【中1・国語「説明文の読解」】他者参照の重要性を知り、自分なりの課題を仕上げる〈デジタル×深い学び〉
「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実をめざし、「自由進度学習」を取り入れた授業づくりに取り組む板橋区立志村第一中学校。今回は第10回に引き続き、小島一樹教諭による、1年生国語科の授業をレポートします。

この記事は、連続企画『「デジタル×深い学び」の授業デザインReport』の29回目です。記事一覧はこちら

板橋区立志村第一中学校
教育内容の特色の一つに「ICT社会を生き抜く総合的な学力育成」がある。令和2年度より、板橋区による保幼小接続・小中一貫教育を実践している。
目次
授業のはじめに2つの課題を提示
本時は、説明文「『みんなでいるから大丈夫』の怖さ」(山村武彦)を題材とした読解の授業。この文章は、学生寮で予告なく火災報知器を鳴らした際に学生たちがどのような行動をとるかという実験をもとに、集団でいることで緊急行動が遅れてしまう「集団同調性バイアス」の危険性を説くもの。小島先生は「赤信号みんなで渡れば怖くない」や「テスト前に“みんなも勉強してない”と分かると安心する」といった身近な例を出し、「集団同調性バイアス」の怖さをイメージさせます。

本文音読後、小島先生が生徒に示した課題は2つ。1つ目は「精密読解」で、この実験を描写した24の文章を、スライド上に時系列に並べていくというもの。「5時半」や「30秒後」「3分後」といった表現に注目しながら、実験の流れや学生の行動を正確に読み取ることが目標です。
文章に「時間」や「分」が書いてあるものもあれば、「しばらくして」というように、はっきり時間が示されていない表現もあります。最後の方には「実験を集計すると以下の通りだった。」という記述もあって、ここから先は時系列が入れ替わっているなど少しトリッキーなので、頑張って読み取ってみてくださいね。
2つ目の課題は、「集団同調性バイアスとは、どのようなものか。教科書や、自分で調べたことを踏まえて、AさんとBさんの対話形式で説明しなさい」というもの。単に調べたことを書き写すのではなく、「Aさんが質問をして、Bさんが答える」という表現力や構成力が問われる課題だ。
●指導のポイント
2つ目の課題は少しレベルを上げて、AIに聞いても簡単に答えが出ないような内容にしました。言葉の意味を深く理解することはもちろん、それを自分なりに工夫してアウトプットするというところに価値を置いてこの課題を設定しました。
一人で、または友人と課題に取り組む
課題への取り組み方は、生徒自身が決めます。一人でじっくり取り組む生徒、友達と話し合いながら取り組む生徒、それぞれが自分の学びたいスタイルで、課題に取り組んでいきます。


