低学年版【自分への思いやりを育む授業】~あなたはあなたのままで【ストレスフリーの教室をめざして #44】

前回の記事では、自分への思いやりを向ける力を育む授業について、「総論」をお伝えしました。今回の記事は「低学年編」として、小学校1・2年生を対象とした具体的な授業の展開例についてまとめました。自分自身に対する思いやりの心「セルフ・コンパッション」を育むことは、発達著しい小学生にとって、とても大切な要素と言えます。ぜひ皆さんも、日々の指導の中で意識してください。
執筆/埼玉県公立小学校教諭・春日智稀
目次
ちょっと復習~自分への思いやり「セルフ・コンパッション」~
自分への思いやりは「セルフ・コンパッション」と呼ばれています。研究によれば、セルフ・コンパッションには次の3つの要素があるといわれています。
①自分へのやさしさ:自分をいたわる言葉を自分自身にかけること
②共通の人間性:苦しい思いをしているのは自分だけではないととらえること
③マインドフルネス:今の自分の気持ちに気づき、そのまま受け止めること
関連する研究では、セルフ・コンパッションの高まりは学習への内的動機づけを高めたり、現実をあるがままに受け入れやすくなったりする傾向があることが分かっています。つまり、自分への思いやりを向ける力を育むことは、子どもの学校生活への適応を促進する可能性があると言えるでしょう。
これらのことを踏まえこの授業では、全学年において、
①自分をいたわる力
②苦しい思いを共有する力
③ありのままを受け入れる力
の3つの力を育むことを共通のねらいとします。
低学年では、「自分の気持ちに気づき、言葉にする力」を育む
低学年の子どもは、うまくいかない出来事が起きたときに、気持ちを言葉で整理するのがまだ難しい段階にあります。悔しさや恥ずかしさ、悲しさの気持ちが「泣く」「怒る」「黙る」「ふざける」などといった行動で表れやすく、本人も「自分がどうしたいのか」が分からないまま苦しくなることがあります。
そこで低学年の授業では、「自分の気持ちに気づき、言葉にする力」を特に大切にします。そもそも低学年の子どもはまだ語彙が少なく、ましてや今の自分の気持ちがなんという言葉で表現すればよいのかが分からない場合も多くあるでしょう。ですから、まずは気持ちを表す言葉を覚えていきます。
