小５家庭科 「あなたは家庭や地域の宝物」

今回は、「あなたは家庭や地域の宝物」の授業実践を紹介します。近隣の幼稚園、保育園の幼児との関わりについて課題を設定し、解決方法を工夫して実践することを目指します。また、実践を通して学習したことを家庭や学校生活で生かそうとする態度を養うことを目指します。

執筆／東京都公立小学校主任教諭・福岡聡子
編集委員／東京都公立小学校校長・飯島典子
監修／元文部科学省教科調査官・筒井恭子

年間掲載内容

１　題材名

あなたは家庭や地域の宝物

２　題材について

本題材は「A家族・家庭生活」の(3)「家族や地域の人々との関わり」のア(イ)、イを扱います。家庭生活が地域の人々との関わりをもちながら成り立っていることが分かり、幼児や高齢者など異なる世代の人々との関わりや地域の人々との協力が大切であることを理解できるようにします。ここでは近隣の幼稚園、保育園の幼児とのよりよい関わりについて問題を見いだし、課題を設定し、解決するための方法を工夫します。また、幼児と関わることで、自分の成長に気付き、学習したことを家庭や学校生活の中で生かそうとする実践的な態度を養います。

本題材は３学期に行う総合的な学習の時間の単元「よりよい学校になるために」と関連付けています。家庭科においては、幼児との関わりについて計画や実践の振り返りを扱います。総合的な学習の時間では、実践を行います。

第５学年の幼児との関わりの学習をもとに、次年度第６学年の３学期には、同題材名「地域との関わり」で高齢者との関わりについて学びます。このように、異なる世代の人々との関わりに視野を広げることができるよう、第５学年から第６学年の２学年間にわたってストーリーをもった内容を設定しています。

３　題材の目標

〇家庭生活が、地域の人々との関わりで成り立っていることが分かり、地域とその人々との協力が大切であることを理解する。

〇地域の人々（幼児）とのよりよい関わりについて問題を見いだして課題を設定し、様々な解決方法を考え、実践を評価・改善し、考えたことを表現するなどして課題を解決する力を身に付ける。

〇家族の一員として、生活をよりよくしようと、地域の人々（幼児）との関わりについて、課題の解決に向けて主体的に取り組んだり、振り返って改善したりして、生活を工夫し、実践しようとする。

４　題材の評価規準

●知識・技能
家庭生活が、地域の人々との関わりで成り立っていることが分かり、地域とその人々との協力が大切であることを理解している。
●思考・判断・表現
地域の人々（幼児）とのよりよい関わりについて問題を見いだして課題を設定し、様々な解決方法を考え、実践を評価・改善し、考えたことを表現するなどして課題を解決する力を身に付けている。
●主体的に学習に取り組む態度
家族の一員として、生活をよりよくしようと、地域の人々（幼児）との関わりについて、課題の解決に向けて主体的に取り組んだり、振り返って改善したりして、生活を工夫し、実践しようとしている。

５　指導のアイデア

〇総合的な学習の時間との関連を図る指導の工夫

本題材は、幼児との関わりについての計画及び実践の振り返りを家庭科として３時間、交流会の準備及び実践などを総合的な学習の時間で行います。この教科等横断的な学びは、授業時間数を確保しながら、双方のねらいを達成し、子供たちの学びを深めることにつながります。また、振り返りには１人１台端末を用いて、家庭科の学びの記録を総合的な学習の時間の活動にも生かしていけるようにしています。
　
〇地域の幼稚園・保育園との連携を図る指導の工夫

日頃から大切にしている幼稚園、保育園、小学校、中学校との連携教育の一環として近隣幼稚園、保育園の幼児と交流ができるようにしています。子供が近隣の幼稚園、保育園の存在を知り、幼児と実際に関わることは、地域に目を向けるきっかけとなります。交流の時間をよりよい活動にするために、事前に幼稚園教諭や保育士との打ち合わせを行い、教材づくりに協力を得ることが大切です。

〇視覚的な資料の活用

事前に幼稚園教諭に、小学校で楽しみなことや不安などについての幼児へのインタビュー動画の作成をお願いします。また、日常の幼稚園の様子を写真撮影し、幼児との関わりを考える際の資料の作成をします。動画や写真を見せることで、年長児の様子をより想像しやすくし、幼児との関わりについて考える手立てとします。次年度、年長児が小学校に入学し、５年は新６年となります。その際に、幼児との関わりについて学習したことが、「よりよい小学校生活を一緒につくり上げていく」という意識をもつ機会となるようにします。

６　題材の指導計画（全３時間）

７　学習の流れと子供の様子