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キャリア教育ってどういうもの?<中高教員の実務>

連載
中高教員の実務

創価大学大学院教職研究科教授

宮崎 猛

文京学院大学名誉教授

小泉博明

他者との関係のなかで自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を探究する過程を支援するキャリア教育が教育現場で求められています。

編著/小泉博明・宮崎 猛

【特集】中学校・高校教師 実務のすべて#33

これからはキャリア教育を充実させなければならないという声が聞こえてきます。でも、キャリア教育って一体何? 何を指導すればいいの?

キャリア教育という教科や時間はありません。キャリア教育とは特別なものではなく、学校教育全体、つまりすべての教科や道徳の授業、特別活動などを通して推進していくものなのです。

キャリア教育とは?

キャリア教育は「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア発達を促す教育」(2011 年中教審答申)と定義されています。ここでいうキャリア発達とは「発達とは、生涯にわたる変化の過程であり、人が環境に適応する能力を獲得していく過程である。その中で、キャリア発達とは、自己の知的、身体的、情緒的、社会的な特徴を一人一人の生き方として統合していく過程」(2004 年・文科省「研究協力者会議報告書」)とされています。

簡単にいうと、キャリア教育とは、他者との関係のなかで自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を探究していく過程を支援する教育ということができるでしょう。

キャリア教育が求められる背景とは?

キャリア教育の充実は学習指導要領改訂の際にも最重要の課題の一つとしてあげられてきました。その背景には以下があります。

① 若者を取り巻く環境(産業構造や就業構造)の変化
● 終身雇用制の変容
この20 年で、パート、派遣社員、契約社員、正社員など様々な形の雇用形態が見られるようになり、またアウトソーシング(外部調達・提携業務)なども一般的になってきました。どのように働くかが問われる時代になり、転職力とでもいうことができる力を身につけなければならなくなりました。
●コンピュータやロボット化・AIの活用
職場のIT化やAIの普及によって人の仕事をコンピュータが代わりに行うようになりました。AIに代替されない能力やAIによって新たに生まれる職業に就くためのスキルが求められるようになりました。

②若者自身の資質等をめぐる問題
こうした社会の変化に呼応するような形で、フリーターやニート、早期離職者(3年以内)といった雇用にかかわる問題が登場するようになりました。社会の変化に対応した勤労観や職業観、資質や能力を身につけることが求められるようになったのです。

具体的にどのような力が必要とされているのか?

イラスト/タバタノリコ・畠山きょうこ

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