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リスペクトの芽を育てる言葉教育~高学年以前に大切にしたい「ていねいな言葉」~

連載
マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

相手を思いやる気持ちを言葉にのせて、ていねいな言葉遣いをすることは、人と関わる心地よさを学ぶうえでとても大切。小学校では、5年生から本格的な敬語教育に入りますが、低学年・中学年の頃から学んでいても決して損はないはずです。リスペクトの心を育む確かな土台を作っていきませんか?

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

美化語を言っている子ども2人

まずは丁寧語を!

語彙がまだ十分に発達していない児童は、自分の気持ちや要求を伝える際に、感情的でストレートな表現に偏りがちです。

「ねぇ、これ貸して!」(直接的な要求)
「なんだよ!」(反射的な言葉)

これらは、相手に不快感を与える意図がなくても、結果的に乱暴・ぞんざいと受け取られ、人間関係の摩擦を生む一因となります。また、核家族化が進み、祖父母や地域の大人のような目上の人と日常的に接する機会が減少した現代において、自然に言葉遣いを学ぶ場も乏しくなっています。
重要なのは、複雑な「尊敬語」や「謙譲語」を教えることではなく、自分の話し方がていねいになるように気をつけようという意識を育み、ていねいな言葉を使うと気持ちが伝わるという成功体験を積ませることです。まずは丁寧語に絞って指導する段階ととらえたいです。

土台づくり期の指導ポイント

文化審議会答申『敬語の指針』が示す分類のうち、リスペクトの土台づくり期(低・中学年)で重視すべきは、次の二点です。この段階では、形式を教え込むのではなく、言葉を通して人への思いやりを実感させることが目標になります。

丁寧語 ―「です」「ます」「ください」で思いやりを伝える―

日常の言葉を「ですます調」に整えることから始めます。

たとえば、

「給食の時間だよ」→「給食の時間です」
「せんせい、見て!」→「せんせい、見てください」

といった小さな言い換えを重ね、相手を気遣う話し方を自然に身につけていきます。

美化語 ―「お」「ご」を添えて生活を大切にする心を育む―

「お茶」「お金」「ごあいさつ」「ご意見」など、言葉の頭に「お」「ご」を添えるとものや行為への敬意を表現できることを学びます。


「いただきます」「ありがとうございます」といった日常表現を通して、感謝の気持ちを言葉で表す習慣を育てます。児童が「せんせいが笑顔になった」「友だちがうれしそうだった」と感じる体験こそ、言葉が人を思いやる力をもつことを学ぶ第一歩です。この実感の積み重ねが、やがて本格的な敬語教育へとつながっていきます。

日常の中で育む言葉の力

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