個別実験・調査項目の中身を具体化しよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑦~


生徒たちが取り組む研究について、最終的に目指すべき「最終ゴール」と、それに到達するために必要な「個別実験・調査の項目」や、それぞれの「個別ゴール」をいったん整理し、大きく俯瞰することができたとします。ここまで進めると研究全体の見通しはぐっとよくなるはずです。ただし、一つ一つの個別実験・調査の具体的な中身まではまだ詰めきれていないでしょう。次の段階では、個別ゴールにどう到達するのかというストーリーを描き、その上で個別実験・調査の具体的な方法や内容を検討する、ということもしておきたいものです。
執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章
【連載】探究のすすめ方 ~方法論編~ <中学校・高等学校>
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◆中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう①~考えを整理して、テーマを決める~
◆課題研究の実現可能性をチェックしよう! 中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう②
◆先行研究をチェックして、研究テーマにストーリーをもたせよう! 中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう③
◆研究テーマが決まったら、研究の道すじを考えよう─中・高等学校の【課題研究】はこう進めよう④
◆研究の「最終ゴール」を明確にしよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑤~
◆「やることリスト」を整理して、研究の全体像をつかもう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑥~
目次
ストーリーを描く:個別ゴールから逆算する考え方
個別実験・調査を具体化する際には、やはり個別ゴールから逆算することが有効です。
まず、「この事象が確認できれば個別ゴールに届いたといえる」という事象を定めます。これが、研究を進める上での判断基準になります。
次に、その事象を得るにはどのような方法をとればよいかを検討します。文献や既存の研究から情報を集めるのも有効ですし、学校の環境や生徒が扱える範囲を考慮に入れることで、実現可能な道筋を描けます。この段階で「本当に実行できるのか」を生徒と一緒に考えることが重要です。
最後に、その方法を具体化します。「どんな道具を使うのか」「条件はどう設定するのか」「手順はどうするのか」など、実際に行動に移せるところまで落とし込みたいものです。ここで初めて、研究の計画が「構想」から「実行可能なもの」へと変わります。
こうした流れをたどることで、「これをすれば、この事象が得られる。その結果、個別ゴールに近づく」という、個別実験・調査に関わるストーリーが成立していきます。
仮説検証としての研究
このように組み立てられたストーリーは、それぞれの個別実験・調査において仮説を検証するプロセスそのものだといえます。生徒にとっては、「研究とは仮説を試すことなのだ」と実感できる場面になるでしょう。もちろん、思い通りの結果が出ないことも多くあります。しかし、そのときこそ「なぜうまくいかなかったのか」を考える機会になります。むしろ、その試行錯誤こそが研究の面白さを生徒に伝える要素なのです。