プロが伝授! 失敗しない保護者との電話応対テクニック~「上手な話し方編」~
電話応対のプロが、保護者との信頼関係を構築する電話テクニックを紹介する連載の第三弾。今回は保護者に好印象を与える話し方と、電話をかけるときに役立つ「相手に伝わりやすい説明話法」を解説します。
監修者:佐藤万里(サート企業株式会社 代表取締役 )

目次
「話し方」の基本&好印象を与えるテクニック
電話は「声」と「話し方」が重要
電話は顔が見えないため、話をする際には「声」と「話し方」が非常に重要です。
「声」と「話し方」に注意を払わず、相手の印象を悪くしてしまうと、話がこじれてしまったり、相手を怒らせてしまったりすることもあります。電話で話がこじれたり、相手を怒らせてしまったりすると、そのフォローには大変な労力を必要とします。電話応対をできるだけ効率化するためにも、ぜひ上手な話し方を身に付けたいものです。
電話で話す際の基本は、ゆっくり、はっきり、明るく、笑声(えごえ)で話すことです。笑声とは、笑顔のような優しく感じの良い声のことです。
「声」にも表情があります。自分がどのような表情の声で話をしているか、想像しながら話すことは実はとても大切なことなのです。
笑声をつくる3つの条件
笑声をつくるためには、3つの条件があります。
まずは、自分自身が「健康」でいることです。そして2番目には「ゆとり」をもつこと、そして3番目が相手に「思いやり」をもつことです。
忙しいときにはどうしても心に「ゆとり」がなくなってしまい、「思いやり」をもつことも難しいことがあるでしょう。しかし、顔の見えない電話の相手に、その「忙しさ」は理解できません。忙しさを悟ってもらおうと余裕のない話し方をしてしまうと、感じの悪さだけが伝わってしまいます。そしてクレームに繋がってしまう確率も高くなります。
つまり、無理やりにでも、感じのよい話し方=笑声をつくることは、巡り巡って自分のためになるのです。そしてその逆もしかりなのです。
ちょっといまは余裕がないなと思っても、自分の「健康状態」を確認し、「ゆとり」と「思いやり」をもって話そうと意識するだけで、結果は大きく異なります。慣れないうちは、電話で相手に顔が見えない状態でも、必ず口角を上げて笑顔で話すことを心がけるとよいでしょう。無駄な仕事を増やさないためにも、ぜひこの笑声を身に付けていただきたいものです。
声の好印象を与えるには抑揚とトーンがポイント
声の表現力を身に付けると、更に相手に好印象を与えることができます。
その人の声を聴いているだけで心が落ち着いてくる、安心する、信頼感が増してくる…。そのような話し方をする方がいらっしゃると思います。その人は、声の表情が豊かな人なのです。
例えば、声に表情がない人は、つい一本調子で話しがちです。自分の気持ちや相手への共感が伝わるよう、声に抑揚を付けてゆっくりと話すことが大切です。
そして大事な言葉は、少し高く話すのがポイントです。大きな声で話すことがよいと考えている方もいますが、声が大きいだけではダメなのです。落ち着いた声で、時折声のトーンを変えながら抑揚を付けて話すことを意識しましょう。 自分では相手のことを思い親身になって話をしているのに誤解されてしまう。なぜか相手を不安にさせ怒らせてしまう、という人は、声の表現力を磨くために、ご自身が電話で話す様子をボイスレコーダーなどで録音し、話し方を確認してみるとよいでしょう。
電話で大事な話をするときの注意点
否定的な言葉を使わない。適切な言い換え術を覚える
電話で円滑なコミュニケーションを図るためには、言葉選びも重要な要素となります。。
とくにできるだけ否定的な言葉は使わないようにしたいものです。対面の場合は、勢いで否定的な言葉を使ってしまっても、相手の反応を見てすぐにフォローすることができます。しかし、電話では相手の反応がわかりづらいため、注意が必要なのです。
ネガティブなことを伝える場合には、肯定的な言葉に言い換えて話すとコミュニケーションがより建設的なものとなります。
<言い換えフレーズ>
・「いろいろと課題があります」→「もっと改善できることがあります」
・「最近お休みが多いようですね」→「最近お休みが続きますね、なにかご心配なことはありますか?」
・「最近落ち着いて学習できないようです」→「最近好奇心旺盛で授業中も行動しています」
・「この頃ぼーっとしていることが多いです」→「創造力豊かで、考えていることが多いです」
・「毎日眠そうなのですが、何時に寝ていますか?」→「元気に遊ぶより、体を休めていることが多いですが、何かありましたか?」
保護者に電話をかけるときに役立つ「説明話法」
「伝えた」と「伝わった」には大きな違いがある
学校から保護者へ電話をかける際に役立つのが「説明話法」です。
よく「自分の言いたいことが相手に伝わらない」という相談を受けることがあります。
「伝えた」のと「伝わった」のでは大きな違いがあります。自分では伝えているつもりでも、相手が「伝わった」と感じない限り、伝えたことにはならないのです。
相手に伝わりやすい説明をするためには、話の組み立てが重要になります。
そのテクニックの一つが「1件(件名)・2結(結論)・3詳(詳細)」と呼ばれる説明話法です。
1:件名
まず最初に、これから話そうと考えているテーマ(件名)を伝え、相手に話を聞く準備をしてもらいます。もしテーマが複数ある場合は、「ご相談したいことが2件あります」など、はじめに数を伝えてもよいでしょう。
2:結論
次に、結論を簡潔にお伝えします。話のゴールを先に伝えることでこちらが言いたいことが明確になり、相手も結論を把握できるため「結局何のための電話だったのか?」「何が言いたかったの?」という疑問を抱かせてしまう心配がなくなります。
3:詳細
その後、結論に至った理由や背景、具体例を伝え、理解を深めてもらいます。
詳細の内容が複雑なときや長い場合には最後にもう一度結論を伝えるとよいでしょう。
但し、感情が伴うことを説明する場合や、認識の違いを説明するときには、結論よりも詳細を先に伝えたほうが効果的に伝わるケースもあります。 例えば、学校のルールを伝える際、相手と認識が違う場合に「それはできません」などと結論を先に伝えてしまうと、反感をもたれてしまい、そこから先の詳細を聞いてもらえないことがあります。「なぜできないのか」「もしOKにしてしまうとどのようなリスクが生じる可能性があるのか」といった理由や、「以前にもこんなトラブルがあった」などといった具体例を伝えてから結論を伝えるとよいでしょう。

監修者:佐藤万里(サート企業株式会社 代表取締役 )
NTT入社、横浜のコールセンターに配属。
その後、秘書業務に従事。社内の研修部門に配属になりインストラクターとなる。
社内のコールセンター(番号案内、故障部門、116)営業、法人、料金、など社内の全部門の研修に携わる。各企業や官公庁、ホテル、病院、学校などの研修も担当。2010 年サート企業株式会社取締役研修事業部長を経て、現在は、代表取締役社長。
もしもし検定、ビジネスマナー研修、CS 研修、リーダー研修、コミュニケーション研修やクレーム、ハラスメント研修など企業の要望を取り入れ、ロールプレイング中心の研修を実施。30 年以上の研修経験を持つ。電話応対コンクールでは、地区や県大会、全国大会、企業応対コンテストの審査員を務める。
(公財)日本電信電話ユーザ協会の契約講師。電話応対技能検定指導者級を取得。
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取材・構成・文/出浦文絵
