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「パターン課題」で既習を確認しつつ、「ギャップ課題」を考えていく【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #61】

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全国優秀教師にインタビュー! 中学校編 中1〜中3を見通す! 「高校につながる英・数・国」の授業づくり
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今回からは、全国学力・学習状況調査で毎年、良好な結果を示し続けている、東京都中学校国語教育研究会より、研究をリードする1人としてご推挙いただいた、世田谷区立八幡中学校の栃木昌晃教諭の単元・授業実践例と、その背景となる教育観や授業づくりの考え方について、お話を伺っていきます。

初回の今回は、1年生の説明的文章「『言葉』をもつ鳥、シジュウカラ」の単元を紹介していただきます。

東京都世田谷区八幡小学校
栃木昌晃 教諭
東京都世田谷区立八幡中学校
栃木昌晃 教諭

これまで学んできたこと、この単元で学ぶことは何かを実感させる

1年生の国語では、説明的文章に関する単元が4つあり、「『言葉』をもつ鳥、シジュウカラ」の前に学習する5月中の2つの単元では、主に小学校での学習のふり返りを行いつつ、「文章の中心を探す」「段落の役割について考える」「要旨をまとめる」「段落の役割について考え、これまでの文章と比較して特徴をつかむ」という新たな課題(内容)に取り組んだと語る栃木教諭(資料1参照)。そうした、学びの先にあるのがこの単元で、「文章構成について考える」「比較して特徴をつかむ」という既習を確認(そのための課題を栃木教諭の学級では「パターン課題」と呼ぶ)しつつ、「『構成』と『展開』の特徴(記録文の特徴)について考える」「筆者のねらいについて根拠をもって考える」という新たな課題(「ギャップ課題」と呼ぶ)について考えていったと言います。

資料1

1年生の説明的文章の単元と学習内容等。
1年生の説明的文章の単元と学習内容等

「学習を進めていく上では、これまで学んできたことは何か、この単元で学ぶ(学んだ)ことは何かを、1年生のうちから実感させていくことが大事だと思います。そのため私の授業では、既習やその単元を通して学んだことや気付いたことを子供たち自身に言語化させ、『読みのものさし(読みの方略に近いもの)』として、整理をさせています。

その『読みのものさし』を使って解決できる既習事項に関する課題を『パターン課題』と呼んでいるのですが、生徒が自身の必要感に応じて、『読みのものさし』を活用しつつ、文種を確認したり、文章全体の構成を捉えたりしていくのが、1/4時の学習の中心です。その上で生徒の気付きを基に、単元の目標を確認していきます(資料2参照)。

これまで生徒たちは、どういうふうに書かれているか(『段落の役割』や『文章構成』など)について学んできたことは知っています。この授業の1時間目は、筆者はなぜそのようにしたのかという『意図』や、筆者が『意図』した『効果』について考えていくことを整理・整頓していくというイメージです。そのために、既習の文章と比較しながら考えていきます」

ちなみに実際の授業の中では、「今日から何を学習するんだっけ?」「最初に先生が聞くのは何?」と子供たちに投げかけ、「文種です」と答えると、「じゃあ、文種って何か隣同士で説明し合ってごらん」と、進めていくと栃木教諭。学習過程が子供の中に定着し、指示がなくても先へ先へと考えていけるように育てる意図があるようです。

資料2

「『言葉』をもつ鳥、シジュウカラ」の単元計画。
「『言葉』をもつ鳥、シジュウカラ」の単元計画

「2/4時間目は『展開』について気付かせていくところです。どういう順番で、どういう流れで書かれているかということの違いを見ていくのが2/4時の学習の中心で、それが『展開』ということを学習していきます。

生徒たちは今までと同じような読み方をしていると、『主張がそんなに強くない』『言いたいことが最後にない』と違和感をもちます。既習の文章の多くは、結論が明確にあってそれを支える具体例が述べられていました。それに比べると、この説明的文章は仮説+実験結果、仮説+実験結果、仮説+実験結果がずっと続きます。そのため生徒たちによると、極論をすれば、既習の文章は例1、例2、例3の順番が変わっても問題なく結論につながる文章が多くあったけど、『この文章では例が矢印でつながっている(仮説と実験結果の流れが連続していて、その流れ全体に意味がある)』というような表現をしていました。

そのような『展開』の特徴について2/4〜3/4時に考えたら、さらにその『展開』の『効果』について考えていくのが、3/4〜4/4時です。『効果』は受け手側が感じるもので、書き手側が意図するものはあくまで『効果』をねらった『工夫』であるということを確認した上で、筆者はどのような『ねらい・意図』があって、このような『工夫』をして文章を書いたのかということについて考えていきます。

これについては、筆者の真意は筆者以外には分からないわけですから、正解不正解はなく、『私はこう感じた。それはこういう意図があるのではないか』と書ければよいわけです。これは『読むこと』の学習でもあるわけですが、生徒たちが別の場面で自分が文章を書く場合に、明確な『ねらい』をもち、『効果』を考えながら『展開』を考えていけるようにと撒いた『タネ』のようなものでもあります」

学習の最後には、「読みのものさし」を更新していく

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