すべての子供に居場所をつくる。気になるあの子をプロデュース|俵原流!子供を笑顔にする学級づくり #8


子供の笑顔を育てる「笑育」という実践のもと、安全で明るい学校、学級をつくってきた俵原正仁先生。これまで培ってきた学級づくりのアイデアやメソッドを、ユーモアを交えつつ、新任の先生にも分かりやすく解説します。月1回公開。
執筆/元・兵庫県公立小学校校長・俵原正仁
目次
はじめに
早いもので、2学期も折り返し地点を過ぎました。新年度からは半年が経ち、子供たちの人間関係も少しずつ形を成してきたように感じます。
クラスによっては、休み時間にいつも一人で過ごす子の姿が目につくようになる時期かもしれません。本当はみんなの輪の中に入りたいのに、うまく入れずにいる――そんな気持ちを抱えている子がいるとすれば、それは教師として見過ごすことはできません。
もちろん、その子自身が一人でいることに心地よさを感じていて、自ら選んでいる場合もあるでしょう。けれども、クラスの友達と関わることで得られる楽しさや安心感を知ってもらうことは、どの子にも必要な経験です。
いずれにしても、教師は何らかの働きかけをする必要があります。すべての子供に居場所がある教室を目指して――気になるあの子を、教師がプロデュースしていきましょう!
その子の得意なことをリサーチ
今回は、その子を「佐藤さん」として話を進めていきます。
クラスの他の子と自分から交流しようとしない(できない)佐藤さんのよいところを、クラスの子供たちにプロデュースすることで、彼女の居場所をクラスの中につくっていきます。
そのためには、まず佐藤さんについて知ることから始めます。休み時間、1人でいる佐藤さんに、あくまでも、さりげなく近付いていきます。決して、一目散に彼女のそばに行ってはいけません。特に、高学年の場合、その行動にわざとらしさを感じ、警戒心から教師に対して壁をつくってしまうことがあります。他のグループと話をした後、その流れで佐藤さんの側に行き、話しかけるといったひと手間をかけましょう。
これって、今流行っているキャラクターだよね? うまいねぇ。佐藤さんってイラスト得意なんだ。
いきなり大きな声でほめると、わざとらしさを感じられるかもしれません。ここでのポイントは、あくまでも「さりげなく」です。周りに聞こえるような大きな声ではなく、佐藤さんにだけ聞こえる程度の声で話しかけ、リサーチを完了させます。