研究の「最終ゴール」を明確にしよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑤~


生徒自身が研究テーマを立てて調べ、まとめていくことが求められる課題研究。しかし、研究が思うように進まなかったり、何をめざしているのかが曖昧なまま終わってしまったりするケースもよく見られます。そうした状況を防ぐためには、研究の最初に「最終ゴール」を明確に設定することが非常に重要です。
執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章
【連載】探究のすすめ方 ~方法論編~ <中学校・高等学校>
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課題研究の実現可能性をチェックしよう! 中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう②
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研究テーマが決まったら、研究の道すじを考えよう─中・高等学校の【課題研究】はこう進めよう④
目次
めざす最終ゴールをはっきりさせよう
「最終ゴール」とは、その研究がどこまで進んだら完成と言えるか、いわば目標点のことです。例えば、「環境にやさしいペットボトルの設計」という研究テーマであれば、最終ゴールを「リサイクルしやすい素材の開発」に置くのか、「軽量化を図ること」に置くのか、「耐久性を保ちながら分解しやすくすること」に置くのかで、研究の進め方や内容は大きく異なります。生徒には、自分の関心や研究の目的に沿って、具体的で達成可能な最終ゴールを設定させることが重要です。曖昧な目標のまま進めると、研究が散漫になりやすいため注意が必要です。
研究テーマと最終ゴールのズレに注意
最終ゴールを設定した場合、それが研究テーマに合致しているかを確認することも欠かせません。研究テーマとずれた最終ゴールでは、研究の意味が薄れてしまうからです。例えば、「照射する光の色が植物の成長に与える影響を評価する」という研究テーマがあった場合、「照射する光の色と植物の葉の色の変化の関係を明らかにする」などといった最終ゴールでは違和感があります。葉の色は成長の一側面に過ぎず、研究の目的を十分に反映しているとは言えません。
