【小二の3学期】進級を見据えた国語科×生活科の授業実践アイデア

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大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

三学期も残りわずか。子どもたちのこれまでの学び、成長した記憶を記録として残すための実践アイディアを先輩教師が提案!保護者とともに成長の喜びを共有できる、成長の振り返り&進級を意識した取り組み例をご紹介します。

樋口綾香氏

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、#折り紙で学級づくり、#構造的板書、#国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師勝負の国語授業づくり』(明治図書)ほか。編著・共著多数。

小2担任へ提案!国語科×生活科の授業で成長の振り返りをしよう

三学期の単元には、振り返りのチャンスがいっぱい!

小二の三学期に取り組む国語の単元には、次のようなものがあります

・「楽しかったよ、二年生」(光村図書)
・「ことばのアルバムをつくろう」(東京書籍)
・「こんなことができるようになったよ」(教育出版)

これらは、今年度1年を振り返り、子どもたちが身に付けた力を活用しながら成長を実感できる単元です。多くは書く活動になっており、作文を書いて交流をします。私は、いつもこの単元を国語の授業だけに留めず、保護者の方も一緒に子どもたちの成長を感じてもらう機会にしています。まずは授業のつくり方、そして保護者の方々との共有の仕方について、実践を紹介します。

三年生になっても頑張るぞ!

プラスイメージで二年生を締めくくる

1年間、いろいろな出来事を経験してきた子どもたちですが、彼らの脳はまだまだ未発達です。きちんと記憶に残っていることは、一部かもしれません。そのため、1年間を振り返って、「楽しい」「嬉しい」「成長した」というプラスのイメージに自分の体験をつなげることで、子どもたちの記憶にしっかりと残すことが、これからの学校生活の確かな原動力になります。

三年生になった時、「去年はよかった」と思わせるためでなく、「去年はこんなに楽しいことがあった。今年も楽しみだな。頑張りたいな」と思える子どもに育てたいと思います。

国語科:「楽しかったよ、二年生」(光村図書二年下)の実践例

1 題名を考える

まず、題名を板書する時に、「○○○、二年生」と書きます。子どもたちに、「どんな言葉が入ると思う?」と問います。

2 ペア対話をする

ペア対話を取り入れることで、イメージを広げさせます。それと同時に、記憶を刺激し、いろいろな出来事を思い出せるようにします。

3 ○○○に当てはまる言葉を発表する

どんな言葉を考えたのか、どんな出来事からそのように考えたのかを問いながら、発表させます。子どもたちから出た意見はできるだけ板書して、他の子の手立てとします。

4 本当の題名から、自分だけの作文へつなげる

「1年を振り返る作文を書こう」というめあてを提示し、作文の題名を考えさせます。3で子どもたちから出た意見を基に考えるよう助言します。

楽しかったよ二年生
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この板書には、1年間子どもたちと過ごしてきた時間がぎゅっと詰まっています。本当は辛かったり、悲しかったりしたこともあるのですが、プラスの表現に着目させることで、できるようになったことや楽しかったことなど、自分自身の成長に目を向けることができます。

また、これらを表現物として残すことで、二年生での思い出を糧に、三年生での勉強や学級での生活に期待を膨らませることでしょう。

国語科:作文を保護者と共有する

わが子の作品はスマホに保存

できあがった作品は電子文集にして、ホームページで公開しました。紙で印刷すると、時間もお金もかかり、とても大変な作業になります。でも、ウェブ上での公開であれば、大幅に作業の時間を短縮でき、紙代もかかりません。また、スマホ等に保存すれば、思い出アルバムの一つとしていつでも楽しんでもらえます。

文集例
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電子文集の作り方

  1. 子どもたちにできるだけ濃く書くように指示する
  2. できあがった作品を出席番号順にまとめる
  3. 表紙と裏表紙を作って印刷する
  4. ②と③をひとまとめにして、印刷機でスキャンしてPDFで保存
  5. スキャンされたデータを確認し、ホームぺージに貼り付けて公開する

学級のホームページがない場合は、クラウド上に公開し、QRコードを作って学級通信などに載せ、パスワードを入れて見られるようにすることもできます。

生活科:「あしたへジャンプ」(東京書籍)の実践例

「あしたへジャンプ」という生活科単元が二年生の三学期にあります。これを、生活科と国語の合科型の授業として取り組みました。この単元では、自分自身の成長に関心を持ち、これまでを振り返ることで、大きくなったこと、できるようになったこと、役割が増えたことなどを実感できるようにします。

さらに、それらには多くの人々の支えがあったことに気付き、感謝の気持ちを伝えるとともに、自分自身のさらなる成長を願い、自信を持って生活していくことをねらいとしています。

生活科の単元を通して、おうちの人に自分のこれまでの出来事をインタビューし、アルバムにまとめたあと、感謝の気持ちを詩に表す国語科の単元に進みます。

あしたへジャンプ
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国語科:「詩の中に思いをこめよう」の実践例

おうちの人に自分自身についてのインタビューをした子どもたちに対し、詩を書いて 感謝の気持ちを伝えることを提案します。そして、学習計画の中で、保護者の方に直接聞いてもらうという目的(参観授業)を発表します。子どもたちからはきっと、悲鳴のような歓声が上がるでしょう。

二年生の子どもたちでも、普段からおうちの人に「ありがとう」をたくさん言えている子もいれば、なかなか自分の気持ちを言葉にできない子や、お世話をしてもらうことが当たり前になっている子もいます。自分自身を見つめ直し、感謝を伝えること自体が成長することなのではないでしょうか。年度の終わりに、さらに成長することができる単元だと言えます。

参観授業で発表するために教師がすべきこと

参観日は、子どもたちがとても緊張する日です。普段の学校の様子を保護者に見てもらうことは、嬉しくもあり、恥ずかしくもあるのです。そのため、事前に詩を読む練習をします。二年生の最後の授業参観なので、できるだけ教師が介入せず、自分たちだけで発表ができるよう手立てを講じます。

事前に教師が準備しておくこと

  1. 子どもたちが書いた詩を電子データにする
  2. プレゼンテーションアプリ(PowerPointやKeynoteなど)に電子データを写す
  3. スライドを数種類(子どもの名前・小さい時の写真・詩・今の写真など)用意する
  4. スライドショーの設定を自動再生にして、各スライドの時間を決める
  5. スライドの時間に合わせて、子どもたちが詩を暗唱できるように練習させる

私たちは日々、子どもたちとかけがえのない時間を過ごしています。しかし、多忙感が強く、その貴重な時間を顧みることが十分にできていないかもしれません。それは、保護者の方も同じではないでしょうか。そばにいることが当たり前、頑張ることが当たり前ではなく、子どもの一生懸命な姿を大切にした1時間を、保護者の方にプレゼントする気持ちで準備をします。

おうちの人と成長を喜び合う

おかあさんありがとう

参観日当日、スライドショーにオルゴール音をつけてしっとりとした雰囲気を演出します。書いた詩は色画用紙に貼り (上の画像参照) 、読み終わったらおうちの人にプレゼントします。当日来られない保護者のために、動画を撮影しておくとよいでしょう。

成長を実感

子どもたちの温かな言葉を聞き、恥ずかしそうであっても、しっかりと自分の思いを表現する姿を見て、一人一人の成長を実感することができます。自分の子どもだけでなく、他の子の成長も同時に感じ、同学年として一緒に成長する素晴らしさも自然と伝わります。保護者の方と教師が、子どもたちの成長を共に喜び合う時間は、とても素敵な時間になるでしょう。

進級を楽しみにできる子どもたちに

進級を楽しみにするためには、3つの大切なポイントがあります。それは、

「学級で過ごす毎日が楽しかったと思えること」
「友達がいること」
「自分たちで行動できたという自信」

の3つです。これらを全員が感じられるように、最後のお別れ会を自分たちで企画・実行することを提案します。

「お別れ会の出し物は、みんなが楽しめるものにする」という共通理解があれば、係活動で発表をしたり、やりたいことを考えて個人やグループで出し物をしたりしてもよいでしょう。お別れ会当日は、「司会」「タイムキーパー」「はじめの言葉」「終わりの言葉」などの役割を決めて、自分たちで進行できるようにします。

黒板にみんなへ向けてのメッセージを書いて、全員で集合写真を撮れば、「自分たちで頑張って成功させたお別れ会」がいつまでも素敵な思い出として心に残ります。 きっと三年生では、さらに楽しい学校生活にするために、行動してくれるでしょう。

黒板にはみんなへのメッセージを書きます

黒板へのメッセージ

イラスト/大橋明子

『教育技術 小一小二』2020年2月号より

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