っていて、彼女の人生の時間を想うと、そんな想いまでして行く学校に、何の価値があるのだろう? と、日々、私の中でも自問自答でした。
けれど、花メンに通うようになった娘からは、「花メンは大好き! 楽しい! お友達とケンカすることもあるし、好きじゃないメニューもあるけれど、それでもやっぱり花メンは好き。」と言う言葉が聞けるようになりました。

Episode5: 先生方の「本気」に触れ、親子で前を向く覚悟がついた 【Kくん(4年生)】 

Kは、小学3年生の6月頃から登校が難しくなりました。
学校の門や相談室に行くだけでも精一杯で、「学校が怖い」という思いが強くなっていく姿を間近で見てきました。本来大好きだった工作教室や実験教室の扉をくぐることさえ難しくなり、何かに怯えるような我が子の様子を見て、親として本当に辛く、光が見えない日々を過ごしていました。

地元の学校のサポートを受けつつも、本人の特性を考えると「小学校の決まりごとの多い集団生活そのものが負担なのではないか」と考え、フリースクールを探し始めました。なかなか納得のいく場所が見つからない中、出会ったのが花メンでした。「メシが食える大人を育てる」「自分の責任で物事に取り組む」という理念、そして先生方の溢れるエネルギーに触れ、初めて「ここなら」と確信を持ち、学校の近くへ家族で引っ越すという大きな決断をしました。

しかし、入学当初は平坦な道ではありませんでした。「扉をくぐるのが怖い」「厳しいことも言われる」と、1年近く、毎朝泣いてすがりつく日々が続きました。後ろ髪を引かれる思いで子供を預け、夫婦で交代しながら必死に送り届ける毎日でした。
そんな苦しい時期、私たち家族の支えとなったのは、先生方の圧倒的な「陽のパワー」でした。
入口で泣き叫び、一歩が踏み出せない息子に対し、「大丈夫! 何が辛いのか言ってごらん。一緒に解決しよう!」と、その負の感情を丸ごと飲み込み、強引なまでのエネルギーで花メンの世界へと引き込んでくださる姿に、私たちはどれほど救われたかわかりません。
時には息子と涙を流しながら本音でぶつかり合い、また不安でいっぱいだった私たち親とも正面から向き合って面談を重ねてくださいました。
先生方の「本気」に触れる中で、家族全員が少しずつ前を向く勇気と覚悟をもらえた気がします。

活動中の写真に写る、親でさえ見たことがないような楽しそうな笑顔を信じて見守り続けた結果、5年生になる直前、息子は、「4月からは一人で通う」と宣言しました。その約束通り、新学期から一人で家を出て、逞しく胸を張って帰ってくる姿を見た時の驚きと安心感は、一生忘れられません。

かつての繊細で大人しい姿からは想像もできないほど、花メンの空気に染まっていく様子が印象的でした。先生の口癖を真似したり、花メンで仕入れた歌を口ずさんだりと、前向きではっちゃけた姿も見せるようになりました。 特にフリーマーケットで、自ら見知らぬ人にどんどん声をかけて営業をしている姿を見た時は、親の想像を遥かに超える成長に、眩しさを感じるほどでした。 

花メンでの日々を経て、子供は自分の足でしっかりと立ち、外の世界を楽しめるようになりました。先生方が本気で向き合ってくださったおかげで、今の姿があります。この素晴らしい環境で卒業を迎えられることを、誇りに思います。

Episode6: 朝起きられない、起きても学校に行けない… 【Mちゃん(5年生)】

娘は小学校4年生から行き渋りが始まり、5年生の2学期には朝起きられず、起きてもほぼ学校には行けない日々でした。元々は活発で、人と接することが大好きな性格なので、このままひきこもってしまってはよくないと思い、フリースクールを探し始めました。

花メンの面談日のことは今でも鮮明に覚えています。フロアに一歩お邪魔した瞬間から、ものすごく明るい雰囲気を肌で感じました。まず対応してくれた先生が、今日初めて会った娘に向かって「おー、M!」と下の名前で呼んでくれたことには、親子ともども嬉しい驚きを感じました。
その後の校長先生との面談の際も、同じ部屋のすぐ後ろに娘と他の生徒たちがいて、楽しそうにボードゲームをしていたのも目から鱗でした。娘は今、たまたま不登校なだけで、それは大した事でも隠す事でもないのだな、と教えてもらった気がします。
面談の帰り道、娘とカフェに寄りました。娘に印象を聞いたところ、「ここに通いたい!ずっと頭の中がモヤモヤしてたのが、今とてもすっきりしてる!」と嬉しそうに話しました。これまで一緒にフリースクールをいくつか見学してきた私も、全く同じ気持ちでした。

面談の翌々日から、娘は晴れて花メン生になりました。「水を得た魚」という表現はこの子のためにあるのではないだろうか思えるぐらい、初日から今日まで本当に毎日楽しく通学しています。帰宅しての第一声が「楽しかった~!」で、そのあとは「だれだれが◯◯した~」と、絶え間なくその日起きたことを話してくれます。花メンでは多岐にわたる活動が充実しており、各々が興味をもつところに集まる様子で、常に特定の決まったグループで行動するという環境ではないのも素敵だと思いました。
部活動も毎回同じではなく、いろいろと違う部を体験できるのも、娘にとっては知らない世界を知ることができてよかったと思います。

また、ディベートや発表など、意見を求められる機会がとにかく多い環境も、話すことが大好きな娘には楽しかったようです。不登校の頃を思い返すと、娘が発する言葉は愚痴や文句ばかりで、家族に当たることも多くありました。ちょっとしたことで機嫌を悪くして部屋にこもってしまう時間が多々ありました。
しかし、花メンに通いだしてからは、明るく、元気な、お調子者の、優しい娘が戻ってきました
また、ありがたいことに花メンでは外へ出て運動する活動も多く、毎日ほどよく疲れて帰ってきてくれます。「よく食べ、よく寝て、よく笑う」いう子供らしい生活が送れるようになったこと、毎日の元気な「行ってきます!」と「ただいま!」が聞けること、親としてこれ以上に幸せなことはないと、日々実感しています。

Episode7: 「自分だけの世界」から「現実世界」へと着地した【Hちゃん (4年生)】 

Hは少人数のフリースクールから花メンに転校しました。以前通っていたフリースクールでは、自分では何も決められないし、積極的に発言することもなく、準備や支度も最後になり、いつも周りに置いて行かれていたので、「待って」が口癖のような子でした。

花メンに通い始めて、面談で聞くHの様子は、まるで別の子の話を聞くようです。相変わらずマイペースではあるようですが、「朝の会で発言をしたいのに当てられず泣いた」といった話を聞くと、本当に誰の話? という思いです。
周りを見て自分がどう動くべきかを考えることもできるようになり、「自分はこうしたいんだ」が認識できるようにもなったようです。前のフリースクールのイベントに参加した際、スタッフの方に、「全然別人になった、どうしたらこうなるの?」と聞かれたくらいです。
「花メンでこんなことがあった…」といった話も自分からするようになりました(前のフリースクールでは全くしませんでした)。

幼少期から彼女は、意識はH独自の世界にずっと浸りっぱなしで、現実の世界には片足一本だけがかろうじて出ているような印象だったのですが、花メンに入ってからは現実世界にちゃんと体があって、片足はHワールドに残っている……といった印象に逆転しました。

Episode8: 花メンは目の前の一人の子(の表情)を見逃さない 【Yくん(6年生)】

『花メンの先生たちは、最高で最強な部活の顧問』。これが私の結論です。先生方は、子どもたち一人一人が成長できる大切な瞬間を見逃しません。チームづくりのプロフェッショナルだ、と感じるシーンが多々ありました。子どもたちとの信頼関係、先生同士の信頼関係ができているからこそ、個別の対応案件が発生した際にも、「ちょっとよろしく」と頼り合え、チーム全体としては前へ進んでいけるのだと思います。最高にGreatです‼

花メンの先生たちは、目の前にいる一人の子ども(の表情)を見逃しません。見逃した方が確実に楽だと思います。でも、見逃しません。私が「花メンの先生は、本当に教育者だ」と思う理由です。その姿勢が息子の心にも確実に響き、自分から心を開き始めるきっかけになっただろうと思っています。
かつて通っていた地域の小学校では、他の子どもたちへの対応ができなくなるという理由で、どうしても見て見ぬふりが起こりました。「Yくんはそこに、ただいるだけでいい(そうしていてもらうしかない)」といった対応をされることがよくありました。
時には、やっとの思いで家から学校まで連れ出したものの、「こういう状態で連れてこられても困る。今日はいったん帰って家で休んで、明日改めてでどうですか?」と、目の前の子どもに手を差し伸べてもらえないこともありました。大人ですら感じるわけですから、本人はもっと「(学校にとって、ぼくは)Welcomeじゃない」ことを感じ取っていたと思います。学校の門の前で1時間ほど、親子二人だけで出たり入ったりしながら揉めることもありました。藁をもすがる思いで立ち寄った保健室の前で、5分経っても10分経っても、誰にも話しかけてもらえないこともありました。

「どうせ、ぼくの気持ちは聞いてもらえないんだ。」「教室に連れていかれるって、初めっから決まってるんだ。」「(学校には)行きたいけど、行けない。」「教室がこわい。入ったらもう出られない。」「でも、学校には教室しか行く場所がない。」「だったらぼくは、どこに行けばいいの?」……。
2年生の二学期に本人が言っていたこれらの言葉を、今でもよく覚えています。
それでも結局4年生になるまで、我が家は「学校に行く」を目標にし続けてしまい、4年生の運動会直後からはいよいよ行けなくなりました。
今思うと、もっとはやく決断できればよかったと思います。でも、自身に経験のない「公立小学校に通わない」という選択をするには、想像以上の覚悟が要りました。

花メンに通って1年目、通学を渋る日もありました。突然、気持ちの歯車が合わなくなって、行き渋ったある朝、先生方と連絡を取りながら、「今日は休む」と自分の口で伝えに行くことを条件に、連れ出したことがありました。
花メンに着き、フロアのエレベーターの扉が開いた瞬間、目の前に(偶然?)ソウタ先生がいて、すぐさま本人の表情を捉えて駆け寄って来てくれました。まずは「ここまでよく来た!」「来なきゃ、話せないからさ」「ちょっと二人で話そう」と声をかけ、5秒も経たないうちに本人を教室(他の子たちとは別室)へと連れて行ってくれました。
またある時は、渋る本人とやっとの思いで(花メンがある)ビルにたどり着いた瞬間、ビルの前にまたこの時も(偶然?)ソウタ先生がいてくれて、ビルに入りたがらない本人と、「だったら(このまま)ここで話そう」と、真冬の屋外にも関わらず、道端で1時間以上も話し合ってくださいました。

Yは畑での校外学習が苦手だったため、畑での作業がある日には、「明日は学校(在籍校)に行きたいから、花メンは休む」と言い、欠席したがることもありました。その言葉を聞いた私が翌朝、「本日は在籍校へ行くため、お休みします」と連絡を入れると、すぐさま花メンの先生から返信がありました。
「それは逃げです。学校へ行ければいいってもんじゃない。苦手なことや嫌なことから逃げてしまうのは、本人の大きな課題です。それでは他人から信頼されません。本人自身のために、今からでも学校から(畑へ)連れてきてください」という内容でした。
私はハッとしました。同時に、心の底から恥ずかしさと嬉しさを感じました。その言葉は、本人にも心底響いたのだと思います。以来、一度も畑での校外学習を休まなくなりました。「大変だけど、行く」と言って行けるようになり、そこに強い意志を感じました。
Yはその頃から、大きく変わりはじめた印象があります。「やっと花メン生になれたのだ」と、我が家ではこの時期をそう捉えています。 

花メン入学前のはじめての面談の際は、私自身いろいろと不安になってしまっており、病院の診断書やWISCの数値、その分析結果などに縛られてしまっていました。そうしたデータを基に本人の状況をお伝えすると、林校長は、「僕たちは医者でもカウンセラーでもないから、データはあまり関係ないんです。とにかく目の前にいる彼に、教育のプロとして向き合いますので」と言われ、ハッとさせられました。同時に、「私はこれをずっと言ってもらいたかったんだ…」と、涙が出るほど嬉しかったことをよく覚えています。
「いつでも花メンはあるから。何かあったら、いや、何もなくても、来ればいるから」と言ってもらえたことは、親子にとっての一生の財産です。とにもかくにも、「すべては、花メンに出会うためだったんだね」「花メンで学べたことは、一生の宝物だね」と、今ではよく本人と話しています。
本当にありがとうございました。そして今後ともどうぞよろしくお願いします!

Episode9: 学校から「登校を控えるように」と指示を受けた息子 【Eくん(5年生)】

自分の思っていることを言葉で表現することが苦手だったEは、学校内で嫌なことがあると怒ること、暴れることしかできませんでした。次第にトラブルも増え、学校からは「登校を控えるように」という指示を受け、自宅で過ごすようになりました。
元々人が好きで、人の輪の中にいたい性格なので、自宅に一人ぼっちで過ごしていた時間はかなりつまらなく、寂しいものだったと思います。

花メンへ入学してからは、水を得た魚のように、みるみると表情が明るくなり、楽しかった出来事などを多く語るようになりました。Eが言っていた、「花メンにはいろんな意味でスゴイ奴がたくさんいる」という言葉が印象に残っています。
花メンでは自分たちが主導になったり、考えて行動することも多く、仲間の秀でている所を認める発言や、以前の自分のような子を見て自分を知る事も多くあったようです。
周りのお友達から色々な刺激を受け、振り返り、考え行動する事ができるようになってきたのは、花メンにいたからなのではないかと思える日々。
自己主張が強く他人気持ちを考えることが苦手だったEが、自然と他人の気持ちに寄り添い、自分の気持ちを言葉で表す事ができるようになってきたことが、一番大きな変化であるように思います。

Episode10: 「絶対行かない」と逃げていた子が、月曜日を楽しみに【Tくん(4年生)】

花メンに通い始めてからは、毎日の登校が本当に楽しみで、週末はあと何日で花メンに行ける、と指折り数え、「月曜日が楽しみなんて幸せだぁー♪」と、いつも幸せを噛み締めています! 私もとても嬉しく、とても幸せです! 
月曜日が楽しみになる学校が増え、花メンの子どもたちのように幸せな子供がたくさんになることを願っております⭐ 花メンに初めて行く前は、「絶対行かないからね」と逃げていましたが、半ば無理矢理連れて行ったところ、目を輝かせて、「ここに行きたい!!!」と言ったのがつい先日のようです。

それからは、面倒くさいことや行きたくないところへでも、「やらない後悔よりやる後悔!」「もしかしたら楽しいことがあるかもしれない」と言って、「行ってみよう!」と行動できるようになりました。
そして、花メンに通い始め、花メンの先生やお友達のポジティブな声かけや、思いやりに溢れた言葉に包まれた毎日を送っていることで、家でもポジティブな考えや言葉が自然と出てきて、本当に頼もしく成長を感じております。

それまで知らない人に話しかける姿を見たことがなかったのですが、街頭インタビューなどで知らない人に話しかけることに抵抗がなくなり、外出中に何か聞きたいことがある時は率先して自分でお店の人に聞いたり、電車等で座席を譲る際に声をかけたりすることが自然とできるようになり、花メンでの経験は本当にかけがえのない貴重なものでした。

そして、「今の自分に自信がある!」と自分で言えるほど自信が持てるようになったのは、花メンでの毎日の中で、先生や友達同志の間にポジティブな言葉が飛び交っていて、話し合ったりお互いを認め合ったりているからだと思います。
こんなにも変わるのかと驚くほど、勉強やスポーツ等、いろいろなことにチャレンジできるようになりました。また、うまくいかなかった時も気持ちを切り替えて、「次!」とできるようになり、本当に本当に成長しました。
たとえ行きたくない、やりたくない、という時があっても、以前は私も「あー、またか…」という負の感情になっていましたが、今は、「そうは言っても行くだろうな、やるだろうな」と息子のことをポジティブに見ていられるようになりました。私もたくさん成長させていただきました! 

今、気付きましたが、息子が「幸せだー!」と言うようになったのは花メンに入ってからです。そう言えば、Tの兄も最近、日常の些細なことについて、「幸せー」と言うようになりました! 
我が家にたくさんの笑いや成長、幸せを与えてくれた花メンに出会えて本当に幸せです!
花メンを見つけた自分をいつも褒めております!笑

Episode11: 1年前は「ここでダメなら終わる」と思い詰めていた【Nちゃん(3年生)】

本日、寝る前にNが、「4年生になるのが楽しみ」「明日は友達と会える!うれしいなー」「明日また新しい子が入ってくるのが楽しみ。楽しみすぎて眠れない。たぶん他の子も眠れない人多いはず」と、心底嬉しそうに言っていました。

ちょうど1年前の、花メン入学前夜からは想像できない変わりようで、感動しています。
1年前の今頃は私も、「これで花メンに定着できなかったら終わる……」と思っていて、いろいろ必死だったことを懐かしく思い出します(笑)。同時に、新しく入ってこられる子どもたちと、その親御さんの気持ちを想像すると、心からのエールを送りたいと思います。

N(と私たち親)がそうであったように、花メンで救われる人は多いと思うので、先生方もどうかお身体に気をつけて新年度をお過ごしください。「4月を、そして日曜日の夜を、月曜日の朝を、毎朝を、こんなに穏やかで前向きな気持ちで迎えることができるなんてね…」とよく本人とも話すのですが、毎晩寝る前に「花メンに出会えて本当によかった」と、本人は言っています。

また、自分の気持ちを外へ出すことに消極的だったNですが、花メンに通い始めてからというもの、話したいこと伝えたいことが次から次へと溢れてくるようで、たくさんの語彙を使って、自分の言葉でよく喋るようになりました。毎日毎日、本当にありがとうございます。

Episode12: 学級崩壊をきっかけに不登校に 【Nくん (4年生)】

公立小学校在籍時には、息子の学級は崩壊し、担任の先生は疲れきっていて、クラスメイトとのトラブルが起きても(警察が介入する万引きトラブルが起きても)、面倒なことからは全て逃げているような状況でした。このような状況下では大人を信じられなくなりますし(人間不信)、自己肯定感が下がると思い、公立小学校から離れることを決めました。

花メンに入学後、花メンの先生方がどんなに面倒なことからも逃げないので、Nは人間不信にならず、子ども時代を子どもらしく過ごすことができました。ありがとうございます!
公立小学校通学時は下駄箱まで送っていましたが、花メンに移ってからは一人で行ってくれます。
かつては片道たった5分の距離を一人で行けなかったのに、そして花メンは片道1時間20分かかる距離なのに、今は一人で通ってくれます。
「安心する場所であれば、遠くても自分の足で行けるようになるんだ!」とびっくりしました。

Nは、公立小学校とのミスマッチで行き渋りになっていたのではないか、と思います。何かに主体的に取り組むことはまだまだ苦手ですが、成長すればできるようになってくるはずだと信じ、その時を焦らずにゆっくり待っています。
小学2年生までは、行き渋りもなく学校に行っていました。3年生になって学級崩壊が起こり、担任は鬱病で休職。新たな担任とは合わず、同級生とトラブルになることも増えてきて、学校へ行き渋るようになりました。でも、真面目なのでものすごく無理して学校に行っていたし、私もそれをわかっていて、悩みながらも行かせていました。それでも月に1~2回、学校の門の前で泣いてしまい、どうしても学校に行けない時がありました。
当時は花メンの定員がいっぱいですぐには入れない状況でしたが、その後空きがでたと連絡をいただき、「花メンと今までの学校と、どちらか好きな方を選んでいいよ」と伝え、本人に決めさせました(それぞれのメリット、デメリットについては説明しました)。

花メンに入った後は、ソウタ先生がNを気にかけてくださったようで、「ソウタが『だーれだ?』って、後ろから目を手で隠してくるんだよ。しつこいんだけど、嬉しい」といった内容の話を何度も聞きました。ソウタ先生にはその後在籍校と揉めた際にも助けていただき、本当に親子共々感謝しています。Nもソウタ先生が自分を助けてくれたことを知っているので、「ソウタだけは何かあったら助けてあげるんだ!」と言っていました(笑)。

花メンに移って2日目の朝、笑顔で花メンに向かった時に、久しぶりにNの笑顔を見ることができました。花メンという学校をつくってくれて、本当にありがとうございます! 新しい学校をつくっていくのは、とてもとても大変なことだと思いますが、応援しております!

Episode13: 約1年4か月間不登校で、メンタルも不安定だった 【Aちゃん(5年生)】

花メンに入る前は、娘は約1年4か月にわたって不登校の状態でした。
メンタルも不安定で、家で荒れてしまうこともありました。そんな中、紆余曲折を経て、花メンに出会うことができました。渋る娘をなんとか連れ出して参加した花メンの個別相談では、ハヤト先生やマナ先生、そして同年代の子どもたちが何人も娘に話しかけてきてくれて、それが娘はとても嬉しかったようです。
帰り道では、「あそこのフリースクールに行ってみたい」と話すようになりました。そして、小4の11月に花メンに入学することができました。

その約3週間後には、林間学校にも参加しました。まだ入学して間もなかったこともあり、親の私の方がドキドキしておりましたが、帰ってきた娘の「楽しかった!」という言葉に心からホッとしたのを覚えています。入学後は、様々なお友達と関わる中で、悩むことも何度かありました。
娘は、もともと気持ちをためこみやすいところがあり、友達や先生に伝えたいことがあってもなかなか言い出せないタイプでした。友達関係に悩みが生じるたびに、先生方が話し合いの機会を設けてくださり、その積み重ねの中で、少しずつ自分の気持ちを言葉にできるようになっていったように思います。

今では「自分の気持ちはちゃんと言えるよ。大丈夫だよ」と話しております。これまで何度も丁寧に向き合ってくださった先生方のおかけだと心から感謝しております。
また、花メンに入ってからは笑顔が増え、色々なことに積極的にチャレンジする姿も見られるようになりました。そして、娘にとって学校が「楽しい場所」になったことを、とてもうれしく思っています。
お休みした日には、「早く花メンに行きたいな」と言うほどです。入学当初は、ここまで変わるとは想像していませんでした。花メンに入学でき、素敵な先生方やたくさんのお友達に出会えたことを、本当にありがたく思っています。先生方には心より深く感謝申し上げます。

Episode14: 「腐った魚の目」をした息子を見て抱いた強い危機感 【Mくん(6年生)】

花メンに入学する前の息子は、毎日「つまんない」を連発し、新しいことや初めてのことには強い苦手意識があり、自分から一歩を踏み出すことがなかなかできない子でした。興味のないことには気持ちが向かず、小学校への登校も、気持ちが向かないことの一つでした。 

ある日、学校へ息子の様子を見に行くと、まったく生気の感じられない“腐った魚の目”をした息子がいました。それまでは「何とかして学校に行かせなければ…」と考え、半ば無理に登校させていましたが、その姿を目にした瞬間、「このままでは息子が壊れてしまうかもしれない…」と強い危機感を抱きました。
そんな中でご縁をいただき、花メンに通うことになりました。通い始めてから、少しずつ変化が見られるようになりました。最初は戸惑いながらも、様々な活動や経験を重ねる中で、「やってみようかな…」と自分から言うことが増えていきました。

今では興味がある・ないに関わらず、「とにかく一度やってみる」と前向きに挑戦する姿勢を見せてくれています。その変化は、親にとって本当に大きなものでした。 
誰かに言われて動くのではなく、自分で考え、自分で選び、行動する力が確実に育ってきました。 
また、Mは家では末っ子ということもあり、これまでは年上のお兄さんお姉さんに混ざって遊ぶことが多かった子でした。ところが、花メンの先生からは、「Mは学校のお兄ちゃんのような存在で年齢関係なく仲間をつくっています! 特に低学年から人気で毎日楽しそうに過ごしています! 花メンでは小さい子の面倒をよく見ていますよ!」とのご報告を受け、驚きとともに大きな成長を感じ、胸が熱くなりました。 

何より嬉しかったのは、Mの目の輝きが戻ってきたことです。曇っていた眼は光を取り戻し、生気が満ち溢れ、表情が明るくなり、自信を持って行動する姿を見るたびに、花メンでの経験が心を育ててくれたのだと実感しています。 
花メンでの時間は、わが子にとって「できるかどうか」と迷うのではなく、「やってみよう」と思える力を育ててくれました。それはこれから先、どんな環境に進んでも必ず支えになる、生きる力だと思います。 花メンに出会えたこと、花メンで過ごした時間、そして花メンの仲間、先生、その全てが息子の人生にとってかけがえのない宝物になりました! 心から感謝いたします。


こうした保護者の感想から浮かび上がるのは、学校に通えていなくても確かに育っている子どもたちが存在し、そうした学びを保障する場所も確かに生まれている、という事実です。
こうした事実を前にすると、「不登校の子を通常の教育課程に戻すこと」だけがゴールであるかのような発想には無理があると感じます。

次期学習指導要領はシームレスな二階建て

2025年4月、学習指導要領改訂に向けた資料の一環として、下記の「柔軟な教育課程編成の促進」が公表されました。

「柔軟な教育課程編成の促進」の概念図。

次期学習指導要領で示されている方向性は、子どもの状態や学びの進み方に応じて、上図の「1階」と「2階」を行き来しやすい柔軟な構造を想定しています。とりわけ「2階」にあたる部分では、多様な背景やニーズを持つ子どもを学校内だけで抱え込むのではなく、校内外の教育機関と連携しながら支えていく仕組みづくりが検討されています。

子どもの学びをどう保障するか――「チーム大人」という視点

筆者は、生徒数100名を超えるの都内最大級のフリースクール「花メン」を、数年間にわたり密着取材してきました。
いわば“不登校の定点観測”です。そこで見えてきたのは、不登校の子どもに対する扱いが、学校によってじつに様々であるという現実でした。

まるでその子がいないかのように扱う学校もあれば、今は教室にいなくても「担任している子どもの育ち」として高い関心を持ち続ける学校もある‥‥‥。同じ制度の下にあっても、教員の「まなざし」は大きく異なります。

学校とフリースクールは、対立構造で語られるものではありません。問うべきはただ一点、全ての子どもの学びをどう保障するか」。その一点に立ち返り、学校とフリースクールとがどのように連携できるのか――その具体的な方法論について検討する時期に来ているのではないでしょうか。

不登校の子どもを支える保護者は、孤立しがちです。その姿に光を当てることもまた、学びの保障の一部だと私は考えます。子どもを中心に、学校、外部機関、そして家庭がゆるやかにつながる…。「チーム大人」として、私たちは何ができるのか。その問いを抱えながら、これからも取材を続けていきます。

取材・執筆/楢戸ひかる

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