読書を通じてストレスフリーな毎日を!~子どもの読書活動を楽しくデザインする指導アイディア~


「うちの子、全然本を読まなくて……」という相談、保護者から受けたことはありませんか? 本を読んで心を豊かにしてほしいけれど、読書への関心は子どもによってそれぞれです。そこで今回は、子どもの読書活動を楽しくデザインする指導アイディアについてまとめました。
【連載】ストレスフリーの教室をめざして #37
執筆/埼玉県公立小学校教諭・春日智稀
目次
指導アイディア①プレゼンテーション能力を育む!「ビブリオバトル」
ビブリオバトルとは?
ビブリオバトルとは、発表者がそれぞれのお気に入りの本を紹介し合い、「どの本をいちばん読みたくなったか」を投票で決める「本の紹介ゲーム」です。「知的書評合戦」とも呼ばれ、参加者が主体的に本を選び、その魅力を紹介する活動です。読書への興味関心を高めるだけでなく、プレゼンテーション能力の向上も期待できる活動です。
ビブリオバトルの進行ルール
- 発表者:4~5人で1グループを作る。
- 発表時間:1人5分間で、本の魅力を紹介する。(はじめは3分間でもOK!)
- 質疑応答:発表後、2~3分間の質疑応答を行う。
- 投票:全員が発表したら、「どの本がいちばん読みたくなったか」を投票し、「チャンプ本」を決定する。(このとき、誰に投票するかは他の人に伝えない)

ビブリオバトルの具体的な流れ
【準備段階】
①概要の説明
- ビブリオバトルのルールを説明し、目的を共有します。
- 本を選ぶ際のポイントを説明します。「自分を変えてくれた一冊」「心に残る言葉がある」「みんなに伝えたい理由がある」など、自分がその本にひかれた理由を整理していきます。
②モデリング
- 実際のプレゼンテーションについて、先生が模範となって例を示します。
③本の選び方
- 各自が図書室や自宅の本棚から好きな本を選びます。(漫画はNGにすることが多いです)
- 先生側でおすすめの本リストを準備し、参考にしてもらうことも可能です。
④発表原稿の作成
- 本番でスムーズにプレゼンテーションができるように、発表原稿を作成します。以下の視点でまとめられるとよいでしょう。
〇タイトル
〇作者
〇主な登場人物
〇あらすじ(ネタバレ厳禁!)
〇おすすめしたい理由
〇とくに心に残った場面
〇読んでほしい場所やタイミング など
【実施段階】
STEP1 グループ予選~グループのチャンプ本を決める~
①グループ分け
学級全体を、4~5人ずつのグループに分けます。
②先生によるルール説明
- 1人の持ち時間は5分間(はじめは3分間でもOK!)。
- 1人の発表が終わったら、その都度質疑応答の時間を3分間とる。
- 全員の発表が終わったら、「どの本がいちばん読みたくなったか」という視点で投票し、グループの「チャンプ本」を決定する。
③発表スタート
発表者は、選んだ本について5分間(または3分間)でプレゼンテーションをします。本が手元にある場合には、本の実物を見せながら説明できるとよりよいです。
※できれば発表原稿は見ないで発表するのが理想ですが、メモとしてポケットに入れておくのもよいでしょう。
④チャンプ本の発表
投票用紙を先生が回収・集計し、グループごとのチャンプ本を発表します。
⑤チャンプ本に選ばれた代表者からひとことコメント
見事チャンプ本に選ばれた代表者から、ひとことコメントをもらいます。
STEP2 クラス決勝~クラスのチャンプ本を決める~
グループ予選でチャンプ本に選ばれた代表者(グループの数だけ誕生します)が、クラス全体の前で発表します。進行の仕方は、グループ予選と同様です。
STEP3 ブロック大会~学年ブロックのチャンプ本を決める~
クラス決勝でチャンプ本に選ばれた代表者(クラスの数だけ誕生します)が、学年ブロック(例えば中学年ブロックであれば、3年生と4年生合同)の前で発表します。進行は、これまでと同様です。参加者が多くなるので、広い場所で開催しましょう。
活動の工夫とアレンジ
①テーマを設ける
「冒険がテーマの本」「友だちが主人公の本」などテーマを設定することで、本選びがしやすくなります。
②図書委員会に活躍の場を
図書委員会の児童が司会や進行、タイムキーパーを担当するなど活躍の場を与えましょう。
③お昼の放送を活用
チャンプ本に選ばれた代表者のコメントを、お昼の放送などで発表してもらいます。
ビブリオバトルで使うもの
発表メモ

投票用紙

※ビブリオバトルの公式ルールは、「知的書評合戦ビブリオバトル公式サイト」(https://www.bibliobattle.jp/)から確認することができます。
指導アイディア② みんな一緒に!「読書祭り月間」の設定
学校全体で、「読書祭り月間」を設定して、みんなで読書に取り組む期間を設けましょう。
読書祭り月間に行うこと
- ビブリオバトル大会を実施する。
- 「読書の記録カード」を用意して、期間内に読んだ本のタイトルやひとことコメント、その本のページ数などを記録する。
- ページ数に目標を設け、目標を達成した児童を「読書名人」に認定する。
- 朝の活動時間がある場合には、全校一斉に朝読書を行う。
- 図書委員会が各学級を回り、おすすめの本を紹介する。
- クラスごとに学校図書館を訪問し、司書教諭などから読書の良さについて教えてもらう。
読書の記録カード
