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ベースボール型はどんな教材を選んだらいい? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #93】

連載
使える知恵満載! ブラッシュアップ体育授業
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筑波大学附属小学校教諭

平川 譲
使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業

かっとばしかっとばしゲームでは、ベースボール型に必要な打つ技能を身に付けたり、攻守に分かれてシンプルな形でゲームを行ったりする教材を紹介しました。今回は、さらにその発展として、実際のベースボールのゲームに近付けた教材で、技能を発揮したり、状況判断をしたりすることができる「ティーボール」を紹介します。

執筆/群馬県公立小学校教諭・栗原章滉
監修/筑波大学附属小学校教諭
 体育授業研鑽会代表
 筑波学校体育研究会理事・平川 譲

1.コートを工夫しよう

通常のベースボールは90度角に広げたコートの中で4つのベースを設置してゲームを行います。しかし、ここで紹介する教材は、人数を4人程度に減らして守備を行うため、また、ゲームをシンプルにするために、コートの幅をおよそ60度に狭め、ベースを3つに減らす、いわゆる「三角ベース」の形にします。
安全に配慮して、バットを入れるコーンを置きます。打者は、ボールを打ったら必ずコーンにバットを入れてから走り出すルールとします。また、打順を待っている児童は前に出てきてしまいがちなので、ベンチを用意してそこからは出ないように指導します。
児童の技能の高まりや慣れに応じて、ベースを4つにすることも有効です。その際、コートの幅は60度のままにして、下図のように1つベースを付け加えましょう。

図表

2.用具を工夫しよう

使用するボールは、かっとばしで使用したハンドボール程度の大きさのものを使います。単元が進んでレベルを上げる場合は、少し小さなボールにしてもよいでしょう。素手で捕れる柔らかさで、バットで打てる程度の大きさのボールを選ぶようにしましょう。ボールが小さくなり、中々バットに当てられない児童がいる場合には、テニスのラケットを使用するなどして、難しさを緩和してあげましょう。その際、バットを入れるコーンの近くに、ラケット用のサークルを用意して、打ったらそこに入れてから走るルールとします。

3.ゲームの基本的なルール

<攻撃>
⚫︎ティーもしくはコーンに置いたボールを打つ
⚫︎打ったらバットをコーンに入れてから走る、ラケットを使用する場合はサークルに入れてから走る(入れなかったら0点)
⚫︎守備者のアウトの宣言があるまで走り続け、ベースを踏むごとに得点が加算される
 (1塁:1点、2塁:2点、ホーム:3点……2周目以降も4点、5点と加算される)
<守備>
⚫︎人数は4人
⚫︎打者が打つまでは、1塁と2塁を結んだ線よりも後ろで構える
⚫︎ボールをとったらアウトゾーンまでボールを運び、アウトを宣言する
⚫︎フライはノーバウンドでキャッチしてもアウトにはならず、アウトゾーンまでボールを運ぶ
<その他>
⚫︎全員が一度打ったら攻守交替
⚫︎アウトかセーフか揉める場合はじゃんけん

ティーボールのゲームはルールの理解が難しく、時間がかかります。お手本チームにゲームをさせながら説明した後、お試しゲームで理解を促しましょう。

図表1

4.打ち方を工夫しよう

① 狙って打ってみよう

打者がまっすぐ打つだけだと守備も対応しやすく、すぐにアウトになってしまいます。「打つときはどこを狙うといい?」と聞くと、多くは「守りがいないところ」と答えるでしょう。しかし、どこに打てばいいかわかっていても、なかなか打てないというのが多くの子どもたちの実態です。
狙ったところに打つポイントは、足の向きを打ちたいほうに向けることです。ティーボールはボールが止まっているため、比較的容易に左右に打ち分けることができます。左に打ちたければ左に足を向け、右に打ちたければ右に足を向けるとその方向に飛びやすくなります。

図表2

② 強さを調整して打ってみよう

ベースボールのゲームでは、自分の技能や守備の状況によって打つ強さを調整することも効果的です。例えば、あえて当てるだけのようにして、すぐ近くに転がすという打ち方です。守備は前に出てこなければいけないので、その分、走る時間を稼ぐことができます。ベースを一つでも踏めば得点になるので、苦手な子でも勝利に貢献できたという達成感を味わうことができるのもこのゲームのよいところです。

まずはかっとばしゲームなどで遠くまで強く飛ばせるようになることを目指しますが、ゲームの状況に応じて戦術を選ぶことも大切なことだと考えます。

5.ルールを付け加えてみよう

ゲームのルールを理解し、慣れてきたら、児童の実態に応じてルールを変更していくことも思考の対象となります。例えば、守備にも状況判断の要素を加えます。アウトゾーンを1つから2つ、3つと増やすことで、より近いところへボールを運ぼうという判断が加わります。(下図①)
他にも、かなり難易度は上がりますが、各ベースの近くにアウトゾーンを設定するという改変もあります。この場合、走者の一つ先のアウトゾーンに運べたらアウトというルールにすることで、走者を見ながらアウトゾーンを選ぶという判断が加わり、より実際のベースボールに近いアウトの取り方になります。(下図②)

図表3

このように、単元中ずっと同じルールで行うのではなく、徐々に複雑にしていくことで、より実際のゲームに近い技能、状況判断力を身に付けることができます。しかし、ルールを変更するとその分単元も大きくなりがちなので、無理のないように計画しましょう。

6.まとめ

ティーボールは、打つことが得意、不得意にかかわらず、攻撃の機会が均等にある教材です。児童の実態に応じて、用具や場の設定、ルールを工夫することで、技能や状況判断力が身に付き、みんながチームに貢献できたという達成感を味わうことができます。ぜひ、試してみてください。

【参考文献】
清水由(2016)『<小学校体育>写真でわかる運動と指導のポイント ボール』 大修館書店

イラスト/佐藤雅枝

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執筆
栗原 章滉
群馬県公立小学校 教諭
1996年、群馬県伊勢崎市生まれ。運動が得意な子も苦手な子もみんなが楽しめて、「できるようになった」という成果を実感できる体育授業を目指し、日々研鑽中。


平川譲教諭

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。


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