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個を生かす集団学習・集団活動の指導【やき先生のとっておき学級経営の実践ノート】⑨

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やき先生のとっておき学級経営の実践ノート
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やき先生のとっておき学級活動の基礎・基本
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宮川八岐

宮川八岐・元文部科学省視学官による人気の連載「やき先生のとっておき学級経営の実践ノート」です。今回のテーマは、「個を生かす集団学習・集団活動の指導」。先生方は、授業展開において一斉学習、個別学習、小集団学習などをどのように仕組んで、どのように個を生かす授業をされていますか。「個を生かす集団学習」「集団の教育力を生かして児童を育てる」などのアイデアについて紹介していただきます。

執筆/元文部科学省視学官・宮川八岐

やき先生実践ノートバナー

問われる授業力・学級経営力!

学校は、基本的に「集団学習」が行われるところです。1人で考えたり、挙手をして自分の考えや思いなどを発表したり、与えられた問題に取り組んで自ら解決したりもしますが、学級の他の児童の考えも聞いたり、話し合ったり、協力し合ったりして学習活動に取り組むのが一般的な形です。特に、特別活動は集団活動であり、「1人で……」ということはありませんので、集団学習の典型と言ってもいいでしょう。

いずれにしても、学級集団の規模の大小に関わらず授業形態は集団学習です。そこで問題になるのは、授業展開において一斉学習、個別学習、小集団学習をどのように仕組んで、どのように個を生かす授業が行われているかということです。

今回は、教科学習や集団活動および生活指導などの教育活動を進めるに当たって、「個を生かす集団学習」「集団の教育力を生かして児童を育てる」ことの学級担任の授業力や学級経営力について、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。

めあてカードに記入イラスト

「個」と「集団」を生かす授業づくり

「個」と「集団」を生かす授業づくりを考えていきましょう。

「個」を生かす集団学習

今日もなお、一斉授業の問題として「教師から児童への一方通行の教え込みの授業スタイル」が取り沙汰されることがあります。しかし、我が国の先生方は、授業研究会をして授業力の向上に努めるという教育文化をもっていると言われています。教材研究、発問や話合いの指導などの展開について共同研究をしています。
 
学習指導要領の根本課題とも言うべき「個を生かす集団学習」で児童を育てる授業実践、授業力は、確実に進んでいると思います。

学びを深め広げる「個」と「集団」を生かす授業

学びを深め、広げる

教師の説明、発問、指示で進められる一斉授業では、ア、学習者は受け身の学習に。イ、「分かる、分からない」「できる、できない」の教師の評価が中心の授業に。ウ、学習に積極的な者と消極的な者に分離・固定化が。エ、児童間に競争的関係が生まれ、社会的態度を育む上で重要な受容的雰囲気が生まれにくい。と言われてきました。

これでは、教授法としては、効率的ではあっても、児童相互の個性的な経験や発想などを取り入れた拡散的思考を生かした授業はできません。つまり、深めたり、広げたりする学習活動ができないのです。

「個」と「集団」を生かす授業力

歴史的に見れば、寺子屋式の個人指導から集団指導への方向の過程で、一斉授業の問題点を改善する様々な試みが生まれ、また、淘汰されてきました。

それらは、「個別化」の方向と「集団化(社会化)」の方向で分かれるわけですが、個別化は、児童一人一人の学力や興味・関心の違いを認め、集団化は、児童間の学び合いを生かそうとする指導法です。今日では、学習場面で個別化と集団化の組み合わせで、学びを豊かにする実践研究が行われており、集団化も、「ペア」「小集団」の編成も多様にして、「個を生かす指導」と「集団の教育力を生かす指導」を工夫する学習指導や学級経営が求められています。

授業事例に学ぶー「SNSの正しい使い方」の授業の考察


教師の「発問」から授業が始まるというのが一般的です。その後の展開については教師によってそれぞれの形をつくっているでしょう。しかし、いずれにおいても「教師と児童、児童同士の話合いで授業は展開される」というのが基本になるでしょう。

ここで「SNSの正しい使い方」の授業における「話合い」で、「個」と「集団」の生かし方について考えてみましょう。

学級活動(2)の題材「SNSの上手な使い方」の授業展開の概要

1「アンケートの結果」について話し合う

円グラフ

何のグラフかな?

SNSを使ったことがあるかの結果です。

多いほうのAが「使ったことがある」だと思います。

「使ったことがない」という人もいる……。

どうしてこんなに多くの人が使っているのでしょう。

便利だからです。

楽しいし、多くの情報が得られるからです。

ところが、実はトラブルも多いんです!

(以下略)

→(個を生かす話合いーA)「挙手児童を指名」と「意図的指名」を!

【授業展開のポイント】
この段階では、グラフを提示して、気付いたことを挙手児童か意図的指名で発言させ、関連した意見をつなげるなどします。実際の授業では、以下のタイプが見られます。

① グラフを示し、自由に気付いたことをつぶやかせ、児童の反応を見るタイプ。
② 挙手をした児童に指名して発言させるタイプ。                    
③ 意図的指名のタイプ。          
④ すぐにペアや班で相談させて発表させるタイプ。

2「どんなトラブルがあるか」について話し合う

どんなトラブルがあるかについてグループで話し合ってみましょう。

〇ラミネート短冊を各グループに2~3枚配付。
〇短時間で進める。

話合いの写真


→(個を生かす話合いーB)「小グループ(班)」の話合いを!

〇書けたところから黒板に貼る。
〇出し終わったところで「分類」する。
※学級(人数)によっては、「ペアの話合い」も行う。

【授業展開のポイント】
① 班によって短冊がさらに必要になった場合は、取りに来るように指示をしておく。   
② 短冊には、要点をコンパクトに書かせる。分類にあたっては、類似のものは重ねるなどして整理し、そろったところで班ごとに説明させる。        
③ 児童の考えのみにせず、教師から資料などで情報を提示すること。

3「トラブルを解決する方法」について話し合う

いろいろなトラブルは、「言葉」「マナー」「学習」「生活」に分類できました。それぞれについて解決策を考えましょう。

〇「言葉づかいで人間関係が、良くも悪くも」
〇「相手の時間、都合などを……」
〇「約束を決めて」「親や教師と相談を……」
※「課題ごとの問題や解決策」について話し合う。

トラブル原因をさぐるキーワード
分類したキーワードの下にトラブルの短冊を並べて、その下に解決策の意見を列挙する。

→(個を生かす話合いーC)「意図的指名、班、学級全体で意見交流」を!

【授業展開のポイント】
①この授業は、学級活動(2)「イよりよい人間関係の形成」に関わる今日的課題に対応する指導であり、「言葉」や「マナー」などが不登校やいじめの要因にもなることなどの問題点について深く考え合うようにする。
② 家でのSNSの使用が長時間になることで、「生活」「学習」「睡眠」などに大きな影響を及ぼすことを具体例(資料提示など)で押さえる。
経験の発表、教師からの具体例の紹介などを通した「解決策についての話合い」に十分な時間をとる。
④ 上記②③の話合いについては、教師からの意図的指名、ときに小グループ(班)の話合い、それらに関する学級全体での意見交流を組み合わせるなどして個を生かし、集団による話合いのよさを生かす授業となるよう工夫する。

4 個人目標を自己決定する

これから自分が特に気を付けなければならないことを決めましょう。
(個人目標の自己決定)

〇「めあてカード」に自分なりのめあてを記入する。
〇机間指導をして、具体的かどうかを見て、「言葉がけ」をする。
〇授業終了前に3~4人に発表させる。
(意図的指名など)

めあてカードに記入

→(個を生かす話合いーD)「意図的指名」を!

【授業展開のポイント】
①「めあてカード」には、児童の1週間の実行の<自己評価>欄を設け、実施後に提出させるが、そのカードには「児童の総括的評価」と「保護者の言葉」を書く欄も設けておくようにする。
②「めあてカード」に個人目標を書き終わった段階で、3~4名の児童に発表させる。
③「めあて」は、家で保護者と話し合って修正したり、加えたりしてよいことを伝える。
④ 学級担任は、実施状況のまとめを「学級だより」に掲載、家庭での協力もお願いする。

「班」の編成と生かし方

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